いばらの王　−Ｋｉｎｇ　ｏｆ　Ｔｈｏｒｎ−

物語は『いばら姫（眠れる森の美女」）』になぞらえて進行していきます。
主要な登場人物は七人。この七人と言うのもペロー版『いばら姫』の
7人の妖精からの引用になっています。
しかしこの作品はファンタジーでは無く、まさに王道のSF作品。
未知のシチュエーションに置かれた7人のサバイバルムービーです。
その合間に徐々に謎が暴かれていくのですが、最後までハイスピードの展開です。
それでも謎の浅い前半はついて行けますが、
クライマックスのあたりの謎の語りが一見複雑で、スピードも早いので
ぼうっとしていると？？？となってしまいます。
私も見終わった後、少し疑問が残ったので、もう一度見なおしてみてようやく納得が出来ました。
この少し分かりにくいと思える部分は意図的で無く、
観客の読解のペースを読み誤ってしまったような印象を受けました。

やはりこの作品も多くのSF同様にフィリップ・K・ディックの影響を
強く感じる作品でした。
ラストはディックというよりは『ブレードランナー』を思い出しました。
どのバージョンかは観てご確認ください。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

　原作が好きなので鑑賞、割合面白かったのです。原作ではもっと長い時間経過があったような気がしましたが、こんなものだったのかもしれません。すこし端折っていることは確かですが、映像になると慌ただしいドラマだったことが分かります。これはメディアの性質の違いですね。
　事件の真相も含めてそれほど原作をいじってはいませんが、語り方が違いました。原作は冒頭間もなくコールドスリープから覚め、読者もあまり事態がつかめないままに怪物が襲ってき、脱出劇が始まる。次第に死病メデューサのことやそれまでの経過が過去にさかのぼる形で挿入され、謎が解けていく、というスタイルでした。
　映画では過去の経過を『第９地区』スタイルでテンポよく説明してしまいます。ですから背景はよく分かるし、ＳＦ映画的スケール感も出たと思います。
　が……もちろんこれはこれでいいんですが、この作品のオリジナリティ、大きな魅力は、朽ちた謎の古城（らしきたてもの）を逃げまわり、脱出を図るというプロットの「狭い感じ」にあったような気がするんですね。そこが曖昧になると、『バイオハザード』『ＡＫＩＲＡ』『ジュラシックパーク�V』『マトリックス（�T）』とか、触手モノのパッチワークみたいに感じてしまう。元ネタが露わになってしまうような気がしてしまうんです。
　原作は過去の話をフラッシュバックでつないで、現在はつねに古城脱出劇にあるという線を崩していなかったので、その陥穽を免れていたように思うんですが。
　ヘリコプターが旋回して戻ってくるところや、らせん状の階段シーンなど、奥行きのあるアニメーションがいいなあと思いました。結構派手なシーンが多いのに、割合淡々とした演出で、これみよがしに盛り上げないのは僕としては好きですが、賛否分かれるところかもしれません。主人公の女の子も、控え目ながら微妙にエロな感じですね。60点。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

シズクとカスミの関係やなぜこの様な世界になったのかは原作と同じですが、
細かい設定やストーリーは全く原作と違います。後CGシーンがかなり雑で気になりました。
映画を見て初めて気づかされる事や、設定もありましたが概ね漫画のほうが細かく描かれているので、
映画だけしか見てない方は設定についていけないのではないでしょうか。

私が気になった相違点は、ティムが漫画だと普通の幼い男の子なのに対し、
映画だとゲーム脳の男の子になっていることや、アリスが映画だとシステムの名前になっていること、
映画だと童話「いばら姫」を全面に押し出していること、原作の黒幕が写真で一瞬登場するだけのMOBキャラになっている。
ラストが全く原作と違うことでしょうか。

中でも黒幕がいなくなった事は残念でした。原作のラストが最高だったとは思わないのですが、
映画のラストはいまいち納得のいくものではありませんでした。
特に原作ではキャサリンと親子の様な関係を築いていたティムが、
映画だと性格が豹変していて最後カスミと古城を後にする際、全くキャサリンの死を悲しんでいない風だったのが残念です。

原作のストーリーが好きな方は、話どころかキャラの性格すら違うこの作品にがっかりするかもしれませんが、
個人的には良くまとまっていてとても楽しむことが出来ました。
ただ本当に原作が好きな方はイメージや世界観が壊される恐れがあるので余りお勧めできません。

原作があるらしいが…未読。原作を見ていたほうが、この世界観をもっと理解できるのだろうか？連続シリーズ数話で製作したほうが、各キャラクターの「トラウマ」など深く掘り下げて描けたり出来たんじゃないだろうか？

後半は「夢？」の連鎖が「繰り返し繰り返し」起こるので…どうも初見では理解しにくい話だった…数回見返すことによって、もう少し理解できるかも知れない…ただ「世界崩壊」と言うテーマはもうそろそろ飽きてきたかなぁ…

「いばら姫」のおとぎ話とリンクする設定も、どうもしっくりとこなかったのと、モンスターは明らかに「エイリアン」のパクリだったよね…けれど、きちんとした声優さんたちが演じているのと、アニメだからこそ描ける情緒ある世界観は、それなりのクオリティがある作品だとは思う。

この作品は、海外でも評価がすばらしかったので、観賞しました。
原作は読んでいません。

感想は、イマイチでした。
まず、主人公の少女のキャラクターが好きになれません。
私は、主人公が、物語を通して成長していく・・・という
キャラが好きなので最後まで煮え切らない感じが、イラつきました。
それが、たまらない・・・という人もいるでしょうが。

また、謎の疫病が謎のまま、何も解決した感じはなく、
結局何が言いたいのかまったく分かりませんでした。
何が言いたいのかよく分からない映画は、結構ありますが、
その中でも何かを得られる映画はあります。
しかし、この映画は私の心的に、本当に何も得られませんでした。

アクションに関しては、かなり緊迫した感じで楽しめました。
いばらに次ぐいばらで・・・本当にタイトル通りでした。