地球侵略２７日目

監督：ウィリアム・アッシャー（1957年・米・75分・モノクロ）
原題：THE 27TH　DAY

何が起きているのかは分かるのですが、宇宙人の目的・意図が理解できず観終わった後、チンプンカンプンでした。
順番に説明していくと
無作為に選ばれた５人の地球人が人型エイリアンによって連れ去られます。
・英国人女性　イヴリン・ウィンゲート（ヴァレリー・フレンチ）
・アメリカ人の記者　ジョナサン・クラーク（ジーン・バリー）
・中国人の農民女性　スー・タン（マリア・ツィエン）
・ドイツの物理学者　クラウス・ベヒナー（ジョージ・ヴォスコヴェック）
・ソ連兵　イヴァン・ゴドフスキー（アゼマト・ジャンティ）

彼らが連れ去られた宇宙船から見える地球が、笑っちゃうくらいのレトロ感で、ちょっとウキウキしてしまいました。
さて、そのエイリアンが言うには、「（自分たちの）太陽が新星になろうとしていて、35日以内に新しい世界（住む惑星）が必要である」*新星とは恒星の爆発現象*
「知的生命体を殺すことは道徳律によって禁止されているので、５人にカプセルを提供するので自分たちで決めて欲しい」と・・・
そのカプセルは手の平サイズの丸い透明のケースに入っていて、カプセルには3000マイル以内のすべての人間を消滅させる力があるらしいのです。ケースは与えられた人（つまり彼ら）の思考波によってのみ開くことができ、いったん開いた後は誰でも使用できると言います。ただし、持ち主が死ぬと無害になるそうです。
-エイリアン自身は生命体を殺すことは出来ないから、君たちに任せるよ。地球人がいなくなったら、自分たちが地球を貰うよ。-
そういう事だと思います。因みに5人に与えられた猶予は27日間。人類が自滅しなかった場合は、地球侵略できず（エイリアンたちは）滅びるしかないみたいです。
さて、地球に戻された彼らはどうしたか？
イヴはカプセルを海に投げ捨て、スー・タンは自殺。
そんな折、エイリアンたちが地球の通信に割り込んで、5人に伝えたままをメッセージとして放送します。当然、世間は大パニックです。彼らの身元まで放送されたのですから。TVでそれを観たベヒナーは通りを横断中に交通事故に遭い病院送り、ゴドフスキーは上司に拘束されます。クラークは変装して隠れます。

記者役で登場のジーン・バリーは、1953年の『宇宙戦争』にも博士役で出演していた。『刑事コロンボ』シリーズでは「殺人処方箋」のエピソードで精神科医役。事実上、コロンボシリーズの犯人役第１号ですね。
ドイツ人物理学者を演じたジョージ・ヴォスコヴェックは、映画『十二人の怒れる男』で陪審員11番を演じた人。（事前にかつさんに教えて頂いていたので注目して観ました）
ジーン・バリー演じる記者は、英国人女性イヴと潜伏を続けます。ふたりが何を話し合おうと、あまり良い対策も浮かばず…しかし、ドイツの物理学者ベヒナーは「カプセル」に刻印された数字が何かのコードであることに気づきます。
ベヒナーは、そのコードには二つの役割が隠されていて、「生」と「死」両方のためのプログラムだと理解します。
レビュアーの「かつ」さんが書かれているように「地球人を試していた」というのも正解。「飛べない魔女」さんが書かれていた「宇宙人は本当に侵略するつもりだったのか？」というのも正解でした。
エイリアンは地球人の性格・人間性・本質をテストしていたらしいのです。さて、地球人が下した結論とは？
とても面白かったけど、未だに納得できずにいます。

1957年　アメリカ映画
THE　27TH 　DAY
監督：ウィリアム・アッシャー

なかなか面白かったです。
監督は「奥さまは魔女」のウィリアム・アッシャーで、主演はジーン・バリーです。
日本未公開だそうですが、こういった古くても中身のある新作は大歓迎です。
また、このジャケット写真はオーストラリアでの劇場公開時ポスターだそうです。

突然イギリス、アメリカ、中国、ドイツ、ロシア（旧ソ連）からそれぞれ5人がヒューマノイド型異星人とやらに誘拐されてしまい、たどり着いた先が宇宙船の中。戸惑う5人に対し異星人は語り始め、彼らに透明で丸形の盤に覆われた３つのカプセルを渡します。異星人によると、連れて来られた5人は人類の代表で、何故ここへ連れて来たのか、そして彼らを前にカプセルの効能や有効期限ついて語り始めるのです。

