バイロケーション

ホラー小説大賞長編賞を受賞した法条遥の同名小説を映画化。
自分と同じ姿、形、個性をもったもうひとりの自分が出現するという謎の怪奇現象「バイロケーション」を題材に、「バイロケ」と呼ばれる凶暴なもうひとりの自分に襲われる女性の恐怖を描きます。
ある日、スーパーで身に覚えのないニセ札の使用容疑をかけられた高村忍（水川あさみ）は、防犯カメラにいないはずの自分が映っていたことを知ります。
そして忍は、自分と同じようにバイロケに悩まされる被害者たちの集まりに参加します。

世界中でバイロケーション現象が報告されているとは、知りませんでした。映画冒頭に女性教師の事例が描かれています。
どちらかが本物でどちらかが偽物なので、これは本物？偽物？と戸惑うところもありました。
ちょっと残念なのが、途中まで説明が長すぎたのと、伏線が回収されてなくてすっきりしない部分が残ります。けれど、予想しない驚きの展開に、やられた気分です。ラストは切ないですね。
説明が長すぎたので、もう少し脚本が練られていると良いと思いました。
バイロケーション現象は、自分の押さえ込まれた感情や願望で超常現象として現れるものだとするならば、それは切ないですね。

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ホラーちゃうわ！ ミステリー・サスペンス＾＾

狂暴なもう１人の自分 通称「バイロケ」が本当の自分を襲いにやって来る？
偽物は都合良く消えたりする。殺せたとしても次のバイロケがやって来る。
そんな恐怖に晒された水川あさみが同じ悩みを持つ人々らと協力し合う事にしたのだが・・

良くある題材だが オモロい題材でもある。上手く再利用した結果と言えよう。
それまで本物だと思っていた水川あさみが実は偽物だったりと、ヒネリも効かせ良く練られたシナリオ。
あれが偽物で これが本物で・・という理屈は理解したが、ごちゃごちゃで凡脳では整理つかぬ。
劇場ではなくＤＶＤで巻き戻しながら再度じ〜っくり観たくなるような秀作。２時間ずっと飽きずに夢中で観れた。

本作はバイロケーション「表」である。
「裏」も劇場公開しているが、別エンディングって言うより、どうやら数分追加されただけのようだ？でも観てみたい。

前作の「リアル鬼」は黒沢清の「勝手にしやがれ」をリメークした体裁ながら　あまりにつまらぬ原作に　勝手にしやがれと
精いっぱいの映画的抵抗　根性を見せたのであるのが安里麻里の本音だろう

今作は角川ホラー文庫２０周年とやらで　ボクのような恐怖小説オタクが読みたくもない　文庫シリーズで　ハグしちゃう
角川太郎ちゃんの道楽に付き合うようでいやな予感はするのだが　さて

そして冒頭　「リアル鬼」と違って最初のショットから全面的に映画だ！　キャメラは月永瑛太　この若手は信頼できるよ　
そしてなんと主人公の住んでるその部屋は「リアル」ではないか　黒沢清だよん　主題からは黒沢の「ドッペルゲンガー」なのだが　
それを「リアル」でやるわけなのだ　これは確信犯だなあ　原作はどうあれ「リアル鬼」など映画にはならない題材だ　
今作は脚本から気合入れまくりで　映画にしているのだ

視覚障碍者との結婚　主人公を見る側はどこか曖昧な視線を持つ　これはある種の伏線となるわけだが　バイロケは
実在感と暴力性が強いリアルな存在である　二時間も上映時間があるのが不安になるが　９０分でフィリップディックのテーマが登場　
人間存在の曖昧さだ　簡単に言うと　どっちでもいいじゃんのテーマ　それが恐ろしく哀しい結末に繋がるだろう　別ヴァージョンが当然あるのですね

寺島しのぶに似た　主演の水川がとても良い　主題が似た「深紅」など何作か見てるはずだが　演技的に鍛えられた今作は
見違えるようだ　「ドッペルゲンガ」を反復しながら「リアル」を少なくとも　超えてしまった安里麻里の最高作の更新だ　何とも落ち着いた
大人の哀しい愛の世界を描いて　空疎な「リアル」を超えることで　安里麻里は黒沢清の血を正統に引き継いでいるのだ

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桐山忍（水川あさみ）は、ＯＬ時代に蓄えた貯金で一人暮らしをしつつ、絵画コンクール作品を制作中のプロ画家志望の地味な女性。
作品のテーマは、その自室６階の窓から見える山並みと町々。
作中、彼女の背景については触れられないが、地味で質素、顔中墨だらけにしてタバコをふかし、ひたすら描き続ける彼女は、けして裕福ではなく、親含め親しい友もおらず、暗く重たく寒々しい画風は追い詰められた彼女の心情そのものを現してもいるようだ。

