私の知らないわたしの素顔 / ジュリエット・ビノシュ
私の知らないわたしの素顔
/サフィ・ネブー
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全体の平均評価点: (5点満点)
(14)
解説・ストーリー
ジュリエット・ビノシュがSNSで若い女性になりすまし、若い男性との疑似恋愛に嵌っていく中年女性を演じるフランス製サスペンス・ミステリー。次第にヴァーチャルな恋愛に溺れていくヒロインの姿を二転三転する展開でスリリングに描き出す。共演はフランソワ・シヴィル、ニコール・ガルシア。監督は、これが日本初紹介となるサフィ・ネブー。精神分析医ボーマンのカウンセリングを受けているバツイチで50代の大学教授クレール。若い建築家と恋に落ちたのもつかの間、すぐに捨てられてしまった彼女は、24歳のクララとしてSNSのアカウントを作ると、自分を振った男の友人アレックスに近づく。するとアレックスはたちまちクララの虜に。クレールもアレックスとの疑似恋愛を楽しむが、やがてお互いに直接会いたいとの気持ちが抑えがたくなっていくのだったが…。 JAN:4562474214513
ジュリエット・ビノシュがSNSで若い女性になりすまし、若い男性との疑似恋愛に嵌っていく中年女性を演じるフランス製サスペンス・ミステリー。次第にヴァーチャルな恋愛に溺れていくヒロインの姿を二転三転する展開でスリリングに描き出す。共演はフランソワ・シヴィル、ニコール・ガルシア。監督は、これが日本初紹介となるサフィ・ネブー。精神分析医ボーマンのカウンセリングを受けているバツイチで50代の大学教授クレール。若い建築家と恋に落ちたのもつかの間、すぐに捨てられてしまった彼女は、24歳のクララとしてSNSのアカウントを作ると、自分を振った男の友人アレックスに近づく。するとアレックスはたちまちクララの虜に。クレールもアレックスとの疑似恋愛を楽しむが、やがてお互いに直接会いたいとの気持ちが抑えがたくなっていくのだったが…。 JAN:4562474214513
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「私の知らないわたしの素顔」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
ジュリエット・ビノシュがSNSで若い女性になりすまし、若い男性との疑似恋愛に嵌っていく中年女性を演じるフランス製サスペンス・ミステリー。次第にヴァーチャルな恋愛に溺れていくヒロインの姿を二転三転する展開でスリリングに描き出す。共演はフランソワ・シヴィル、ニコール・ガルシア。監督は、これが日本初紹介となるサフィ・ネブー。精神分析医ボーマンのカウンセリングを受けているバツイチで50代の大学教授クレール。若い建築家と恋に落ちたのもつかの間、すぐに捨てられてしまった彼女は、24歳のクララとしてSNSのアカウントを作ると、自分を振った男の友人アレックスに近づく。するとアレックスはたちまちクララの虜に。クレールもアレックスとの疑似恋愛を楽しむが、やがてお互いに直接会いたいとの気持ちが抑えがたくなっていくのだったが…。 JAN:4562474214513
「私の知らないわたしの素顔」 の作品情報
「私の知らないわたしの素顔」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
私の知らないわたしの素顔の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
101分 |
日 |
仏:ドルビーデジタル5.1ch |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
R-15 |
TCED5100 |
2020年07月08日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
12枚
|
1人
|
1人
|
私の知らないわたしの素顔の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
101分 |
日 |
仏:ドルビーデジタル5.1ch |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
R-15 |
TCED5100 |
2020年07月08日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
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ユーザーレビュー:14件
女性の無意識の呪縛、潜在的な自己嫌悪の罠
