汚れた心 / 伊原剛志
汚れた心
/ヴィセンテ・アモリン
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全体の平均評価点: (5点満点)
(6)
解説・ストーリー
「Oi ビシクレッタ」のブラジル人監督ヴィセンテ・アモリンが、太平洋戦争終結直後にブラジルの日系移民社会で起きた実話に着想を得て描く衝撃のドラマ。主演は「硫黄島からの手紙」の伊原剛志、共演に常盤貴子、奥田瑛二。第二次世界大戦後のブラジル。日系移民社会では、国交の断絶した日本について誰も正確な情報を持ち合わせていなかった。そんな中、移民の大半は日本が戦争に勝ったと信じていた。そんな日本の勝利を主張し続ける“勝ち組”はやがて、リーダー格の元日本帝国陸軍大佐ワタナベを中心に、日本の全面降伏を認める少数派の“負け組”を国賊と断罪し粛清を始める。愛する妻ミユキと幸せに暮らす写真館店主タカハシは、このワタナベに心酔し、自らも粛清に手を染めていくのだが…。
「Oi ビシクレッタ」のブラジル人監督ヴィセンテ・アモリンが、太平洋戦争終結直後にブラジルの日系移民社会で起きた実話に着想を得て描く衝撃のドラマ。主演は「硫黄島からの手紙」の伊原剛志、共演に常盤貴子、奥田瑛二。第二次世界大戦後のブラジル。日系移民社会では、国交の断絶した日本について誰も正確な情報を持ち合わせていなかった。そんな中、移民の大半は日本が戦争に勝ったと信じていた。そんな日本の勝利を主張し続ける“勝ち組”はやがて、リーダー格の元日本帝国陸軍大佐ワタナベを中心に、日本の全面降伏を認める少数派の“負け組”を国賊と断罪し粛清を始める。愛する妻ミユキと幸せに暮らす写真館店主タカハシは、このワタナベに心酔し、自らも粛清に手を染めていくのだが…。
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「汚れた心」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
「Oi ビシクレッタ」のブラジル人監督ヴィセンテ・アモリンが、太平洋戦争終結直後にブラジルの日系移民社会で起きた実話に着想を得て描く衝撃のドラマ。主演は「硫黄島からの手紙」の伊原剛志、共演に常盤貴子、奥田瑛二。第二次世界大戦後のブラジル。日系移民社会では、国交の断絶した日本について誰も正確な情報を持ち合わせていなかった。そんな中、移民の大半は日本が戦争に勝ったと信じていた。そんな日本の勝利を主張し続ける“勝ち組”はやがて、リーダー格の元日本帝国陸軍大佐ワタナベを中心に、日本の全面降伏を認める少数派の“負け組”を国賊と断罪し粛清を始める。愛する妻ミユキと幸せに暮らす写真館店主タカハシは、このワタナベに心酔し、自らも粛清に手を染めていくのだが…。
「汚れた心」 の作品情報
「汚れた心」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
汚れた心の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
107分 |
日日(大字幕) |
日・ポルトガル:ドルビーデジタルステレオ |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
PG-12 |
IN120688 |
2012年11月21日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
10枚
|
0人
|
0人
|
汚れた心の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
107分 |
日日(大字幕) |
日・ポルトガル:ドルビーデジタルステレオ |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
PG-12 |
IN120688 |
2012年11月21日
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在庫枚数 |
1位登録者: |
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ユーザーレビュー:6件
情報から隔絶される恐ろしさ
日本が戦争に負け、天皇が人間宣言をした頃、地球の裏側のブラジルに住む日系人たちに何が起こっていたのか?
