生きる LIVING / ビル・ナイ
生きる LIVING
/オリヴァー・ハーマナス
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全体の平均評価点: (5点満点)
(15)
解説・ストーリー
黒澤明監督の不朽の名作「生きる」をノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本で、イギリスを舞台にリメイクしたヒューマン・ドラマ。主演は「ラブ・アクチュアリー」「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」のビル・ナイ、共演にエイミー・ルー・ウッド、アレックス・シャープ、トム・バーク。監督は南アフリカ出身のオリヴァー・ハーマナス。1953年のイギリス、ロンドン。役所の市民課に勤める英国紳士の公務員ウィリアムズ。仕事一筋の彼だったが、淡々と事務処理をこなすだけの毎日に虚しさを感じ始めていた。そんなある日、不治の病で余命半年と宣告されてしまう。人生の意味を問い直していく彼はやがて、それまで誰からも顧みられることのなかった地域の母親たちからのある陳情と真剣に向き合おうとするのだったが…。
黒澤明監督の不朽の名作「生きる」をノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本で、イギリスを舞台にリメイクしたヒューマン・ドラマ。主演は「ラブ・アクチュアリー」「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」のビル・ナイ、共演にエイミー・ルー・ウッド、アレックス・シャープ、トム・バーク。監督は南アフリカ出身のオリヴァー・ハーマナス。1953年のイギリス、ロンドン。役所の市民課に勤める英国紳士の公務員ウィリアムズ。仕事一筋の彼だったが、淡々と事務処理をこなすだけの毎日に虚しさを感じ始めていた。そんなある日、不治の病で余命半年と宣告されてしまう。人生の意味を問い直していく彼はやがて、それまで誰からも顧みられることのなかった地域の母親たちからのある陳情と真剣に向き合おうとするのだったが…。
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「生きる LIVING」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
黒澤明監督の不朽の名作「生きる」をノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本で、イギリスを舞台にリメイクしたヒューマン・ドラマ。主演は「ラブ・アクチュアリー」「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」のビル・ナイ、共演にエイミー・ルー・ウッド、アレックス・シャープ、トム・バーク。監督は南アフリカ出身のオリヴァー・ハーマナス。1953年のイギリス、ロンドン。役所の市民課に勤める英国紳士の公務員ウィリアムズ。仕事一筋の彼だったが、淡々と事務処理をこなすだけの毎日に虚しさを感じ始めていた。そんなある日、不治の病で余命半年と宣告されてしまう。人生の意味を問い直していく彼はやがて、それまで誰からも顧みられることのなかった地域の母親たちからのある陳情と真剣に向き合おうとするのだったが…。
「生きる LIVING」 の作品情報
「生きる LIVING」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
「生きる LIVING」 DVD レンタルの詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
102分 |
日・日(バリアフリー) |
英:ドルビーデジタル5.1ch/ドルビーデジタルステレオ |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
TDV33228R |
2023年08月16日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
82枚
|
2人
|
1人
|
英:ドルビーデジタル5.1ch/ドルビーデジタルステレオ
【Blu-ray】「生きる LIVING」 Blu ray レンタル(ブルーレイ)の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
102分 |
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|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
TBR33227R |
2023年08月16日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
36枚
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1人
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0人
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「生きる LIVING」 DVD レンタルの詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
102分 |
日・日(バリアフリー) |
英:ドルビーデジタル5.1ch/ドルビーデジタルステレオ |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
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TDV33228R |
2023年08月16日
