ウォーキング・ウィズ・エネミー　ナチスになりすました男

ユダヤ人とナチスの話。ナチスの将校や兵士たちが徹底的に悪い人間として描かれてある。血も涙もない極悪非道の殺人狂になっていた。実話となってるが、ホントかなって思った。
あまり余計なことを考えずに素直に観れば楽しめるかも・・

ウォーキング・ウィズ・エネミー ／ ナチスになりすました男（２０１４年、アメリカ・カナダ・ルーマニア・ハンガリー、カラー、１１３分）

ナチスの親衛隊将校に変装し、何千人ものユダヤ人を救った実在の人物ピンチョス・ローゼンバウムという人を初めて知りました。
本作ではエレク・コーエンという名前に設定されており、創作映画とはいえ、第二次大戦下におけるハンガリーを舞台にした作品は珍しいのではないでしょうか。ハンガリーが降伏したことを喜ぶハンガリーの人々．．．私の知らなかった世界を映画はまたひとつ教えてくれました。

１９４４年、第二次大戦下のハンガリー。ナチスに侵攻される９カ月前のブダペストは、まだ比較的平穏な状況であった。レコード店に勤めるユダヤ人大学生のエレク・コーエン（ジョナス・アームストロング）は、友人たちと出かけたクラブで、ハンナ（ハンナ・トイントン）という女性と知合い、恋におちる。一方、ナチス・ドイツ同盟国のハンガリーは、国家元首のホルティ（ベン・キングスレー）が連合国との講和を模索していた。戦況が連合国側に傾き、国民の危機を回避するためである。ところが、ハンガリー・ファシスト政党からの情報により、ホルティの思惑に気づいたナチスの親衛隊は国境を越え、アイヒマン中佐（チャールズ・ハベル）指揮のもとブダペストへ侵攻、ユダヤ人の一掃作戦を開始する。いきなり戦争の矢面に立たされたブダペスト。エレクが勤めるレコード店の主人ヨゼフ（サイモン・クンツ）は、少ない売上金をエレクに渡し、故郷の村へ帰るよう促す。やがてナチスの指示により、ユダヤ人男性は労働奉仕に駆り出されることになり、ユダヤ人労働収容所へ連行される。恐怖に怯えながら、ただ家族に会うために働き続けるエレク。ある日、線路の修復作業をしていると、アメリカ軍の戦闘機がナチス兵たちを攻撃してきた。その混乱に乗じ、エレクは同僚のフレンツ（マーク・ウェルス）と共に運よく脱走する。

エレクが脱走してから、ナチス将校に変装するまでの流れは、あえて触れませんが、本編では丁寧に描かれています。
果たして、将校になりすましてからのエレクの行動は無謀としか思えません。
映画の面白さからいえば、敵をいかにして欺くかという緊張感は十二分に味わえます。

ユダヤ人はアイヒマンが担当して仕切る。国（ハンガリー）はスコルツェニーが仕切る。
本編のなかで、２人のナチス中佐が言い放っていました。
スコルツェニー中佐は顔の左頬に傷跡があり、扮したバーン・ゴーマンが不気味な異様さを放っています。言い換えれば、よく似合っている。
彼は「ダークナイト・ライジング」（２０１２年）に出演した時から、不思議な表情をした俳優だと思って興味を持っていました。

惨いとしか言いようのないシーンもありますが、音と演者の表情で、映像は正視できます。
ハンガリーのファシスト政党で、「矢十字党」という組織があったことも初めて知りました。

家族や仲間を助けるためにここまでするのかなと思うと見ていて苦しくなりました。ナチス関連の作品は実話だからか本当に見ていて力が入ります。

第2次世界大戦下のドイツ・ナチスに侵攻されたハンガリー
ナチス兵になりすまして多くのユダヤ人の救出に命をかけて戦った実在したユダヤ人青年の感動作品

この映画で描かれている事は大筋では真実なんだろうが、映画の描き方の問題で真実味が迫ってこないのでは。
ナチスへの潜り方が安易で、救出作戦もやっている事が単純で同じ様な事の繰り返しで緊迫感が余り伝わってこない。
映画では摂政ホルディの息子はミクローシュは殺され、矢十字党のコヴァルツは射殺されたようになっているのに、最後のクレジットでは真実が述べれているのは何故？
この映画のモデル　ピンチャンス・ローゼンバウム氏の勇気には脱帽しかないが残念。