――　宇宙はもはや死にかけている。35日以内に新しい世界（惑星）が必要で、その後我々は侵入を始める。カプセルは人類の生命のみに作用し、他に害は与える事はない。
残り35日の内27日間、あなた方の所有物として使う事が出来るが、27日0０時までに使用されなければ武器(カプセル)は自動的に無害となる。シールドの開け方は自身の思考派のみで開き、他の如何なる力でも開ける事は不可能だが、、一度開けたら中のカプセルは誰でも使う事が出来る。これを使用すると直径3,000マイル以内のすべての人類が絶滅する。持ち主が死亡した場合はカプセルの効能は無効となる」　――
そう言い残して異星人は彼らの前から立ち去ってしまう。

5人は元の地球へ帰還し、”カプセルを使いたい衝動”に立ち向かう訳です。中国の農民のスー・タンはナイフで胸を刺して自殺する道を選び、イギリスのヴィン・ゲート（ヴァレリー・フレンチ）はカプセルを海へ投げ捨ててしまう。そんな折、世界中に異星人からメッセージが流れる。それは5人に告げた内容で彼ら5人の名前と所在も明かされてしまう。その中継を見たドイツ人のベヒナー教授（ジョージ・ヴォスコヴェック）は通りを横切る際に車にはねられてしまい、ロサンゼルスの新聞記者であるクラーク（ジーン・バリー）は変装して行方を暗ませ、鉄のカーテンと呼ばれる旧ソ連のイワン（アゼマット・ジャンティ）は上司に拘束され、カプセルの開け方を迫られていた。実はイギリスのヴィン・ゲートはクラークに会うためロサンゼルスに来ていて、二人は空港で合流し、オフシーズンの人気の無い競馬場に身を潜める・・。（ヴィン・ゲートは地球に帰還する前にクラークの勤める社名を聞いていたので連絡を取る事が出来た）
カプセルを使って人類は滅亡してしまうのか、それとも・・。

SFというのも惹かれた部分でしたが、思っていたより地球上での話がメインに描かれています。主演のジーン・バリーは、変装前は口髭を生やしてあまり似合っていません。(笑)
口髭というよりチョビ髭といった方がイメージが湧くかもしれませんが、たとえイケメンでも似合わないものは似合わないのです。（ハッキリ言ってごめんなさい）
彼を有名にしたテレビドラマに「バークに任せろ」が挙げられますが、私は実際に観たことがなく、彼の名前を聞いて直ぐに思い浮かぶのはやはり「刑事コロンボ」のパイロット版”殺人処方箋”の犯人役で、妻を殺害した精神外科医とコロンボとの心理戦が見事だった。
ただ、本作は最後にドイツ人のベヒナー教授にいい所を持って行かれた感がなくもない。
先にも書いたが、ジーン・バリーはロサンゼルスの新聞記者の役どころ。途中ヴィン・ゲートとの逃避行の様なサスペンス風の展開が飽きさせない。
ドイツ人のベヒナー教授役のジョージ・ヴォスコヴェックは、シドニー・ルメット監督「十二人の怒れる男」の陪審員11番を演じた方でした。彼は準主役という位置付けかもしれませんが、ラストで本作の鍵となる暗号を紐解き、物理学者の頭の良さが光った役柄でした。ヴィン・ゲート役のヴァレリー・フレンチですが、私は初めての作品だったようです。因みにエイリアンこと異星人を演じたアーノルド・モスという方は声も低めでとても渋かったです。正直な気持ちを言うと、ベヒナー教授の取った行動はもう一度観ないと理解できないかもしれません。

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地球侵略２７日目（１９５７年・アメリカ、モノクロ、７５分）

当時の「妄想的ＳＦの古典」と捉えて観れば、実に興味深い作品です。
ネタバレ全開で、早速本編に入ります。未見の方はご留意ください。

ある日突然、５名の人々が異星人の宇宙船に誘拐された。イギリス人女性イヴ・ウィンゲート（ヴァレリー・フレンチ）、ロサンゼルスの新聞記者ジョナサン・クラーク（ジーン・バリー）、ドイツの物理学者クラウス・ベヒナー教授（ジョージ・ヴォスコヴェック）、ソビエト連邦の兵士イワン・コドフスキー（アゼマット・ジャンティ）、そして中国・昆明の農民女性スー・タン（マリア・マクレイ）である。彼らの前に現れた、人間そっくりの異星人（アーノルド・モス）は ‘これから話すことは５人それぞれの母国語で聞こえている。あなた達は光の速度で移動している。話が終わったら地球へ戻す’ と言った。更に続けて ‘我々はあなた方の美しい惑星を救うお手伝いがしたい。あなた方の歴史は自己破壊の歴史だ。我々の宇宙は今や死にかけている。すぐに我々の太陽は新星爆発するだろう。３５日以内に新しい世界が必要なのだ。我々の道徳的基盤は侵略を許可していない。知的な文化生活の形態を破壊することもない’ ．．．と、まあ聞きようによっては調子のいいことを言って、５人それぞれに「武器」を渡す。