戦争中、母国の情報を一切遮断されていた日系人の中には、日本の敗戦が信じられず、戦争に勝ったと頑なに思い込む人たちが少なからずいた。
彼らは、敗戦の事実を受け入れようとする同胞たちを、「国賊」「汚れた心を持つ者」と呼び、糾弾する。「
勝ち組」と「負け組」の対立は次第に深まり、ついには「勝ち組」による粛清が始まるのだった。
ヴィゴ・モーテンセン主演の「善き人」と同じ、ヴィンセンテ・アモリンという方の監督作品です。ホロコースト映画を撮った監督が、なんでブラジルの日系人の話なの?と不思議に思っていたのですが、この方ブラジル人だったんですね。
パンフによれば、どちらも「適応とアイデンティティがテーマ」とのことですが、確かに場所こそ違え、共通したところがあります。
この映画の主人公高橋(井原剛志)は、普段は温厚な写真館の店主なのだが、勝ち組のリーダーで元陸軍大佐の渡辺(奥田瑛二)に感化されてゆき、粛清に手を染めていくようになります。
しかし、「善き人」に比べるとかなり作品の出来が落ちる印象を受けたのは、俳優の力量の差でしょうか。(「善き人」のヴィゴは素晴らしかったです。)
または監督が日本語と日本人俳優をうまく扱えなかったのでしょうか。
高橋の妻を演じるのが常磐貴子。この人、下手で好きじゃないのですが、はじめと終わりのナレーションを除いて一切せりふがなくて、表情の演技を求められているのがまた苦しいところです。教師の役なのにせりふがない(生徒に問いかけられても答えない)というのも不自然です。
しかし、このような出来事があったことを知らなかったので、勉強になりました。
勝ち組の日系人たちが、「天皇陛下」という言葉が出るたびに居ずまいを正す様子の滑稽さ。
ポツダム宣言受諾の調印や、天皇とマッカーサーが並んだ写真という、敗戦の揺るがぬ証拠をみせられても、事実と異なった注釈を写真につけてまで、日本の勝利を信じようとする姿に、情報から隔絶されることの恐ろしさを感じました。
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8人の会員が気に入ったと投稿しています
バケモノ!
投稿日:2014/05/26
レビュアー:港のマリー
家の戸口に「国賊」と書かれた紙が貼られる。あわてて家に飛び込むと中にはいつ入り込んだのか軍服姿の男(奥田暎二)がいて不気味な声でナムアミダブツと唱えている。一家の主には死んでもらうぞという予告でしょう。
その家の主婦余貴美子が思わず叫ぶ言葉が「バケモノ!」
衝撃的なシーンがいくつもある映画でしたがこの場面には思わず息をのみました。余貴美子は同じ日本人でありながら言葉が通じない、ただ一方的に自分たちに対して憎悪と敵意をつのらせ問答無用で殺そうとする相手の不可解さと不気味さへの恐怖を、バケモノという言葉で表したのだと思います。
第二次世界大戦で日本が無条件降伏を受け入れた直後のブラジル。元陸軍将校奥田暎二をはじめブラジルの日本人移民コミュニティの一部をバケモノに変えてしまったのは、戦争中に膨らんだ祖国日本への妄想です。
万世一系の天皇を頂く世界のどこよりも尊い国、世界で最も優秀な大和民族、それゆえ戦争に負けるなどあり得ない国。そうした妄想に凝り固まれば敗戦の情報にたとえ触れたとしても信じようとはしない。
負けたのではないかと疑うことは「心が汚れている」ためだと、ますます非合理な情動に溺れ、ついには敗戦を認めようとする住民を、心の汚れた国賊めと、粛清する、つまり殺してしまうに至ります。
本家日本では、一億玉砕はなく自決は数えるほど、進駐軍にもすぐ慣れてマッカーサーを新しい主人として受け入れ、女性たちが得意げにアメリカ兵と腕を組んで闊歩し、子供たちがチョコレートをねだってジープの後を追いかけていたのになんという違いかと、驚きました。
それだけ異国で生きていくのは辛く、妄想の中の強い日本を心の支えとし、日本人のアイデンティティを持ち続けてコミュニティの絆を強めることで苦難のなか持ちこたえてきたのでしょう。しかも第二次世界大戦中、ブラジルは連合国側、アメリカについて戦いました。映画でも少し出てきますが、日系移民はさまざまな屈辱に耐えなければなりませんでした。
などと、思いつく限りのバケモノ化の理由を考えてみる。しかし凄惨な殺し合いにまで至ったというのはやはりよくわからない。ブラジル人の監督が大げさに描きすぎたのではないか、これは「反日映画」じゃないかなどと息巻いてもみましたが描写はともあれ、ブラジルにおける史実は動かしようがありません。
とはいえ国家に対する過度の思い入れ、国家と自己との同一視は人間をとんでもないバケモノに変えてしまうことは、今も起こっているまぎれもない事実です。
それを逃れるには頭の中にある偉大な国家への忠誠より、目の前で怯える善良な人間に日本刀を突き立てることへの、本能的なためらいを大事にすることでしょうか。正体のしれない生きてはいない国家より血を流し苦しむ人間を優先する。伊原剛志の苦痛に満ちた表情を見て思いました。そして「心」がやたらに強調され、特定の「心」が奨励される社会状況になったら注意したほうがいい。さらに「心」に「汚れ」という観念が結び付けられるようになるとその社会はカルト集団化まっしぐらです。
