新ドラキュラ　悪魔の儀式

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監督：アラン・ギブソン（1973年・英・87分・カラー）
原題：The Satanic Rites of Dracula

クリストファー・リーが演じるドラキュラの追っかけも、ついに本作が最後となります。
イギリスの「ハマー・フィルム・プロダクション」制作のドラキュラシリーズは、全部で9作品あります。
その中でリーがドラキュラを演じているのは7作品。ディスカスで取り扱いがあるのは6作品でした。（「凶人ドラキュラ　1966年」がない。）

本作は、前作『ドラキュラ’72』の続編です。
100年越しの復讐のために現代に蘇ったドラキュラでしたが、ロリマー・ヴァン・ヘルシング教授（ピーター・カッシング）によって滅ぼされた筈でした。
あれから2年後、ロンドン郊外にあるぺラムハウスで、夜ごとに怪しげな儀式が行われているという情報があり、英国諜報部員が潜入捜査していました。
彼がつかんだ情報では、儀式の参加者は、政府や軍の高官はじめ財界の大物や高名な学者たちばかりでした。
ノーベル賞学者のキーリー教授もいて、彼は、ある人物からの指示で新種のペスト菌を培養していたのです。
ぺラムハウスは、2年前にドラキュラを滅ぼした協会の跡地に建っており、デナム企業の持ち物でした。
劇中、ヘルシングがデナム企業の代表者を訪ねますが、勘のよい人はその正体が既にお分かりでしょう。
ぺラムハウスの地下牢のような場所には、鎖に繋がれた女性たちがいて、ヘルシングの孫のジェシカが危険な目に遭いますが、マレー警部に救出されます。
因みに前作の続編という事で、マレー警部を演じるのは前回と同じマイケル・コールズです。
ジェシカ役はステファニー・ビーチャムからジョアンナ・ラムレイに変更になっていました。

新種のペスト菌を開発させたのは、人間を残らず滅ぼすためでした。
「人間が絶滅すれば、生き血を吸うことが出来ず、君も生きて行けなくなるのでは？」とヘルシングが問えば、ドラキュラは永遠の命を呪っている様子でした。
クリストファー・リーが演じる最後のドラキュラというだけあって、「死ねない苦悩」を語らせるなど、不死者の悲哀を漂わせていました。
本作でドラキュラを倒すために、ヘルシングは銀の十字架を溶かして銀の銃弾を作ります。
もう一つ、ドラキュラが苦手なものとして「茨」が登場します。ジャケット写真でドラキュラの行く手を阻んでいるのが「茨」です。
そして、最後はドラキュラの心臓を突き刺す杭。
お約束どおりにドラキュラは死んでいきます。

身長193ｃｍのクリストファー・リーのドラキュラ伯爵は、貫禄と共に品があったと思います。
若い頃から剣術、馬術にも優れていたそうで、怪奇物と決別して新しい役に挑戦したかったのかも知れませんし、時代も古典的なドラキュラから現代に生きるヴァンパイアに移行していく時期だったのかも知れません。
『007シリーズ』の原作者イアン・フレミングは従兄弟だそうで、『007黄金銃を持つ男（1974年）』で悪役スカラマンガを演じています。
出演作は250本以上。ギネスブックには「世界で最も多くの映画に出演した俳優」として登録されているそうです。
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子供の頃、TVで観たドラキュラはどの作品だったのか？それを確認するのも今回の連続視聴の目的でした。
確信はありませんが、恐らく1作目の『吸血鬼ドラキュラ』だったと思います。
そう思う理由は、ドラキュラが消滅していく時の様子です。肉体が灰と化し、残った頭髪が風に吹かれて行くのが妙に物悲しかった記憶があるのです。

新ドラキュラ ／ 悪魔の儀式（１９７３年・イギリス、カラー、８７分）

ドラキュラ映画の鑑賞も、いよいよ佳境に入ってきました。
クリストファー・リーがドラキュラを演じた最後の作品として有名ですが、何よりも、リーがドラキュラを演じ、ピーター・カッシングがヴァン・ヘルシング教授を演じた２人の共演作はたった３本しかなく、その中の１本というのが極めて貴重であります。