多くの人は、この映画を、夫にも恋人にも去られ、SNSで若い女性を装って若い男性を誘惑し、ヴァーチャルな恋愛を楽しんだ末に自滅した哀れな中年女性の物語だと解釈するだろう。そして、何と愚かだとか、何と女性は怖いのかとか、感じることだろう。
けれど、クレールは一方的な加害者なのだろうか。物語が直接的に描かれるのではなく、セラピーとして精神分析医に告白する形の二重構造で間接的に進行していることは、そんなに単純な話ではないと思わせる。セラピーを受けているということは(しかも9か月以上入院している)、少なくとも彼女が深刻な精神的問題を抱えているということだ。その原因はどこにあるのだろう。アレックスとのSNS上の恋愛は、その病理の表出に過ぎないのではないか。現実の自分自身を受け入れられず、24歳のクララこそが本当の自分だと自己逃避しているのは、どうしてなのだろう。
とても大雑把に自説を書いてしまうが、女性は、若く、美しく(可愛く)、男性に愛される存在でなければ価値がない(少女漫画の多くはこの価値観を助長する)という文化に、幼いときから強迫的に晒されている。女性が無条件で自己肯定感を持ちにくい社会だ。この映画を観ると、フランスも例外ではないのだろう。恋愛至上主義の社会なら、なおさらかもしれない。
クレールの夫は彼女よりはるかに若い女性を選び(後により辛い状況だったと分かる)、彼女を捨てて精神的ダメージを与える。知的なはずの大学の同僚の男性たちは、男性が若い女性と付き合うのは当たり前のことだが、女性は違う、同じようには語れないと、平気で本音を言ってのける。クレール自身も医師に「私みたいな(中年)女」は誰にも注目されないと自嘲する。大学教授という立派なキャリアがあり、2人の子どもにも恵まれている彼女ですら、ありのままの自分を肯定できない。
クレールが大学の講義で取り上げる作家や作品と現実とのギャップの大きさは眩暈がするほどで、痛烈な皮肉になっている。ラクロの『危険な関係』の主人公メルトゥイユ侯爵夫人(恋人のジェルクール伯爵は彼女を裏切り、彼女の従妹15歳のセシルと婚約)を、ボードレールが高く買っていると強調する。女性の自立を描いた20世紀の女性作家として挙げるのはマルグリット・デュラス。イプセンの『人形の家』のノラについては、「社会が決めた役割から自分を解放する姿を描く。社会が押しつけた規範に服従せず、闘おうとするノラに、私たちは共感する」と語る。それなのに、現実には、男性に愛される若く美しい自分に拘泥し、若い恋人に執着してしまう。架空の恋愛において彼女はとても自己中心的だが、それは現実の自己肯定感の欠如の裏返しなのだ。
映画の結末は、クレールが結局、自己嫌悪の罠、自己否定の堂々巡りから脱していないのではないかと暗示していて、暗澹とさせられる。
このレビューは気に入りましたか?
10人の会員が気に入ったと投稿しています
女の素顔が現れる瞬間が《もっと怖い》心理ミステリー
2019年(フランス)主演・ジュリエット・ビノシュ
クレール(ビノシュ)はSNSでの若いカメラマンとの恋愛でダメージを受けて入院している。
精神科医・ボーマン医師(高齢の女医)との対話が大部分を占めるが、
クレールの深層心理が次第に明らかにされ、クレールの嘘が露わにされる過程は、
スリリングである。
ジュリエット・ビノシュの演技。艶やかで繊細です。
50歳になり、大学教師の職と、別れた夫に、ふたりの息子。
若い恋人リュドに振られたことから、クレールは恋人だったリュドのルームメイトのアレックスに24歳の若い娘・クララを名乗り接近する。
クレールの意図通りにアレックスは若くてセクシーなクララに夢中になる。
メールのやり取りから、電話をかけるクレール。
アレックスはクララに逢いたいくて堪らなくなり、パリの駅で逢うことに・・・
目の前にクレールが居る・・・まるで見向きもしないアレックス。
送ったクララの写真の主しか眼中にないアレックス。
どうしても本当のことが言えずに、クレールが決断したのは別れの言葉だった。
これで終われば良くあるSNSの成りすましの恋愛話し。
ところがここから展開がこじれて行くのです。
リュドの言葉・・リュドの介入(予想外の展開)
心を病むクレール。
ボーマン医師とのセラピーでクレールが、過去のアレックスとのやり取りを思い出し、クレールの名乗った若い女・クララの実像とクレールの過去の交差。
クレールが、クララの画像の成りすましには深い訳があったのです。
そして更に二転、三転して・・・
ジュリエット・ビノシュの演技の巧みさに舌をまきます。
悩んでいる50女が、心が乱れ駄々をこねる少女の様だったり、
恋をむさぼる肉食のクーガー女だったり、心理描写の多様さに驚くばかりでした。
そして、ラスト。
このラスト・・・あなたはどう読みますか?
