モエカレはオレンジ色

　もともと映像作品は気分転換に観始めたので、こういうたわいもない作品も嫌いではないです。あまりに子どもっぽくて閉口する場合もなきにしもあらずですが…。この作品もアイドルが主演し、ストーリーや演出は中高生向きになっていますが、恋する相手が消防士なので、それだけには終わっていないように思います。タイトルのオレンジ色も、危険な火災や事故の現場で人命救助を担当する消防の特別救助隊の制服の色を指しているので、そんなに軽くはないです。女子高生の視点から語られているので学園ドラマのようでありながら、消防士の訓練やトレーニングの様子も描かれて、お仕事ムービーの要素もあります。

　たぶん原作コミックではもっと丁寧に進行しているのでしょうが、映画では設定を短時間に収めるため、序盤は急展開で、かなり荒っぽいです。父親が事故で突然他界し、転校したばかりで学校に馴染めない萌衣が、黙々と仕事に励む大人な消防士の蛯原恭介に惹かれてしまうのは分かるような気がします。蛯原も実は喪失を体験していて、そのことからまだ完全には立ち直っていない。彼にとっても萌衣の真っ直ぐな屈託のなさが救いになったのかもしれない。

　恋のライバルも登場しますが、悪意や妬みもなく、あくまでも爽やか。蛯原は、本格的につき合うのは萌衣が高校を卒業してからと、きちんとけじめをつけます。一方、萌衣も、人命救助の講習をきっかけに救急の仕事に関心を持ち、彼を驚かそうと、真剣に救命士の資格を目指します。もしストーリーを蛯原の視点から描いていたら、もう少し大人向けになっていたかも。

　残念なのは、他の方も指摘されているように、映画のクライマックスであるショッピングセンターの火災の場面が、あまりにお粗末なこと。救出シーンもあっけなく、危機的なシーンなのに緊迫感も感じません。予算のせいもあるのでしょうが、あまりに本格的にすると危険すぎてスタントを使わざるを得ないということもあるのかもしれません。それでも、映画のクオリティを左右するだけに残念。

　それぞれが喪失を乗り越える設定になっていて、ただ単に好きになるだけの話ではない点がいいかなと思います。

女子高校生萌衣の彼氏は消防特殊部隊の隊員でその制服はオレンジ色、なかなか分かり易い題名、原作は人気恋愛マンガ。
女子高校生と社会人である消防士蛯原との純愛を描いた作品、父を亡くした心の傷を抱える萌衣、転校先の高校でもなかなかクラスメートとなじめず孤立した存在、そんな彼女が学校の防災訓練時に蛯原と出会い、その後もスーパーで偶然出会ったり、放火犯に閉じ込められた時に助けられたりと強く信念を持って仕事に取り組んでいる真面目な蛯原に惹かれてゆくのも至極当然の成り行きのように映る。
しかし萌衣はまだ高校生、社会人としての蛯原にとつてもなかなか相手にし辛いところ、萌衣の想いは伝わらないのだろうか。
この二人の関係におけるポイントは同じように心の傷を引きずりながら、互いを思う気持ちが知らぬうちに相手に強い力を与えているところだろう。
超シャイな蛯原、「卒業まで待つ、その先は１秒も待てない」彼なりの精一杯の表現と言えよう、蛯原と会った萌衣の母親の対応もなかなか大人といった感じ。
昔とは違う現役女子高生の気持ちなど筆者にはわかるスベもないが、こんな真っ直ぐな恋なら応援したくなってしまう。

ツッコミどころは多々あるけど、まあまあではないでしょうか。

まず、飛び入り見学者にあんな危険な訓練を体験させる訳がない。
消防士が皆、若い。オッサンは1人も居ない。
年配の上司もいない。
消防署の中を部外者が自由に出入り？
火災現場で主人公の単独行動が多いが問題視されていない。
クライマックスの火災のシーンはセットが残念。予算の関係か？

良かった点
悪人が出ない。
予定調和のハッピーエンドで安心して観られた。
テンポが良く退屈しなかった。

前半、クサい台詞が多く、そこでクサ〜ッと思うかキュンキュンするか。
観る人によって別れるでしょうね。

７５点

４点

まあまあでした。

めるる可愛くて演技うまい。
岩本くんかっこいい。
お話も面白くてキュンキュン出来て好きでした。