ロンドンの異様な雰囲気の館で、奇怪な黒ミサの儀式が行われている。祭壇の上に寝かされた若い裸女の上に、鶏の血が滴り落ちる。すると中国人の女が剣を突き立て、裸女は絶命した。英国情報部から潜入捜査していた男は、腕時計に仕組んだマイクロフィルムの情報を保持し、瀕死の重傷を負いながら館から脱出した。だが彼は情報部の上司や特捜部のマレー警部（マイケル・コールス）らに報告後、息絶えた。マイクロフィルムを調べた結果、悪魔のミサには驚くべき人物が出席していた。なんと情報部の最高責任者である政府高官、大地主、軍の高官、そしてノーベル賞受賞者のキーリー教授（フレディ・ジョーンズ）らであった。マレー警部は事件究明のため、信仰や悪魔儀式に関する権威であるヴァン・ヘルシング教授（ピーター・カッシング）に助力を求めた。ヘルシングは旧友でもあるキーリー教授を訪ね、様子がおかしいので問い質した。キーリーは悪魔の強迫観念にかられ、新種のペスト菌の培養を行っていたのだ。一方、情報部の秘書ジェーンは仕事を終えての帰途、不審なバイクの２人組に襲われる．．．。

以上のストーリーの前段では、ドラキュラはまだ登場しません。
しかし、やがて姿を現すときは風が吹き、白煙のなかにスーッと立ちすくんでいます。いつもの光景に、‘出た出た！、これでいよいよ面白くなる．．．’と呟いている自分がいます。

前作「ドラキュラ’７２」の続編ですから、ドラキュラは現代のロンドンに甦っています。
前作でヘルシング教授は、二度とドラキュラが蘇らないように入念に始末したはずでしたが、本作のドラキュラは意外な「顔」をもっていました。冒頭の悪魔のミサに出席していたのは、潜入捜査員の報告で５人とのことでした。４人は具体的な人物としてフィルムに映っていましたが、残る１人が映っている筈のフィルムに人物像はありません。‘おかしいな、この映像部分は撮影の失敗かな．．．’と呟く情報部の面々。もうお分かりですね。５人目が誰であったか。
ドラキュラは中盤以降、意外な「顔」をもって再登場するのです。

共演者のなかで目を引いたのが、キーリー教授を演じたフレディ・ジョーンズです。
ノーベル賞受賞者にもかかわらず、「七つの大罪」を嘆き、悪魔崇拝者に成り下がっている怪しい科学者を好演していました。彼が出演した８０年「エレファントマン」を思い出しました。
息子は、数多くのヒット作に出演しているトビー・ジョーンズですね。

‘ドラキュラは死ぬことが出来ない。暴力と恐怖のなかで生き続けている。だからこそ、最後の安息を望んでいるのではないか。全世界を道連れにして彼の復習は終わる’
本編中、ヘルシング教授が語った言葉なのですが、これまた意外にも．．．．。

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この作品は、前作「ドラキュラ'72」の続編です、なので登場人物も前作の登場人物が出ています。
「ドラキュラ'72」は、現代によみがえったドラキュラ伯爵を描いた斬新な作品ですが、
ドラキュラ伯爵＝中世との図式を崩した事は画期的で、
最近の吸血鬼は舞台設定が現代が殆どな事から、それの先駆けと言えば先駆けなのかも知れません。
この「新ドラキュラ　悪魔の儀式」はさらに飛躍していて、どちらかと言えば007シリーズの様な
アクション映画の様な設定になっています。
ある意味、「ブレイド」とか近代バンパイア映画の原型と言っても過言ではないかも知れません。
そういった意味では偉大なプロトタイプと考えます。

この作品のドラキュラ伯爵ですが、巨大企業のトップかつ、悪の組織にも君臨しており、
の組織には政治家・科学者等も属していて、世界の破滅を企んでいるドラキュラ伯爵に
利用されています。
新種のペスト菌を開発し人類の破滅を企んでいる設定ですが、
「なぜ、人類を糧にしている吸血鬼が人類を滅ぼすのか？？」って問いに、
ヴァン・ヘルシングが、「伯爵も自分の所業に終止符を打ちたいのだろう．．．。」みたいな
しみじみとした発言をしてましたが、
なんとなくこの言葉がシリーズの終焉を物語っている様で、皆寂しげです。
実際、この時期「エクソシスト」の様なホラー作品が登場し、モンスター映画はホラーの王道から
退きました。
個人的には、この後出た、最終作の迷作「ドラゴンvs7人の吸血鬼」のＤＶＤ化を希望したいのですが．．．。

クリストファー・リーとピーター・カッシングのドラキュラ物は幼い時に何本みて
今でも　心の奥底に　鮮明に記憶に残っていましたが　今作には
なぜか記憶がないと思っていましたが　見ると現代を思わせるような
不思議な作風になっています。