(底知れぬ沼・・・女の心の闇は深い深い沼地)
思わず観直す意味深なラストでした。
心の捻れた女が鮮やかな心理サスペンスでした。
このレビューは気に入りましたか?
6人の会員が気に入ったと投稿しています
50歳過ぎても脱ぎっぷりの良いジュリエット・ピノシュ
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
ジュリエット演じるシングルマザーの大学教授クレール。
本を執筆するぐらいだから著名な人物なんでしょう。
SNSで24歳の女性に成りすまし、自分を捨てた若い恋人の同居人アレックスに近づいていきます。
24歳の女性クララを演じていくことにより
平坦だった日々の暮らしが楽しくなっていくクレール。
気持ちはすっかり24歳で、外見も若返ったように綺麗になっていきます。
まあ、ここまでは良いとして、その後が単なる成りすましでは終わらないのがこの作品です。
クレールが何故24歳の女性に固執するのか
若さをこそ女性の美しさだと思うのか
精神科の女医に語っていく真実は、クレールの過去の傷の深さを感じさせる内容でした。
そしてラストシーン。
何度も巻き戻して観てしまいました。
アレックスが生きていることを知った後のクレールのあの行動は
彼女の闇の深さを表していました。
うーん、クレールに全く共感できなかったので
見ていて不愉快な気持ちにさせられました。
それにしても、50歳を過ぎた女性が、24歳のふりをして電話しているのに
その声に対して、24歳とは思えない、もっと若く聞こえる、って言うアレックスって(;^_^A
クレールの声はどう聴いても50女の声ですよ!
恋の魔法は恐ろしいですね。
SNSだと相手が見えないだけに余計妄想が入るのでしょう。
ジュリエット・ピノシュは相変わらずの脱ぎっぷりの良さであっぱれです。
このレビューは気に入りましたか?
5人の会員が気に入ったと投稿しています
孤独は人を蝕む
(ややネタバレ)
夫に捨てられ、恋人にも去られてしまった中年女性が、SNSで24歳女子になりすまして
若い男とのバーチャル恋愛にハマるというオハナシ。
プロットだけ見るとジュリエット・美の趣がこんな役やる?って違和感おぼえるくらい
トホホなヒロインに思えるけど、そういうんじゃなかったですね。
クレール(J・ビノシュ)は心を病んで心理療法を受けている。
愛する人に手ひどく裏切られたことで精神のバランスを崩した彼女は、心に開いた穴を新しい恋で埋める、
そういう恋愛中毒みたいになってたんじゃないでしょうかね。
そうして、なりすましでゲットした恋人との危うい関係を、精神科医とのセッションの中で語るという
回想の形でこのイビツな恋愛模様が描かれる。
大学教授という仕事もあって子どももいるのに、なんでそんなリスキーなことする?って
不思議に思うけど、逆にこれってフランスっぽいのかも。
個人主義ゆえに子どもが生きがいにはならないのかなと。
アムール(愛)のお国では、仕事より愛すること愛されることの方が大事なのかなと。
(ワーカホリックのアメリカ人とは違うって気がする)
「話す」ことは、問題を自分から「離す」ことになる・・・らしいです。
自分自身を客観視することが治癒につながるのでしょう。
でも、見たくない現実から目をそらしている間は、問題に絡めとられたまま。
現実逃避に過ぎない、若い男との恋バナを得意げに話しているクレールに、主治医がウンザリするシーンもある。
でも、この偽りの恋愛はトーゼン哀しい結末を迎え、傷心のクレールがそれを「物語」に書いたところから
流れが変わる。この劇中劇がまた面白いのですよ。
最後に彼女はずっと話せずにいた真実を告白する。
このカタストロフィが、まぁ想像はつくよね、というものなので弱いっちゃあ弱いのだけど、
この時に彼女が言う
「老いが怖いんじゃなくて、見捨てられるのが怖いの」
「大人だって弱いのよ」
というセリフは、ちょっと刺さりました。
孤独が人を蝕む。そういう話だと思いますよ。
自分の知り合いにも、自ら命を絶ってしまった子がいましたが、彼女の遺書には
「死ぬのは怖い。でも一人になるのはもっと怖い」とありました。
ラストは色んな解釈が出来るというか、その後の展開をいかようにも想像できるのだけど、
作り手は不穏な音楽で煽るんですね。ジュリエット・媚の衆に舞い戻っちゃいそう。イヂワルだなぁ。
このレビューは気に入りましたか?
