上京ものがたり

西原恵理子さんの自伝的コミックが元になっているそうで、
彼女がどんな苦労をしながら成功していったのかが知りたくて観たんですが・・・。

このカラフルでかわいいジャケットとキャスティングをみた段階で気づくべきでした。
西原さんが苦労された時代を再現しようなどという気は、はじめから作り手にはなかったのでしょう。
時代設定が限りなく現代に近くなってるので、とにかくすべてがきれいすぎます。
だいたい「上京」という言葉に、もう昔のような切迫感や決意はなくなっているのだから、仕方ないのかもしれません。

「お金がないからいつも同じ服を着ている」主人公ですが、
「同じ服」といってもやたらとかわいいコーディネートですし、
捨てられた絵の具を漁るシーンも全く切迫感なし。
北乃きいちゃんはかわいすぎて、とてもエロ漫画を書くようにはみえませんでした。
時々挿入される父親のことも、
娘をのこして死んでしまうアルバイト先の同僚のエピソードも、すごく中途半端な気がしました。

全く働く気がないダメな恋人が一応カメラマン志望なんだけど、
まさか鴨志田さんの若いころがモデルじゃないですよね？？

自伝的ってことは実話なのかなと思いました。それぐらい実際にありそうな話だなと思いました。でも、夢を持って上京して何度もあきらめそうになり、グダグダになっても最後には出版まで出来て本当に良かったなと思いました。彼氏の良介はどうしようもない人だなと思いました。でも、なんか憎めないし、弱ってる時にそばにいて優しくされたら受け入れてしまいずるずると居すわせてしまうのも分からなくもないです女性の気持ちをつかむのが上手なんだろうなと思いました。実際自分でたくさん稼ぐ女性にはこういう男性はいいのかもしれないなと思いました。彼に収入面をもとめないならありなのかもと見ながら違うことを考えてしましました。もちろん彼女は別れて良かったと思います。でも、ラストの終わり方でこの二人は結局どうなるのかなと思ってしまいましたが。彼にも夢を叶えて欲しいなと思いました。

北乃きいちゃんがすごくかわいかったです。衣装もかわいくてこの役に合ってると思いました。池松壮亮さんの演技もすごく良かったです。いろんな作品で全然違う役どころを見るのですが若いのに存在感があってすごいなと思いました。この役も良く合ってました。

最近原作が漫画の作品が多い日本映画ですが、どうも食い足りないと言うか物足りなさを感じてしまいます。この作品も特にこれというものがなくて，見終わった後も何も感じることが出来ませんでした。こういう感覚の映画が増えつつあるような気がしてなりません。もう少し余韻を残してもらいたいというのが正直な感想で、別に見なくてもかまわないし，見る必要もなかったように思いました。漫画の原作が悪いわけではないですが、ここらへんで再考するべき時期に来ているような気もします。