シークレット・チルドレン　禁じられた力

（2015年製作・アメリカ）
結論から言えば、深みのない展開で印象に残らない作品でした。
「君の名前で僕を呼んで」のティモシー・シャラメが兄役で出演してますが
「妹思い」という他は、オススメポイントは見いだせないです。

「エヴァとザックの兄弟には瞬間移動の超能力があった。能力を恐れて災いを危惧した父は、
外界から遮断された広大な森の奥で家族4人だけで暮らす。しかし・・・」

森や湖、洗濯板で洗い物をし、マキを割る生活、ロケーションは緑あふれてきれいでした。
（監督はアンドリュー・ドロス・パレルモ。「ア・ゴーストストーリー」の撮影他）

まだ10代と思われる兄弟に、能力を使ったからと結構キツイ制裁を加える父。
（なんだ、一番の怖がりはお父さんなのね。）
隔離したからって別の問題が生じますから。子どもたちの将来を考えてほしかったです。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

低評価らしいのですが、結構良かったな、というのが感想です。
シャラメが美しいのはもちろん、兄妹に寄り添って見ていくと、家族4人で始まった物語が、最後には兄妹ふたりが、自由を得て解放される結末で終わります。ラストに差し込まれる両親とのシーンが、彼らが自由の代償としてきたものを際立たせています。どのような生活が、また人生が彼らにとっての幸福になるのだろうか、と考えさせられます。

評価されなかったのは、際だった発想や場面展開が乏しく、結末の結び方に工夫がなかったことや、何を伝えたかったのかぼやけてしまっているところなどにあるのでしょうね。またテレポーテーションの描き方も中途半端に見えているのでしょうか。

この兄妹が両親に守られた環境で、それぞれの能力を発達させていったら、自分以外のものも同時にテレポートさせられる力を得るところまで行けたのではないか、と空想します。X-MENのナイトクローラーはすごいのだと思います。妹がテレポートできるのは、10〜20メートルくらいにしか見えませんから、もし訓練したら、もっと遠くへテレポートできたでしょうね。

物理は詳しくないけれど、テレポーテーションは、瞬間的に肉体の各原子と電子の結合を解いて、同時にそれを空間移動させる、場合によっては時間も移動させ、目的地で、原子と電子をもとの肉体とまったく同じように組成（結合）する、ということなのだと思います。このときに異物が紛れ込んでしまうと恐ろしいことになりますね。

父親が息子を掴んだままテレポートはする（息子によって、させられる）のだけれど、肉体が耐えきれず亡くなるシーンでは、耳から脳脊髄液がのぞいているように見えました。（見直していないので気のせいかもしれません）　もしそうだとすると、兄妹は人と違った脳を持っている、または脳機能がある、という設定なのでしょうね。

脳から信号が送られて体を動かせるように、どこからかテレポート信号が送られて、肉体が呼応してテレポートを始める、ということなのかな？　しかし脳自体もテレポートするわけだから、テレポーテーションのコントロール中枢は、脳内、肉体内にあるのではなく、人間の肉体もその一部となっているより大きな個体のどこからか、信号は送られるのではないか・・・と想像を膨らませてみると、映画も楽しめるかもしれません。

シャラメが好きな人には、お勧めです。これからの彼の成長、活躍が楽しみでなりません。