3人の会員が気に入ったと投稿しています
ヒロインの心の傷は深い…
大学教授クレールは、精神科医カトリーヌの心理療法を受けている。
50代のクレールはSNSで24才のクララとなり、若い写真家アレックスと親密になった。
虚構の恋愛はやがて、クレールの心に痛手を負わせることになったのだ…
なんだかコメディになりそう話だが、クレールの暗い心の傷が描かれた作品。
クレールがアレックスに送信した「クララ」の写真や動画は、若く美しい女性。
彼女は「クララは、ネットから適当に選んだ女性だ」と言う。
しかし、医師カトリーヌはこの回答を捨て置かない。
クララは誰なのか早々に明かされ、クレールの心の傷がどこにあるのか、
容易に推察されてしまうのは惜しい。
だが、ラストシーンで見せるクレールの行動には静かな衝撃を覚え、
忘れがたい作品となった。
映像、音楽も美しい。
クレールは、同世代の男性を恋人として選ばない。
彼女は年下のリュドと交際し捨てられると、彼の友人であるアレックスに
若い女性を装って近づく。
クレールにとって若さとは、長い歳月をかけて育まれた愛や信頼を凌ぐほど
魅力的なものなのだろうか。
彼女の傷は深い…
このレビューは気に入りましたか?
3人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
女性の無意識の呪縛、潜在的な自己嫌悪の罠
投稿日
2020/07/23
レビュアー
hinakksk
多くの人は、この映画を、夫にも恋人にも去られ、SNSで若い女性を装って若い男性を誘惑し、ヴァーチャルな恋愛を楽しんだ末に自滅した哀れな中年女性の物語だと解釈するだろう。そして、何と愚かだとか、何と女性は怖いのかとか、感じることだろう。
けれど、クレールは一方的な加害者なのだろうか。物語が直接的に描かれるのではなく、セラピーとして精神分析医に告白する形の二重構造で間接的に進行していることは、そんなに単純な話ではないと思わせる。セラピーを受けているということは(しかも9か月以上入院している)、少なくとも彼女が深刻な精神的問題を抱えているということだ。その原因はどこにあるのだろう。アレックスとのSNS上の恋愛は、その病理の表出に過ぎないのではないか。現実の自分自身を受け入れられず、24歳のクララこそが本当の自分だと自己逃避しているのは、どうしてなのだろう。
とても大雑把に自説を書いてしまうが、女性は、若く、美しく(可愛く)、男性に愛される存在でなければ価値がない(少女漫画の多くはこの価値観を助長する)という文化に、幼いときから強迫的に晒されている。女性が無条件で自己肯定感を持ちにくい社会だ。この映画を観ると、フランスも例外ではないのだろう。恋愛至上主義の社会なら、なおさらかもしれない。
クレールの夫は彼女よりはるかに若い女性を選び(後により辛い状況だったと分かる)、彼女を捨てて精神的ダメージを与える。知的なはずの大学の同僚の男性たちは、男性が若い女性と付き合うのは当たり前のことだが、女性は違う、同じようには語れないと、平気で本音を言ってのける。クレール自身も医師に「私みたいな(中年)女」は誰にも注目されないと自嘲する。大学教授という立派なキャリアがあり、2人の子どもにも恵まれている彼女ですら、ありのままの自分を肯定できない。
クレールが大学の講義で取り上げる作家や作品と現実とのギャップの大きさは眩暈がするほどで、痛烈な皮肉になっている。ラクロの『危険な関係』の主人公メルトゥイユ侯爵夫人(恋人のジェルクール伯爵は彼女を裏切り、彼女の従妹15歳のセシルと婚約)を、ボードレールが高く買っていると強調する。女性の自立を描いた20世紀の女性作家として挙げるのはマルグリット・デュラス。イプセンの『人形の家』のノラについては、「社会が決めた役割から自分を解放する姿を描く。社会が押しつけた規範に服従せず、闘おうとするノラに、私たちは共感する」と語る。それなのに、現実には、男性に愛される若く美しい自分に拘泥し、若い恋人に執着してしまう。架空の恋愛において彼女はとても自己中心的だが、それは現実の自己肯定感の欠如の裏返しなのだ。