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在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
82枚
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2人
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英:ドルビーデジタル5.1ch/ドルビーデジタルステレオ
【Blu-ray】「生きる LIVING」 Blu ray レンタル(ブルーレイ)の詳細
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字幕: |
音声: |
102分 |
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記番: |
レンタル開始日: |
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TBR33227R |
2023年08月16日
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在庫枚数 |
1位登録者: |
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ユーザーレビュー:15件
死ぬ前に まず生きなくては
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
監督:オリヴァ―・ハーマナス(2022年・英・102分)
脚本:カズオ・イシグロ
原題:LIVING
黒澤明監督の『生きる』をイギリスを舞台にリメイク。脚本は2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロだというので興味があった。
原作の主人公・渡邊(志村喬)が猫背で風采の上がらない男だったのに対して、本作のウィリアムズ(ビル・ナイ)は、いかにも上品な英国紳士風だったが、そんな違いは気にもならず、ほぼオリジナルに忠実だと思った。
ウィリアムズが役所の市民課に勤める公務員であること、部下からは煙たがられていること、最近、彼の体調がすぐれないこと等々、「これはオリジナルのあのシーンだ」と分かるのも観ていて楽しい。
市民課に陳情にやって来た主婦たちが、役所内をたらい回しにされるシーンも同じだったけれど、主婦たちの服装がきちんとしていて、同じ時代が舞台であってもイギリスと日本ではこんなにも経済事情が違ったのかと感じた。
タイトルの『生きる LIVING』は作品のテーマそのもので、胃がんを告知された主人公が自身の死期を悟り、人生を見つめ直す姿が描かれている。
妻に先立たれた主人公は再婚もせず、一人息子を育てることに専心したのだったが、結婚した息子は妻の尻に敷かれて父親のことを蔑ろ(ないがしろ)にする。
ウィリアムズの脳裏に浮かぶのは、妻が亡くなってからの息子との思い出ばかりだ。仕事も日々の惰性でやっているだけだし、自分はこの空虚な心のまま死んでいくのかと考えると、彼は残された時間を楽しむために貯金を下ろし、見知らぬ町で羽目を外してみることにした。
しかし、何をやってみても心の空白は埋まらない。役所も欠勤したままロンドンの街を歩いていると、転職のために役所を辞めたマーガレット・ハリス(エイミー・ウッド)と行き逢う。溌剌とした彼女と話していると、ウィリアムズの気持ちが晴れやかになるのだった。
彼女は明るい調子で、役所の仲間につけた渾名を教えてくれた。ウィリアムズのは「ミスター・ゾンビ」だった。ウィリアムズはその通りだと納得する。自分は生きる屍だった。生きていながら死んでいるのも同然だった。
ハッと気が付いた彼は、残りの日々を真の意味で生きようと決心した。
ふと思い出した言葉が二つある。
「よく死ぬことは、よく生きること」…千葉 敦子
「死は人生の終末ではない。生涯の完成である。」…マルチン・ルター
ウィリアムズは、何事も成していない自身の生涯を振り返ると同時に、役所を訪れた婦人たちの陳情の実現に尽力することを決めたのだと思う。
そして、部下を引き連れて雨降る中を現場の確認に出かけて行くのだが、それは今までに誰も見た事のないウィリアムズの姿だった。
この後のことは描かれず、オリジナル同様、ウィリアムズの葬儀のシーンへと飛んでしまう。残された家族や同僚には「ウィリアムズは何故、雪の中で倒れていたのか?」という疑問が残る。
*** *** *** ***
概ねオリジナルどおりだと思ったのは本当だけれど、どうも微妙にニュアンスが違うように感じて、17年ぶりにオリジナルを再見してみた。観比べの結果、自分が何処に引っかかっていたのかを書いてみたい。
多分、理屈っぽい蛇足の文章になると思うので、興味のない方はスルーして下さい。
このレビューは気に入りましたか?
9人の会員が気に入ったと投稿しています
オリジナルにほぼ忠実に描かれている
年代はオリジナルと同じ1950年代の初頭。
舞台はロンドン
主人公は判で押したように毎日同じ日を過ごす役所の市民課課長ミスター・ウィリアムス。
基本的には黒沢明作品をリスペクトして忠実に描かれている。
これはこれで良かった。
主人公演じるビル・ナイの演技も、ぼそぼそとした話し方は
オリジナルに忠実だ。
(ただし、イギリス紳士には志村喬のあの鬼気迫る姿はさすがになかったが。。。)
ただ、オリジナルで描かれていた一人息子への深い想いや
末期がんで余命いくばくもないと悟った(オリジナルでは本人への告知はない)主人公が
たらい回しにされていた公園新設に尽力する姿は
本作では案外あっさりだったので
オリジナルを3度も観た私には、黒沢作品ほどの感動は生まれてこなかった。
とはいえ、黒沢作品を観たことのない人には感動できると思う。
何もしてこなかった男が
命あるうちに自分の生きた証をひとつでも作りたいという想いは
やがて他の職員にも伝染するが。。。
このオチはオリジナルと同じだった。
どこの国も残念ならが役所っていうところは
そういう所なんだろうか。
このレビューは気に入りましたか?