もう一つ奥田暎二たちは凶行の前後に天皇陛下と言い出しますが、これを見て今上天皇がことあるたびに日本国憲法に言及されるわけがわかりました。平和主義を国是とする国の象徴として二度と、崇拝者に陰惨な殺人にを犯させたくはないのです。
映画そのものについてですが、同じ監督の「善き人」に比べてずっと荒々しく演出も大げさで一部ホラー映画のようでした。伊原剛志と常盤貴子のラブシーンはどこかラテン的でしたし、日本人たちの振る舞いもめりはりが効いていて完全に洋画のノリでしたね。
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6人の会員が気に入ったと投稿しています
汚れた心
投稿日:2014/10/10
レビュアー:片山刑事
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
日本の敗戦を信じず勝利を信じる人たちと敗戦したことを信じはじめる人たちを迫害して殺人事件まで起こってしまうというブラジルであったということを知ることができてよかったです。
けれども、写真館を営む主人公は日章旗を踏みにじられたと帝国陸軍の大佐の指導のもと警察を襲撃したりしますが。簡単に襲撃に参加する「勝ち組」のほうになっていて、その後、終戦を信じる「負け組」の人たちに対して主人公がとる行動をしますが。それに対して主人公自身も最初から「勝ち組」だし更に簡単に襲撃に加わっているため、同じ日系人を襲って悩んだりふっきれたりと、どんな変化があったのかがわかりづらかったです。しかも、主人公がとった行動に奥さんもただ傍観して結局逃げちゃうだけだし。台詞もなく、表情だけで進む演出は素晴らしかっただけに残念でした。もっとゆっくりと丁寧に進めてほしかったです。
そして陸軍大佐の退場も主人公に対する罰も特に感情が盛り上がるわけでもなく終わってしまうので、不完全燃焼のまま終わってしまって残念でした。
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南の大地は幸せを約束したか
しばらく前からはやり言葉になった感のある 「勝ち組・負け組」
そもそもは この作品に描かれているように
ブラジルに移住した人々の間で
太平洋戦争に日本が勝利したと信じるグループと
敗戦だった と事実を知っていたグループにつけられた俗称でした
両者の間に繰り広げられた凄惨な出来事が
外国の製作とは思えないほど リアルに描かれています
こういった事実に加えて 知っておかなければならないのは
幸せと希望に満ちたものとされていた ブラジル移民が
実は日本政府による 「棄民政策」 であったことです
同じことは何度も繰り返されます
北海道開拓民然り
現北朝鮮への 帰国事業然りです
成功した人もあったでしょうが
そのほとんどは過酷な状況の中で
ギリギリの生しか手に入れられなかった
国家から捨てられたにもかかわらず
遠い母国を思い、信じ
それ故に勝ち組と負け組に分かれて戦ってしまう 悲劇
隣人は信じても
金輪際国家なんか信じてはいけない
涙とともにそう思ってしまいます
このレビューは気に入りましたか?
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情報操作の恐ろしさ
ブラジルに渡った日本人たちは、情報を隔離され、かたくなに日本が勝ったと信じ、日本が負けた、という人たちを『心が汚れている』といい、粛清を始める。
温厚なタカハシ。しかし軍人大佐ワタナベに感化され、粛清に手を染める。
軍人って汚いっておもったのは、自分の手で粛清をしないこと。人にさせる。
心のどこかでタカハシは、日本が負けたのではないか、と疑っている表情が伺える。
洗脳とは恐ろしいもので、『非国民』といって、仲良くしてた隣人まで殺害してしまう。
タカハシの妻は、夫が、罪もない人を殺害したことで、夫の手を汚らわしく思っていく。
このような事実があったことは衝撃でした。
せっかく戦争が終わったのに、『勝ち組』『負け組』といって日本人どうして殺しあう。
情報操作、洗脳の恐ろしさが垣間見えます。
もう少し、タカハシの妻の台詞があればな〜って思いました。
罪もない人を殺してしまった償いは一生消えることがないのだという、ラストでした。
このレビューは気に入りましたか?
2人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
情報から隔絶される恐ろしさ
投稿日
2012/10/15
レビュアー
パープルローズ
日本が戦争に負け、天皇が人間宣言をした頃、地球の裏側のブラジルに住む日系人たちに何が起こっていたのか?