「武器」とは、手のひらサイズの容器で、中に３つのカプセルが入っており、シールド保護されている。その機能は次のとおり。
�@武器は５人それぞれの所有物となり、所有者の神経電位に調整されている。つまりそれぞれの思考波でのみ容器を開けられる。
�Aカプセル毎に致命的な放射線領域（正確には４８００Ｋｍ）を作り出し、３つのカプセルで地球上の全人類を抹殺できる。
�B人だけを抹殺でき、他に被害は与えられない。
�Cカプセルを使用する際は、目標領域の中央の緯度と経度を大声でハッキリと言う。
�D武器の所有者が死ねば、カプセルは直ちに無効となる。
�Eグリニッジ標準時の２７日０時を過ぎて、誰も武器を使っていなければ、５人それぞれの種族は生き残り、異星人は滅ぶ。
端的に言えば、地球人に「武器」を使わせた後（戦争を誘発させた後）、異星人が地球に侵入してくるという段取りでしょうか。

地球に戻された５人の内、イヴは武器を海中へ放り投げた。スー・タンは武器を仏前に供え、その前で刃で自害したため武器は効力を失った。
ベヒナー教授は車に撥ねられて重傷を負い入院した。同じ頃、地球の電波を使って異星人がテレビに登場、武器のことや５人の名前、出身国を全世界に発表してしまう。イヴは不安にかられてロサンゼルスのジョナサンと合流し、２人でオフシーズンの競馬場に身を隠した。
一方、鉄のカーテンの国（明らかにソビエトだが、この名前で登場）では、将軍（ステファン・シュナベル）がイワンに武器の効力を聞き出そうとするが、イワンは必要以上のことは喋らない。だが、激しい拷問を加えた後、イワンの両親の想いを巧みに伝え、イワンは涙ながらに全てを明かした。

世界各国の新聞が次々報道します。
「鉄のカーテン、世界支配を要求！」、「鉄のカーテン、謎の箱の開封に成功」、「異星人のカプセルは最終兵器」．．．
いわば、ソビエトは武器を手に入れたことで、北米大陸の全ての生命を壊滅するのだと息巻いて、欧州とアジアからの米軍撤退を要求するのです。
病院から退院したベヒナー教授は、　‘人類は核兵器廃棄を信じていなかったので、異星人から渡された武器の使用判断は、その報いだ’ というような意味の言葉を発し、米国防省に呼ばれてからも、武器の研究と調査を主張。米国上級官僚のイングラム氏（ラルフ・クラントン）は、異星人の言葉を検証できる唯一の方法はカプセル爆弾を使うことだと意見し、実証実験を主張。致命的なガンマ線に被爆しているカール教授（フレデリック・フォン・レデブール）は、洋上での実証実験において犠牲となり、結果的にその効果を立証することに。

そして２７日目。
「武器」の調査を続けていたベヒナー教授は、粘土を使ったエッチング加工により、容器から「ある種のメッセージ」を採取。
象形文字と数字記号が組み合わされたものですが、ベヒナー教授は、最終的には解読できると自信をみせるのです。

以下、コメント欄�T、�Uに続きます。

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1957年の作品。
米ソの対立が顕著だった時代だけに
宇宙人から渡された最終兵器は、西と東の対立をさらに深めることになる。
どちらが先に、この兵器を利用して世界秩序のアドバンテージを握るのか
やっきになるアメリカと鉄のカーテンの向こう側(あえてソビエトとは言わない）。
宇宙人は、この兵器が使われずに27日目を迎えることができるのなら
地球人は生き残るが
使われた場合は、地球人は滅び、我々が地球を支配することになるという。
小さなカプセルがほんとうに人類を滅ぼすほどのものなのか
訝しく思いながらも、このカプセルを利用する方法を必死に模索する西側と東側。

宇宙人からカプセルを託された人々の各自の判断が面白かった。
イギリス人の女性は、海に投げてしまうし
ベトナム人（中国だっけ？）女性は自らの命を犠牲にして、カプセルを使用不可にする。
アメリカ人の記者は、自分の身を隠すことで何とかやり過ごそうとする。
鉄のカーテンの向こう側の兵士は、拷問に耐えられずカプセルの使い方を政府に教えてしまう。
ドイツ人の教授はカプセルの使い方を変えられないかと研究するが。。。

結局宇宙人は地球人を試したのだろうか？
いがみ合う人類への警告だったのだろうか？
侵略するつもりなら、こんな回りくどいことをせずに
なにやらハイテクニックを持っているようなので
とっくに一騎に攻め込んで、地球人を抹殺したことだろう。
それをしなかったということは、やはり地球人の理性に掛けてみたということだろう。

それにしても、東側の方の人間を排除して
自由人だけが生き残る。。。めでたし、めでたし、みたいな展開は
アメリカのエゴだよね？って思った。