スープ・オペラ

阿川佐和子の同名小説の映画化です。
育ての親である叔母がいきなり結婚し、図書館司書をしているルイ(坂井真紀)は、古びた一軒家に一人取り残されます。しかし、風来坊の画家トニー(藤竜也)と、明るさだけが取り柄の康介(西島隆弘)が家に転がり込み、奇妙な共同生活が始まります。
血縁がある訳でもないのに、男性二人との共同生活は、ありえませんよね。だから現実離れした想定です。
この点でこの映画はすでに現実のものではない夢想的な小説世界を連想させます。

淡々とストーリーは進み、派手な事件が起きたりするわけでもなく、
皆エキセントリックで、どこか変わっていて、笑えるはずなんですけど、何故かあまり笑えませんでした。
しかし出て来る人たちは、一様に人間臭く、温かいのも確かなんです。
完璧じゃないからこそ、人間ってチャーミングなのかもしれない。
美味しいスープを飲んで、心がほっこりするような、心地よくなる映画なのでしょうが、私には今一つ。
たびたび登場する朽ちた遊園地と、そこにある壊れたメリーゴーランドが、非現実的でもあるファンタジックな物語が、ルイが何かしようと思っても、中々できない事を物語っているのかもしれません。
ルイは、皆とスープで繋がってるという事なんでしょうか？
この古い家の台所が広くて、清潔そうで、ぬくもりがあって素敵でした。

評価７６点（１００点満点）
阿川佐和子の同名小説を映像化した作品。
好みの問題もありますが、こうしたほのぼのとした作品、なかなかいいですなぁ。なんとなくこちらまでほのぼのとした気分にさせられるし、人の温かさを実感できるような感じなのです。母親代わりに育ててくれたトバちゃんが突如結婚すると言って家を飛び出して、一人ぼっちになったルイ、しかしトニーと名乗る怪しげなおつさんや若い康介とひょんなことから共同生活するハメに。なんとなくチグハグな三人の関係ながら妙に調和のとれているところがなかなかよい。とにかく登場する人達は皆善人ばかり、いろんな出来事がファンタジックにほのぼのとした展開で語られてゆき、どういう流れで物語が終わるのか少し気になるところ。
エンディングで登場人物が一堂に会するところが本作の真髄、人と人の関係よりも、大切な人達がルイの周りに居るということが最も大事なことなんだろう。坂井真紀を中心に藤竜也、加賀まりこ等が実にいい味をだしている。まるでルイの作るスープのようだ。やはりスープはほどよい味加減で後味がよくないといけないのだ。

予告のゆる〜い感じが好きで劇場観覧。
原作の作家、阿川佐和子のキャラクターも好きですが、原作は読んだことなし。
今回、彼女の他の作品も読んでみたくなった。

坂井真紀扮する無機質な主人公のゆるーい成長ぶりが微笑ましい。
大人メルヘン・大人ファンタジーの分野だが、厭らしくないところが良い。
おそらく坂井真紀のキャラクターゆえ。
嫌味がなくて微妙なのが絶妙。

その他登場人物のキャラクターとキャストもぴったり♪
ＡＡＡの西島隆弘は悪いけど顔とか女みたいで苦手（この人が出てるからって見るの止めた作品もある）。
でも、この作品のキャラクターとしてはぴったりで、しかも魅力的だった。
きっと演技力があるのでしょう。
食わず嫌いを克服して、得をした気分♪

最近、頭をつかいたくなく、ぼーっとできる優しい映画を観たい私。
気づいたら、どうやら「美味しそうな料理」のシーンを重要としてる映画ばかり観ている。
そうか、美味しいものを食べると、癒されますよね。
そこでこのDVDを手にとってみたのだけど……

う〜ん、違和感。
かなりの違和感。
誰も何も言ってないけど、この坂井真紀はアリなの？
こんなに芝居、下手だったっけ？
コミカルを狙っているのかもしれないけど、セリフがみんな浮いちゃって、主役の女性の心情がわからない。

阿川佐和子の小説が原作（未読）。
生まれたときに母を亡くし、叔母に育てられた35歳のルイ。
その叔母が突然お嫁に行くと言いだし、それまでの生活が急激に変わっていく。

古い建物、とくに家が好きなので、それを楽しみにしていた。
古くて広い、使い込まれた、でも手入れの行き届いた台所のシーンはとても楽しかった。
こういう生い立ちの人も、実はこの世にはいるのでしょうし、
そう考えると、知り合った人と突然共同生活することになる、というのも、この世にありえないわけではないのかもね。

朽ち果てた遊園地のメリーゴーランド。
ここにおじさんたちの楽団が演奏するシーンが、ところどころ挟み込まれる。
これも、そのシーンだけはかわいいのだけど、無理やりねじ込ませてるような……どこかのフランス映画で観たことあるような。

ラストも、
ルイは、新しい生活、変化はイヤだったの？
諦めたの？
それとも、その場でしばられるだけの人生を、自ら選んだの？
帰ってくるかもしれない誰かを待つ、それがルイの幸せなの？
さびしそうにも見えたし、諦めてるようにも見えたし、一応の満足も得てるようにも見えた。
中途半端だな……と私としては全く納得できず。
癒されませんでした。
スープと言えば、辰巳芳子さんをふと思い出し、
厳しそうに見える人なので印象としては苦手なのだけど、
本当に手間と思いのこもったスープは、見ただけで温かい気持ちになる。
そんなシーンを少し想像しながら観始めたので、残念でした。
野菜でもなんでも、薄い塩味で、弱火で時間をかけてコトコト煮込んだスープって、とても美味しい。
アンティークのようなお皿に注がれたその温かそうなスープは、その画だけはとてもやさしかったですけどね。

ほのぼのする話。時おり出てくるメリーゴーランドと楽隊の人たちが、“これは現実には起こらないファンタジーなんだよ”と教えてくれているのかな、と思いました。
お家が古そうなのに清潔で、誰かの住んでいる気配があってとても素敵でした。坂井さんの雰囲気がぴったりでしたね。

西島さんの演技がよかったのが意外でした。俳優一本にしぼるならファンになってもいいかも。AAAのファンの方ごめんなさい。