戦争中、母国の情報を一切遮断されていた日系人の中には、日本の敗戦が信じられず、戦争に勝ったと頑なに思い込む人たちが少なからずいた。
彼らは、敗戦の事実を受け入れようとする同胞たちを、「国賊」「汚れた心を持つ者」と呼び、糾弾する。「
勝ち組」と「負け組」の対立は次第に深まり、ついには「勝ち組」による粛清が始まるのだった。
ヴィゴ・モーテンセン主演の「善き人」と同じ、ヴィンセンテ・アモリンという方の監督作品です。ホロコースト映画を撮った監督が、なんでブラジルの日系人の話なの?と不思議に思っていたのですが、この方ブラジル人だったんですね。
パンフによれば、どちらも「適応とアイデンティティがテーマ」とのことですが、確かに場所こそ違え、共通したところがあります。
この映画の主人公高橋(井原剛志)は、普段は温厚な写真館の店主なのだが、勝ち組のリーダーで元陸軍大佐の渡辺(奥田瑛二)に感化されてゆき、粛清に手を染めていくようになります。
しかし、「善き人」に比べるとかなり作品の出来が落ちる印象を受けたのは、俳優の力量の差でしょうか。(「善き人」のヴィゴは素晴らしかったです。)
または監督が日本語と日本人俳優をうまく扱えなかったのでしょうか。
高橋の妻を演じるのが常磐貴子。この人、下手で好きじゃないのですが、はじめと終わりのナレーションを除いて一切せりふがなくて、表情の演技を求められているのがまた苦しいところです。教師の役なのにせりふがない(生徒に問いかけられても答えない)というのも不自然です。
しかし、このような出来事があったことを知らなかったので、勉強になりました。
勝ち組の日系人たちが、「天皇陛下」という言葉が出るたびに居ずまいを正す様子の滑稽さ。
ポツダム宣言受諾の調印や、天皇とマッカーサーが並んだ写真という、敗戦の揺るがぬ証拠をみせられても、事実と異なった注釈を写真につけてまで、日本の勝利を信じようとする姿に、情報から隔絶されることの恐ろしさを感じました。
バケモノ!
投稿日
2014/05/26
レビュアー
港のマリー
家の戸口に「国賊」と書かれた紙が貼られる。あわてて家に飛び込むと中にはいつ入り込んだのか軍服姿の男(奥田暎二)がいて不気味な声でナムアミダブツと唱えている。一家の主には死んでもらうぞという予告でしょう。
その家の主婦余貴美子が思わず叫ぶ言葉が「バケモノ!」
衝撃的なシーンがいくつもある映画でしたがこの場面には思わず息をのみました。余貴美子は同じ日本人でありながら言葉が通じない、ただ一方的に自分たちに対して憎悪と敵意をつのらせ問答無用で殺そうとする相手の不可解さと不気味さへの恐怖を、バケモノという言葉で表したのだと思います。
第二次世界大戦で日本が無条件降伏を受け入れた直後のブラジル。元陸軍将校奥田暎二をはじめブラジルの日本人移民コミュニティの一部をバケモノに変えてしまったのは、戦争中に膨らんだ祖国日本への妄想です。
万世一系の天皇を頂く世界のどこよりも尊い国、世界で最も優秀な大和民族、それゆえ戦争に負けるなどあり得ない国。そうした妄想に凝り固まれば敗戦の情報にたとえ触れたとしても信じようとはしない。
負けたのではないかと疑うことは「心が汚れている」ためだと、ますます非合理な情動に溺れ、ついには敗戦を認めようとする住民を、心の汚れた国賊めと、粛清する、つまり殺してしまうに至ります。
本家日本では、一億玉砕はなく自決は数えるほど、進駐軍にもすぐ慣れてマッカーサーを新しい主人として受け入れ、女性たちが得意げにアメリカ兵と腕を組んで闊歩し、子供たちがチョコレートをねだってジープの後を追いかけていたのになんという違いかと、驚きました。
それだけ異国で生きていくのは辛く、妄想の中の強い日本を心の支えとし、日本人のアイデンティティを持ち続けてコミュニティの絆を強めることで苦難のなか持ちこたえてきたのでしょう。しかも第二次世界大戦中、ブラジルは連合国側、アメリカについて戦いました。映画でも少し出てきますが、日系移民はさまざまな屈辱に耐えなければなりませんでした。
などと、思いつく限りのバケモノ化の理由を考えてみる。しかし凄惨な殺し合いにまで至ったというのはやはりよくわからない。ブラジル人の監督が大げさに描きすぎたのではないか、これは「反日映画」じゃないかなどと息巻いてもみましたが描写はともあれ、ブラジルにおける史実は動かしようがありません。
とはいえ国家に対する過度の思い入れ、国家と自己との同一視は人間をとんでもないバケモノに変えてしまうことは、今も起こっているまぎれもない事実です。