8人の会員が気に入ったと投稿しています
変わろうと思えば人は変われる
2022年 イギリス
原題:LIVING
監督:オリヴァー・ハーナマス
黒澤明監督の「生きる」は名作であり、傑作だと思っています。
その「生きる」を上手くイギリス版に仕上げている。また、脚本を書いたカズオ・イシグロは若かりし頃に黒澤映画に衝撃を受けたと語っている。(公式ホームページより)
また、監督のオリヴァー・ハーナマスという方はイギリスに先入観を持たない人物なのだとか。
私はオリジナルで主人公を演じた重厚感溢れる志村喬の役どころをどんな風に演じるのだろうと半信半疑の部分もありましたが、決して志村喬に拘らず、イギリス人の持つ紳士的な雰囲気を感じさせ、余命宣告を受けてからの心の変化や、人が人として生きるとはどういうことなのかと問い直す辺りは万国共通だと感じた。
本作の舞台は第二次世界大戦後の復興途上のロンドン。公務員であるミスター・ウイリアムズ(ビル・ナイ)は市役所の市民課の課長という設定。
検査結果を受けて余命幾ばくも無い事を息子夫婦に打ち明けようとしても、どうしても次の一言が出ない。自分の居場所がなく途方に暮れ、人生に虚無感を抱いているところへ部下のマーガレット(エイミー・ルー・ウッド)に街で声を掛けられる。ウィリアムズが何日も無断欠勤し、心配だったと言うのだ。
マーガレットが言いにくそうにウィリアムズのあだ名を言い、それを聞いても怒るどころか「私にピッタリだ」と微笑む二人のシーンに心が和む。
マーガレットが付けたあだ名は「ミスター・ゾンビ」だった。
”死んでいるけど死んでいない”ということらしい。言い換えれば、”生きているけど生きていない”とも言える。マーガレットと距離を縮めたウィリアムズは後回しにしていた子供たちの遊び場の建設の話を進め、これまで事なかれ主義だった役人ウィリアムズが現場へも足を運び、まるで水を得た魚のようだった。
よく、「あの人は今更変わらない」等と言いがちですが、その気になれば人は変われるのだと感じた。オリジナルに忠実ながら単に真似にならず、目頭が熱くなるシーンも幾つかあり、また黒澤版「生きる」を観たくなりました。
このレビューは気に入りましたか?
6人の会員が気に入ったと投稿しています
彼が人生で一番幸せだった時
(残念なことに、黒澤明監督のオリジナル版は未見です。以下は、この作品だけを観ての感想です。)
役所に勤めることになった若い新入職員ピーター・ウェイクリングの視点で、主人公である初老の課長ウィリアムズ氏を取り巻く周縁から軽妙に語り始め、次第に物語の重い核心へと無理なく自然に進んでいく、無駄のないストーリーテリングや巧みな描写が本当に秀逸。さすが、カズオ・イシグロの脚本だと納得する。末期癌で余命半年の告知を受け、イギリス紳士らしく外見は泰然自若としているように見えても、胸の内には嵐が吹き荒れている。ウィリアムズ氏のそんな内面や行動を絶妙に表現したビル・ナイの演技は、すばらしいとしか言いようがない。クラシックで品格のあるロンドンの街並みや様々な表情を見せる公園、通勤列車が走るロンドン郊外の自然風景も美しく、音楽もとても効果的で、すばらしかったと感じる。
子どもにとって親は、ひとりの人間であるより前に、母親であり父親である存在だ。ウィリアムズ氏もまた、妻亡き後、再婚もせず、真面目に勤務し、彼なりに良き父親役を果たしてきた。だからこそ、成人した息子には自分が末期癌だとは打ち明け難い。行きずりの見知らぬ人には簡単に言えることも、家族だからこそ言いづらい。役所でもまた、彼はひとりの人間である前に、課長として求められることをただ坦々とこなしている。一方、退職の決まっているミス・ハリスとは、もはや上司でも部下でもなく、死期の迫る初老の男性と輝く未来のある溌溂とした若い女性という、ひとりの人間同士の対等でシンプルな関係。だから忌憚なく何でも話せる。彼のあだ名は「ゾンビ」だと彼女に打ち明けられて、彼は今まで自分が本当の意味では生きていなかったのだと気付かされる。
若さに輝くミス・ハリスから最期の気力と命を吹き込まれて、ウィリアムズ氏は、父親としての、また役所の課長としての決められた役割を最後に投げ捨て、ひとりの人間として本当にやりたかったことを驚異的な粘り強さでやり遂げる。新たに市民課の課長となったミドルトンは、「彼の遺志を引き継ぎ、彼の生き方に学ぼう。我々は二度と責任逃れをしない、仕事を後回しにはしない」などと、他の課員と共にウィリアムズ氏を記念して誓いをたてる。ところが、一時的な高揚感はいつしか単調な日常に埋もれてゆく。けれど、それでいいのだと思う。それが人生というものだ。ウィリアムズ氏の功績がそれでまったく無駄になったわけではなく、いつかきっと誰かが彼の遺志を思い出し、やるべきことをやり遂げるだろう。
葬儀の後、遊び場が誰の功績なのか等をめぐる下世話な後日譚で、物語は一旦主題から逸れていくように見えるけれど、やがてゆっくりと最も大切な核心へと戻ってくる。「この先君が働く目的を見失うことがあったら、単調な毎日に心が麻痺してしまったら…その時はあの遊び場を思い出してほしい、あのささやかな満足感を。」 ひとり夜更けにブランコに乗り、心の故郷スコットランドの民謡「ナナカマドの木」を口ずさむウィリアムズ氏、そして、静かに雪が舞い落ちる静謐なシーンで終る。ナナカマドは、様々な童話に描かれて、子どもたちに愛される、赤い実をつける可憐な姿をした落葉樹。この物語にぴったりな、何という締めくくりだろうか。
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5人の会員が気に入ったと投稿しています
黒澤明の『生きる』と ほぼ同じストーリー
黒澤明の『生きる』と ほぼ同じストーリー。
主人公が 歓楽街で帽子を盗られるシーンまで同じです。
けれど、黒澤明版に有ったコミカルなシーンが カットされているのは残念でした。
(お喋り男の所為で 主人公が自分の余命を知ってしまうシーンや、
ストリップ劇場で 興奮しすぎて叫んでしまうシーンなど)
日本人とイギリス人とでは 笑いの好みが違うので、仕方ないとは思いますが。
このレビューは気に入りましたか?