が、ある日、その部屋に一人の男性が訪ねてくる。
彼は高村勝（まさる＝浅利陽介）。５階に越してきた挨拶だった。
白杖を頼るほどの弱視者だったが、屈託のない笑顔は、彼女がふと寄りかかるには十分な優しさが感じられた。

２人は程なく入籍する。
勝の両親は激しく反対していたが、勝はその両親を根気よく説得、生活拠点は勝の部屋だった５階、忍は６階の部屋を作業部屋として通い、創作を続ける毎日を幸福だと感じ始めた頃、忍の周囲に異変が起こる。

スーパーで偽札を使ったとあらぬ疑いをかけられたのだ。防犯カメラには自分と瓜二つの女性まで映っている。
店員に呼ばれた刑事を名乗る男、加納（滝藤賢一）は、忍を連行する名目で事務所から連れ出すが、偽札として押収した万札は、程なく男の手の中で霧となって消えた。

混乱し怯える忍を加納は、凝ったアンティーク趣味の洋館の”バイロケーションに悩む人々の会”に案内する。

メンバーは、失職の危機に追い詰められている加納を始め、難病の息子を抱える主婦の真由美（酒井若菜）と、軽薄な大学生の御手洗（千賀建永）は、飯塚と同様、自分の分身”バイロケーション（＝バイロケ）”の被害者だという。
謎の青年加賀美（高田翔）はバイロケの研究者で、主宰の飯塚（豊原功補）は、加賀美と協力し、忍を必ず守るというが・・・。

バイロケーションとはよく言うドッペルゲンガーとは違う何かで、
１、バイロケは、オリジナルの完全なコピーで実体があり、ヒトとしての日常生活も営める。
２、バイロケは、オリジナルの強い願望や鬱屈した感情など、精神的に昇華できないパラドックスが生じた際、オリジナルにもバイロケにも無自覚のまま発生する。
３、バイロケが発生し存在できるのは、オリジナルの半径約１,５ｋｍ以内に限られ、それを外れると消滅する。
４、バイロケ出現に連動して発生したアイテムは約２３分以内に消滅する。
５、オリジナルが負ったケガや記憶は、バイロケに上書きされ反映するが、バイロケが負ったケガや記憶はオリジナルには反映しない。
６、オリジナルは鏡に映るが、バイロケは映らない。
７、バイロケは、自分こそがオリジナルだと思っていて、オリジナルよりキャラが濃い。

まーつまりは生霊みたいな何かという設定だし、その上”バイロケの会”にもルールがあったりするので、パラレルものやパラドックスものにありがちな無理は承知の穴だらけなのだｗ
しかも途中、なんちゃらの館だの秘密集会だのあたりでかなりなやっちまったな感があるけど、けしてそこでサジ投げないでいただきたいｗ
これはおもしろいｗｗｗ　しかも切ないし、たまらない。

切ないって、恋とかじゃなく、人間誰しも少なからず「オレはこんな人間じゃないのに」とか「こう見えてもアタシは」とかたどり着けなかった希望とか願望とかを抱え、明日はそうなろうとか逆になるまいとか踏ん張りながら日々生きてるわけで。
そういう日々の中で、自分って終わったなとため息ついた経験のある諸氏は、騙されたと思って見て頂きたい。

忍がね、最後、ポローっと泣くのよ。

ここには２０代の自分の全てが詰まっている、と自身が言う油絵具に汚れたタバコ臭い部屋で。

何度見ても、本当につらい。たまらない。心が痛い。

脚本演出はほとんど２役の絶妙な差異に手抜きがないし、水川ってこんなにすごい女優だったのかと思えるほど差異の微妙な機微を表現しきっているし、
真由美役酒井若菜のキレっぷりも最高、加納役滝籐賢一は言わずもがな、おばけも無し、特撮も地味なのに、マジでここまで持ってかれるとは思わなかった。
裏とか表とか原作とか、天下の角川なのでいろいろ連動してるようだけど、この一本で十分満腹感がある作品だと思います。

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オチは目新しいものではないので予想できました。
SF映画のクローンものによくあるパターンですよね。

でも「いったい何が始まるの？？」という静かで美しい冒頭でつかみはバッチリだし、
映像も終始美しく、間（ま）の取り方が絶妙で、ていねいな展開、
なかなか雰囲気たっぷりな作品に仕上がっていたと思います。

主演の水川あさみと彼氏（夫）役の俳優さんがとてもよかったですね。
あと「半沢直樹」の遠藤役だった滝藤賢一、またもや怪演！！

でも途中でバイロケの見破り方のルールがホゴにされたのは
ちょっとズルいですね^^;