それを逃れるには頭の中にある偉大な国家への忠誠より、目の前で怯える善良な人間に日本刀を突き立てることへの、本能的なためらいを大事にすることでしょうか。正体のしれない生きてはいない国家より血を流し苦しむ人間を優先する。伊原剛志の苦痛に満ちた表情を見て思いました。そして「心」がやたらに強調され、特定の「心」が奨励される社会状況になったら注意したほうがいい。さらに「心」に「汚れ」という観念が結び付けられるようになるとその社会はカルト集団化まっしぐらです。
もう一つ奥田暎二たちは凶行の前後に天皇陛下と言い出しますが、これを見て今上天皇がことあるたびに日本国憲法に言及されるわけがわかりました。平和主義を国是とする国の象徴として二度と、崇拝者に陰惨な殺人にを犯させたくはないのです。
映画そのものについてですが、同じ監督の「善き人」に比べてずっと荒々しく演出も大げさで一部ホラー映画のようでした。伊原剛志と常盤貴子のラブシーンはどこかラテン的でしたし、日本人たちの振る舞いもめりはりが効いていて完全に洋画のノリでしたね。
汚れた心
投稿日
2014/10/10
レビュアー
片山刑事
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
日本の敗戦を信じず勝利を信じる人たちと敗戦したことを信じはじめる人たちを迫害して殺人事件まで起こってしまうというブラジルであったということを知ることができてよかったです。
けれども、写真館を営む主人公は日章旗を踏みにじられたと帝国陸軍の大佐の指導のもと警察を襲撃したりしますが。簡単に襲撃に参加する「勝ち組」のほうになっていて、その後、終戦を信じる「負け組」の人たちに対して主人公がとる行動をしますが。それに対して主人公自身も最初から「勝ち組」だし更に簡単に襲撃に加わっているため、同じ日系人を襲って悩んだりふっきれたりと、どんな変化があったのかがわかりづらかったです。しかも、主人公がとった行動に奥さんもただ傍観して結局逃げちゃうだけだし。台詞もなく、表情だけで進む演出は素晴らしかっただけに残念でした。もっとゆっくりと丁寧に進めてほしかったです。
そして陸軍大佐の退場も主人公に対する罰も特に感情が盛り上がるわけでもなく終わってしまうので、不完全燃焼のまま終わってしまって残念でした。
南の大地は幸せを約束したか
投稿日
2013/03/13
レビュアー
ちびた
しばらく前からはやり言葉になった感のある 「勝ち組・負け組」
そもそもは この作品に描かれているように
ブラジルに移住した人々の間で
太平洋戦争に日本が勝利したと信じるグループと
敗戦だった と事実を知っていたグループにつけられた俗称でした
両者の間に繰り広げられた凄惨な出来事が
外国の製作とは思えないほど リアルに描かれています
こういった事実に加えて 知っておかなければならないのは
幸せと希望に満ちたものとされていた ブラジル移民が
実は日本政府による 「棄民政策」 であったことです
同じことは何度も繰り返されます
北海道開拓民然り
現北朝鮮への 帰国事業然りです
成功した人もあったでしょうが
そのほとんどは過酷な状況の中で
ギリギリの生しか手に入れられなかった
国家から捨てられたにもかかわらず
遠い母国を思い、信じ
それ故に勝ち組と負け組に分かれて戦ってしまう 悲劇
隣人は信じても
金輪際国家なんか信じてはいけない
涙とともにそう思ってしまいます
情報操作の恐ろしさ
投稿日
2013/02/20
レビュアー
じゃじゃまる
ブラジルに渡った日本人たちは、情報を隔離され、かたくなに日本が勝ったと信じ、日本が負けた、という人たちを『心が汚れている』といい、粛清を始める。
温厚なタカハシ。しかし軍人大佐ワタナベに感化され、粛清に手を染める。
軍人って汚いっておもったのは、自分の手で粛清をしないこと。人にさせる。
心のどこかでタカハシは、日本が負けたのではないか、と疑っている表情が伺える。
洗脳とは恐ろしいもので、『非国民』といって、仲良くしてた隣人まで殺害してしまう。
タカハシの妻は、夫が、罪もない人を殺害したことで、夫の手を汚らわしく思っていく。
このような事実があったことは衝撃でした。
せっかく戦争が終わったのに、『勝ち組』『負け組』といって日本人どうして殺しあう。
情報操作、洗脳の恐ろしさが垣間見えます。
もう少し、タカハシの妻の台詞があればな〜って思いました。
罪もない人を殺してしまった償いは一生消えることがないのだという、ラストでした。
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