ロイヤル・アフェア　愛と欲望の王宮

18世紀後半のデンマーク。王妃カロリーネとドイツから来た王の侍医ストルーエンセとの不倫愛、そしてストルーエンセの王国支配は、デンマーク人にとっては恥ずべき歴史上のスキャンダルらしいです。
不倫愛を主に描いているのかと思いきや、そんなに単純ではなかったです。予告編から想像した内容とかなり違っていて、いい意味で裏切られました。
ドイツ人医師のストルーエンセ（マッツ・ミケルセン）は、精神的な病を患っている国王クリスチャン7世（ミケル・ボー・フォルスガール）の侍医となります。国王の信頼を得たストルーエンセは、王妃カロリーネ（アリシア・ヴィキャンデル）と惹かれ合うように。しかし事実上の摂政として手腕を振るうようになったストルーエンセを、保守派貴族たちは快く思いません。

ここで描かれるストルーエンセは野心家というより、啓蒙思想に則りデンマークの近代化を推し進めた理想家に描かれています。改革反対派貴族から特権を剥奪したと逆恨みされ、巻き返しを図るところは、スリリングでした。

王を操って権力を手に入れるところは野心家だと思いますが、国民に天然痘の予防接種実施をしたりと、庶民のための改革を進め、デンマークの近代化に繋がったと思います。民衆が暮らし易い国を目指したはずのストルーエンセが民衆に憎まれるというのは、ちょっと気の毒でした。
庶民として生まれた飾らない心を持ち続けるストルーエンセが、恋するがゆえに理性からはなれていく。恋と権力というのは、やっぱり魔物なんでしょうか？
新聞にストルーエンセの悪口を書かれて、検閲を再開するのも、然り。
ストルーエンセが行おうとしていた政治制度改革が継承されて行ったエンディングは胸が熱くなりました。

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デンマーク王室最大のスキャンダルを描いた歴史もの。

１８世紀後半、１５歳でデンマーク王室に嫁いだイギリス王の妹カロリーネ。
それなりの覚悟と希望を胸にデンマークに渡ったカロリーネだったが、精神を病み奇抜な言動を繰り返す夫クリスチャン７世との結婚は絶望的なものだった。
そんな中、夫の侍医となったストルーエンセと道ならぬ恋に落ちてゆく。

デンマーク１の実力俳優マッツ・ミルケセン演じる侍医は、権力を否定し自由を愛する啓蒙思想の持ち主。
カロリーネと国王クリスチャンはそれぞれ、ストルーエンセの思想に感化され、様々な改革を行なうが、
クリスチャンの腹違いの弟を王座につけたい皇太后の謀略にはめられてゆく。

カロリーネとストルーエンセの恋愛がメインなのかと思っていましたが、そうでもなかったです。
ストルーエンセは、実に様々な側面を持った人物なのです。
王妃に心奪われるところは、平凡なひとりの男であり、
実質的な権力を枢密院に握られて無力な国王を励まし、導く父親のような存在でもある。
王妃を愛していることは確かだろうけど、妊娠が発覚すると、国王を王妃の寝室に行かせるように仕向ける策略家でもある。
貧しい国民のために様々な改革を断行する一方で、改革を急ぐあまり無謀な法律を作ったり、権力に拘るという一面もある。

そのせいか、ストルーエンセという人物像に一貫性がないような印象も少し受けたのですが、
結局人はいろんな側面を持っているし、様々に揺れ動くものなのですね。
ストルーエンセの改革があまりに急激すぎたため、彼の失脚後デンマークには「暗黒の時代」が戻ったとか。
しかし、カロリーネが産んだ息子（ストルーエンセではなく、クリスチャンとの間の子）の治世は繁栄したそうです。

カロリーネ役の女優さんは、「アンナ・カレーニナ」にも出てましたが、なかなかいいですね。
でも、ちょっと長かったです。

タイトルどおり、王室の不倫物語なんですが、
王室ドロドロ劇って、なんでこうも面白いのかしら。

面白いって言うより、
山あり谷ありがクッキリで
落すところはどーん！と落す、
あの感じが見入っちゃいますね。

しかも本作はデンマーク王室の
史上最大のスキャンダルと呼ばれたエピソードを
今ノリにノッてるデンマークの至宝マッツミケルセン主演で描くわけですから♪

精神を病んでる王の侍医でドイツ人のストルーエンセ（マッツ）が
王妃との不倫、さらには事実上の摂政で
ウラからデンマーク王国をコントロールする！？

そんな話です。

これだけ聞いただけでも面白そうな感じがプンプン。

でも、ストルーエンセは
あの国王の姿を見て
国民の窮状を知り
良かれと思って物言いをし、改革を進めてきた人物で
不倫さえなければここまで糾弾されることもなかったんじゃないか？
と思うわけですが、
やはり彼がデンマーク人ではなかったことも引っかかり、
不倫の末の・・・・・もあったため
あの結末を迎えたんだろうか。


正直、映画を観ている間は
このストルーエンセ、
善人なのか悪人なのか
どっちなのかわからないんです・・・

で、病んでる国王がものすごくダメ国王で
王妃も若くしてこの国王と結婚したため
かわいそうな王妃だわ・・・
なんて思いながら見ちゃってるため、
不倫スキャンダルとはいえ、
これは、仕方なかったんじゃないかな？
とか思うのです。

事実ストルーエンセは国の改革のために
尽力してるわけですし。

ただ、その崇高な志があるだけに
不倫の末の不用意な・・・・は・・・・
どうかなあ、なんて思ったけど
この時代はソレを回避するという概念はなかったんだろうなあ。

野心家で、政治をコントロールするならば、
その辺も抜かりなくやらないと
足元すくわれるのはいつの時代も同じなんですね。

いくら、国民のために動いた人物であろうとも。

救いの無い結末ですが、
その次の世代に光が差したのがせめてもの救いです。
というか、これがキッカケで次の治世から状況は好転したのですね。

重たく、ドロドロだけど、おススメです。

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王の侍医ストルーエンセさんは庶民のために改革を進め頑張ったと思います。そういうところはすごいなと思いました。ただ王妃との不倫愛はいかがなものかと思いました。それがなかったら改革を進めた英雄になれたかもしれないなと思いました。恋するゆえに嫉妬したり冷静にいられなくなっておかしくなっていく姿がみじめにも見えました。王妃の気持ちも分からなくはないです。期待に胸をはせイギリスからデンマークに嫁いできたのに王は病気とはいえ奇行すぎると最初から分かって結婚すればまだ納得したかもしれなけど、王妃もまだ若いし辛かったのだと思います。
でも、王もかわいそうな人だと思いました。そして本当はすごく優しくて王妃のことも想っていてせつなかったです。さすがに子供が出来てそれを王の子供として育てようとしたところはいくらなんでもひどすぎるし、王がかわいそうでなりませんでした。そんな裏切られたのに最後まで信じかばった王は素敵な人にも見えました。王と、王妃の間で生まれた子供が立派な大人になって改めて改革を進めてくれたのがせめてもの救いだなと思いました。王も王妃もストルーエンセさんの気持ちもそれぞれ理解出来るのでせつなかったです。

感想･総評：重い作品です。どこの国にも似たような話があるような・・・

対象年齢：高校生以上（残酷な場面あり。Ｈ場面あり。字幕です）

食事中に見られるか：無理でしょう