4人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
死ぬ前に まず生きなくては
投稿日
2023/09/22
レビュアー
kazupon
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
監督:オリヴァ―・ハーマナス(2022年・英・102分)
脚本:カズオ・イシグロ
原題:LIVING
黒澤明監督の『生きる』をイギリスを舞台にリメイク。脚本は2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロだというので興味があった。
原作の主人公・渡邊(志村喬)が猫背で風采の上がらない男だったのに対して、本作のウィリアムズ(ビル・ナイ)は、いかにも上品な英国紳士風だったが、そんな違いは気にもならず、ほぼオリジナルに忠実だと思った。
ウィリアムズが役所の市民課に勤める公務員であること、部下からは煙たがられていること、最近、彼の体調がすぐれないこと等々、「これはオリジナルのあのシーンだ」と分かるのも観ていて楽しい。
市民課に陳情にやって来た主婦たちが、役所内をたらい回しにされるシーンも同じだったけれど、主婦たちの服装がきちんとしていて、同じ時代が舞台であってもイギリスと日本ではこんなにも経済事情が違ったのかと感じた。
タイトルの『生きる LIVING』は作品のテーマそのもので、胃がんを告知された主人公が自身の死期を悟り、人生を見つめ直す姿が描かれている。
妻に先立たれた主人公は再婚もせず、一人息子を育てることに専心したのだったが、結婚した息子は妻の尻に敷かれて父親のことを蔑ろ(ないがしろ)にする。
ウィリアムズの脳裏に浮かぶのは、妻が亡くなってからの息子との思い出ばかりだ。仕事も日々の惰性でやっているだけだし、自分はこの空虚な心のまま死んでいくのかと考えると、彼は残された時間を楽しむために貯金を下ろし、見知らぬ町で羽目を外してみることにした。
しかし、何をやってみても心の空白は埋まらない。役所も欠勤したままロンドンの街を歩いていると、転職のために役所を辞めたマーガレット・ハリス(エイミー・ウッド)と行き逢う。溌剌とした彼女と話していると、ウィリアムズの気持ちが晴れやかになるのだった。
彼女は明るい調子で、役所の仲間につけた渾名を教えてくれた。ウィリアムズのは「ミスター・ゾンビ」だった。ウィリアムズはその通りだと納得する。自分は生きる屍だった。生きていながら死んでいるのも同然だった。
ハッと気が付いた彼は、残りの日々を真の意味で生きようと決心した。
ふと思い出した言葉が二つある。
「よく死ぬことは、よく生きること」…千葉 敦子
「死は人生の終末ではない。生涯の完成である。」…マルチン・ルター
ウィリアムズは、何事も成していない自身の生涯を振り返ると同時に、役所を訪れた婦人たちの陳情の実現に尽力することを決めたのだと思う。
そして、部下を引き連れて雨降る中を現場の確認に出かけて行くのだが、それは今までに誰も見た事のないウィリアムズの姿だった。
この後のことは描かれず、オリジナル同様、ウィリアムズの葬儀のシーンへと飛んでしまう。残された家族や同僚には「ウィリアムズは何故、雪の中で倒れていたのか?」という疑問が残る。
*** *** *** ***
概ねオリジナルどおりだと思ったのは本当だけれど、どうも微妙にニュアンスが違うように感じて、17年ぶりにオリジナルを再見してみた。観比べの結果、自分が何処に引っかかっていたのかを書いてみたい。
多分、理屈っぽい蛇足の文章になると思うので、興味のない方はスルーして下さい。
オリジナルにほぼ忠実に描かれている
投稿日
2023/08/23
レビュアー
飛べない魔女
年代はオリジナルと同じ1950年代の初頭。
舞台はロンドン
