桜、ふたたびの加奈子

新津きよみの『ふたたびの加奈子』を映画化です。幼い我が子を失うも生まれ変わると信じる妻と彼女を支える夫の苦悩と希望を描いていて、大事な人を亡くした時の喪失感から自分を取り戻すために過ごす時間を ゆっくりと丁寧につくられていると思いますが、あまり感情移入できませんでした。
ちょっとホラー要素があるので、サスペンスファンタジーとして見た方が良いのかもしれません。

小学校の入学式の当日、自分が目を離した隙に、交通事故で娘の加奈子を亡くしてしまう容子（広末凉子）。以来彼女は自責の念に駆られ、夫の信樹（稲垣吾朗）も理解できないほどの、深い悲しみの底に沈み込んでいきます。
後悔と自責の深い苦悩はさらに他の子供をわが子の転生と思い込んでしまう辺りは、ちょっと行き過ぎのような気がしました。
広末凉子が、娘の生まれ変わりを盲信するあまり、思いがけない行動に出る母親の悲しい性を体現。
物語はそんな容子が徐々に壊れていく姿を丁寧に追います。
容子の気持ちは理解できなくもないですが、周囲は迷惑でしょうね。

佐村河内守さんの弦楽曲がヒロインの揺れる心情とシンクロしていて、闇に引きずり込まれる感じで怖かったです。
最後がホラーなオチで、ここもちょっと受け入れられませんでした。

子どものいる両親は自分の子供がと思いながら見たら感情移入出来るかもしれないですね。容子さんの気持ちもご主人の気持ちも分かります。実際にあんな状況で亡くなったら特に母親は自責の念にかられると思います。
生まれ変わりを願う気持ちも分かるし、正直自分もそのようなことが本当にあるかどうかは分からないけどあるなら今度生まれ変わるならこうなりたい、こういう人間で生まれ変わりたいとか思ってしまうから。

容子さんの気持ちはすごく丁寧に描かれてると思うけど周りの人達はどうかなと思いました。実際けんいちくんの両親は容子さんの気持ちは分かるにしてもあんなふうに出来るのかなと思いました。けんいちくんの両親も辛くないのかなと思いました。しばらく預けれる心理も理解できなかったです。映像は春らしく桜がきれいでした。弦楽曲は少し暗くて怖かったのと気分が余計に重くなりました。広末さんは難しい役を頑張ったと思います。ラストは不評が多かったけど私はそんなことなかったです。

評価６９点(１００点満点)
幸せに暮らしていた若い夫婦を襲う突然の悲劇、一人娘加奈子を小学校の入学式当日交通事故でを失い、決してその娘の死を受け入れられない母親容子(広末涼子)、
娘はまだ生きていると言いはり自分にはその姿が見えるのだという。その心情を理解しながらも立ち直れない妻を夫(稲垣吾郎)は苛立ちながらもなんとか支えようとしている。
こんな夫婦の状態が加奈子の初七日、四十九日、一周忌、三周忌と法事の節目で描かれている。
「会いたい、会いたい、会いたい」と後悔と自責の念で自殺まで図ろうとする容子、「こうしていても前には進めない。加奈子の死を受け入れよう。子供は又授かるかもしれない」夫は極めて常識的。
容子はたまたま知り合ったシングルマザー正美の子供が加奈子の生まれ変わりと信じるようになって養子縁組まで申し入れるのだが、正美はこれがきっかけとなって母親の自覚に
目覚める。
死んだ魂が再び他人の姿になって生まれ変わる「輪廻転生」という考え方はインド、チベット仏教にあるが、娘の死をいつまでも受け入れられない容子はやはり精神を病んでいるといってもいいのだろう。夫はギリギリまで彼女を支えようとする、この優しさも彼女には伝わらないのだろうか。
そして今度は正美の先生だった女性の男の子が加奈子の生まれ変わりだと確信する容子、確かになんとなく信憑性のある話で夫をはじめ男の子の両親も完全に否定はできない、
でもその子は自分の子ではないしその子の持っている加奈子としての記憶が消えればなにも残らない、その子を思いをこめて抱きしめる容子。
これで容子は娘の死をやっと受け入れ立ち直ることができるのだろうか。
そして最後にオチのような部分。
なんとなく違和感の残る作品であった。

　映画のタイトルにパンチがないため魅力を感じずこれまで手に取ることがなかったのですが
いざ観てみたら私はとても面白かったです。
　ストーリー性がないようでいて、意外と展開があり、ぐいぐい引き込まれます。

　地方都市の四季も美しく描かれていて、その丁寧さはテレビドラマでは出せない味だと思います。

　稲垣吾郎と広末涼子の演技も、悲しみの表現がお父さんとお母さんではこんなふうに違うのかな
といったあたりがよく出ていたと思います。
　
　

愛おしい子供を亡くした親の気持ちは当事者にしか分からないと思います。
父親と母親とではまた違います。
母親は「死んだ子供の歳」を数えてしまいます。

良く幼い子供は前世の記憶がある。なんて言うけど・・・
この映画の様に本当に話始めたら複雑な気持ちになるでしょね。

ラスト・・・自殺未遂の真相がわかりますが・・・
「天国に先だった人が愛する人を見守ってくれている」本当にそうあって欲しいですね。