映画の結末は、クレールが結局、自己嫌悪の罠、自己否定の堂々巡りから脱していないのではないかと暗示していて、暗澹とさせられる。
女の素顔が現れる瞬間が《もっと怖い》心理ミステリー
投稿日
2020/07/20
レビュアー
カマンベール
2019年(フランス)主演・ジュリエット・ビノシュ
クレール(ビノシュ)はSNSでの若いカメラマンとの恋愛でダメージを受けて入院している。
精神科医・ボーマン医師(高齢の女医)との対話が大部分を占めるが、
クレールの深層心理が次第に明らかにされ、クレールの嘘が露わにされる過程は、
スリリングである。
ジュリエット・ビノシュの演技。艶やかで繊細です。
50歳になり、大学教師の職と、別れた夫に、ふたりの息子。
若い恋人リュドに振られたことから、クレールは恋人だったリュドのルームメイトのアレックスに24歳の若い娘・クララを名乗り接近する。
クレールの意図通りにアレックスは若くてセクシーなクララに夢中になる。
メールのやり取りから、電話をかけるクレール。
アレックスはクララに逢いたいくて堪らなくなり、パリの駅で逢うことに・・・
目の前にクレールが居る・・・まるで見向きもしないアレックス。
送ったクララの写真の主しか眼中にないアレックス。
どうしても本当のことが言えずに、クレールが決断したのは別れの言葉だった。
これで終われば良くあるSNSの成りすましの恋愛話し。
ところがここから展開がこじれて行くのです。
リュドの言葉・・リュドの介入(予想外の展開)
心を病むクレール。
ボーマン医師とのセラピーでクレールが、過去のアレックスとのやり取りを思い出し、クレールの名乗った若い女・クララの実像とクレールの過去の交差。
クレールが、クララの画像の成りすましには深い訳があったのです。
そして更に二転、三転して・・・
ジュリエット・ビノシュの演技の巧みさに舌をまきます。
悩んでいる50女が、心が乱れ駄々をこねる少女の様だったり、
恋をむさぼる肉食のクーガー女だったり、心理描写の多様さに驚くばかりでした。
そして、ラスト。
このラスト・・・あなたはどう読みますか?
(底知れぬ沼・・・女の心の闇は深い深い沼地)
思わず観直す意味深なラストでした。
心の捻れた女が鮮やかな心理サスペンスでした。
50歳過ぎても脱ぎっぷりの良いジュリエット・ピノシュ
投稿日
2020/08/05
レビュアー
飛べない魔女
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
ジュリエット演じるシングルマザーの大学教授クレール。
本を執筆するぐらいだから著名な人物なんでしょう。
SNSで24歳の女性に成りすまし、自分を捨てた若い恋人の同居人アレックスに近づいていきます。
24歳の女性クララを演じていくことにより
平坦だった日々の暮らしが楽しくなっていくクレール。
気持ちはすっかり24歳で、外見も若返ったように綺麗になっていきます。
まあ、ここまでは良いとして、その後が単なる成りすましでは終わらないのがこの作品です。
クレールが何故24歳の女性に固執するのか
若さをこそ女性の美しさだと思うのか
精神科の女医に語っていく真実は、クレールの過去の傷の深さを感じさせる内容でした。
そしてラストシーン。
何度も巻き戻して観てしまいました。
アレックスが生きていることを知った後のクレールのあの行動は
彼女の闇の深さを表していました。
うーん、クレールに全く共感できなかったので
見ていて不愉快な気持ちにさせられました。
それにしても、50歳を過ぎた女性が、24歳のふりをして電話しているのに
その声に対して、24歳とは思えない、もっと若く聞こえる、って言うアレックスって(;^_^A
クレールの声はどう聴いても50女の声ですよ!
