獄門島

金田一と言えば
古谷さんか石坂さん
そのイメージをブチ壊そうとしたNHKは
新たに長谷川さんを金田一に起用し
破壊と創造を試みました。
それは冒頭にいきなり流れてくる
金田一シリーズにまさかのマリリン・マンソン
「キリング・ストレンジャーズ」からも
ありありと感じることができます。
違和感と昂り。
一体どんな金田一が表現されているのか、と
期待も膨らむというものでした。
「獄門島」は
金田一の原作としては人気の高いもので
これまで何度か映像化されています。
なのでその都度の作品で
人物相関図や設定に多少の変更はあれど
大まかな流れは頭に入っている状態なので
より、新しい金田一像に集中できました。
そして表現された長谷川版金田一は
破壊と誤創造といっていいものになっていました。
長谷川さんの演じる役は
良くも悪くも「長谷川さん」になってしまいます。
つまるところ
長谷川色が強く色濃く出過ぎた金田一でした。
金田一というか長谷川さんでした。
神経質で
どこか相手より一段高いところからの物言いで
圧をもってまくしたて
それは
最も長谷川さんが得意とする
長谷川劇場の幕開けでした。
申し訳程度に金田一
そんな程度の金田一感だったと思います。
そんなんなんで
新しさは十分に感じます。
例えば、金田一の癖として
誰もが知っているであろう
頭をかいてフケが落ちるくだりも
頭どころか首筋までかきむしる始末で
神経質で近寄りがたい
関わりたくない人のオーラが出ており
どこかおっとりとしたところがある
これまでの金田一像とは
確実に違ってしまっているのでした。
破壊が過ぎるとNHKも思ったのでしょうか。
次作以降は
金田一が吉岡さんにチェンジします。
吉岡さんは
石坂さんや古谷さんに
近いイメージを持っているので
観るのが楽しみです。

今回、この獄門島を再鑑賞してみると
初鑑賞当時は気にもしなかった
現在ブレイク中？間近？の
堀田真由ちゃんが出演しているという
気付きがありました。

2013年1月4日に刊行された”東西ミステリーランキング100”で堂々の第一位に輝いた原作の映像作品。
1986年に刊行された同書でも第1位だったという
ミステリーファンから愛されてやまない不朽の名作といえます。

梅の古木の枝に美しいニシキ蛇が絡まるように
まっさかさまに吊るされた花子の死体を発見した際に和尚が発した言葉。
耕助には”気ちがいじゃが仕方がない”と聞き取れたのですが、それが疑惑・謎となり、
新たな連続殺人が巻き起こっていくわけですが、原作通りに表現されていて一安心しました。

田舎特有の因習を背景とした特異な犯人像、
耕助が”これは言いたくなかったのですが”と打ち明ける救いようのない真実…

長谷川博己さんの演じられたヒールチックな金田一耕助像が追い打ちをかける
斬新な演出となっていますが、あまりに皮肉な運命とのバランスをとるうえでも、
従来通りの風変わりで飄々とした金田一耕助の方が私は心地よいかな。