恋の魔法は恐ろしいですね。
SNSだと相手が見えないだけに余計妄想が入るのでしょう。
ジュリエット・ピノシュは相変わらずの脱ぎっぷりの良さであっぱれです。
孤独は人を蝕む
投稿日
2023/05/23
レビュアー
ポッシュ(卒業)
(ややネタバレ)
夫に捨てられ、恋人にも去られてしまった中年女性が、SNSで24歳女子になりすまして
若い男とのバーチャル恋愛にハマるというオハナシ。
プロットだけ見るとジュリエット・美の趣がこんな役やる?って違和感おぼえるくらい
トホホなヒロインに思えるけど、そういうんじゃなかったですね。
クレール(J・ビノシュ)は心を病んで心理療法を受けている。
愛する人に手ひどく裏切られたことで精神のバランスを崩した彼女は、心に開いた穴を新しい恋で埋める、
そういう恋愛中毒みたいになってたんじゃないでしょうかね。
そうして、なりすましでゲットした恋人との危うい関係を、精神科医とのセッションの中で語るという
回想の形でこのイビツな恋愛模様が描かれる。
大学教授という仕事もあって子どももいるのに、なんでそんなリスキーなことする?って
不思議に思うけど、逆にこれってフランスっぽいのかも。
個人主義ゆえに子どもが生きがいにはならないのかなと。
アムール(愛)のお国では、仕事より愛すること愛されることの方が大事なのかなと。
(ワーカホリックのアメリカ人とは違うって気がする)
「話す」ことは、問題を自分から「離す」ことになる・・・らしいです。
自分自身を客観視することが治癒につながるのでしょう。
でも、見たくない現実から目をそらしている間は、問題に絡めとられたまま。
現実逃避に過ぎない、若い男との恋バナを得意げに話しているクレールに、主治医がウンザリするシーンもある。
でも、この偽りの恋愛はトーゼン哀しい結末を迎え、傷心のクレールがそれを「物語」に書いたところから
流れが変わる。この劇中劇がまた面白いのですよ。
最後に彼女はずっと話せずにいた真実を告白する。
このカタストロフィが、まぁ想像はつくよね、というものなので弱いっちゃあ弱いのだけど、
この時に彼女が言う
「老いが怖いんじゃなくて、見捨てられるのが怖いの」
「大人だって弱いのよ」
というセリフは、ちょっと刺さりました。
孤独が人を蝕む。そういう話だと思いますよ。
自分の知り合いにも、自ら命を絶ってしまった子がいましたが、彼女の遺書には
「死ぬのは怖い。でも一人になるのはもっと怖い」とありました。
ラストは色んな解釈が出来るというか、その後の展開をいかようにも想像できるのだけど、
作り手は不穏な音楽で煽るんですね。ジュリエット・媚の衆に舞い戻っちゃいそう。イヂワルだなぁ。
ヒロインの心の傷は深い…
投稿日
2020/07/15
レビュアー
コタロウ(!)
大学教授クレールは、精神科医カトリーヌの心理療法を受けている。
50代のクレールはSNSで24才のクララとなり、若い写真家アレックスと親密になった。
虚構の恋愛はやがて、クレールの心に痛手を負わせることになったのだ…
なんだかコメディになりそう話だが、クレールの暗い心の傷が描かれた作品。
クレールがアレックスに送信した「クララ」の写真や動画は、若く美しい女性。
彼女は「クララは、ネットから適当に選んだ女性だ」と言う。
しかし、医師カトリーヌはこの回答を捨て置かない。
クララは誰なのか早々に明かされ、クレールの心の傷がどこにあるのか、
容易に推察されてしまうのは惜しい。
だが、ラストシーンで見せるクレールの行動には静かな衝撃を覚え、
忘れがたい作品となった。
映像、音楽も美しい。
クレールは、同世代の男性を恋人として選ばない。
彼女は年下のリュドと交際し捨てられると、彼の友人であるアレックスに
若い女性を装って近づく。
クレールにとって若さとは、長い歳月をかけて育まれた愛や信頼を凌ぐほど
魅力的なものなのだろうか。
彼女の傷は深い…
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