主人公は判で押したように毎日同じ日を過ごす役所の市民課課長ミスター・ウィリアムス。
基本的には黒沢明作品をリスペクトして忠実に描かれている。
これはこれで良かった。
主人公演じるビル・ナイの演技も、ぼそぼそとした話し方は
オリジナルに忠実だ。
(ただし、イギリス紳士には志村喬のあの鬼気迫る姿はさすがになかったが。。。)
ただ、オリジナルで描かれていた一人息子への深い想いや
末期がんで余命いくばくもないと悟った(オリジナルでは本人への告知はない)主人公が
たらい回しにされていた公園新設に尽力する姿は
本作では案外あっさりだったので
オリジナルを3度も観た私には、黒沢作品ほどの感動は生まれてこなかった。
とはいえ、黒沢作品を観たことのない人には感動できると思う。
何もしてこなかった男が
命あるうちに自分の生きた証をひとつでも作りたいという想いは
やがて他の職員にも伝染するが。。。
このオチはオリジナルと同じだった。
どこの国も残念ならが役所っていうところは
そういう所なんだろうか。
変わろうと思えば人は変われる
投稿日
2023/09/09
レビュアー
かつ
2022年 イギリス
原題:LIVING
監督:オリヴァー・ハーナマス
黒澤明監督の「生きる」は名作であり、傑作だと思っています。
その「生きる」を上手くイギリス版に仕上げている。また、脚本を書いたカズオ・イシグロは若かりし頃に黒澤映画に衝撃を受けたと語っている。(公式ホームページより)
また、監督のオリヴァー・ハーナマスという方はイギリスに先入観を持たない人物なのだとか。
私はオリジナルで主人公を演じた重厚感溢れる志村喬の役どころをどんな風に演じるのだろうと半信半疑の部分もありましたが、決して志村喬に拘らず、イギリス人の持つ紳士的な雰囲気を感じさせ、余命宣告を受けてからの心の変化や、人が人として生きるとはどういうことなのかと問い直す辺りは万国共通だと感じた。
本作の舞台は第二次世界大戦後の復興途上のロンドン。公務員であるミスター・ウイリアムズ(ビル・ナイ)は市役所の市民課の課長という設定。
検査結果を受けて余命幾ばくも無い事を息子夫婦に打ち明けようとしても、どうしても次の一言が出ない。自分の居場所がなく途方に暮れ、人生に虚無感を抱いているところへ部下のマーガレット(エイミー・ルー・ウッド)に街で声を掛けられる。ウィリアムズが何日も無断欠勤し、心配だったと言うのだ。
マーガレットが言いにくそうにウィリアムズのあだ名を言い、それを聞いても怒るどころか「私にピッタリだ」と微笑む二人のシーンに心が和む。
マーガレットが付けたあだ名は「ミスター・ゾンビ」だった。
”死んでいるけど死んでいない”ということらしい。言い換えれば、”生きているけど生きていない”とも言える。マーガレットと距離を縮めたウィリアムズは後回しにしていた子供たちの遊び場の建設の話を進め、これまで事なかれ主義だった役人ウィリアムズが現場へも足を運び、まるで水を得た魚のようだった。
よく、「あの人は今更変わらない」等と言いがちですが、その気になれば人は変われるのだと感じた。オリジナルに忠実ながら単に真似にならず、目頭が熱くなるシーンも幾つかあり、また黒澤版「生きる」を観たくなりました。
彼が人生で一番幸せだった時
投稿日
2023/11/22
レビュアー
hinakksk
(残念なことに、黒澤明監督のオリジナル版は未見です。以下は、この作品だけを観ての感想です。)
役所に勤めることになった若い新入職員ピーター・ウェイクリングの視点で、主人公である初老の課長ウィリアムズ氏を取り巻く周縁から軽妙に語り始め、次第に物語の重い核心へと無理なく自然に進んでいく、無駄のないストーリーテリングや巧みな描写が本当に秀逸。さすが、カズオ・イシグロの脚本だと納得する。末期癌で余命半年の告知を受け、イギリス紳士らしく外見は泰然自若としているように見えても、胸の内には嵐が吹き荒れている。ウィリアムズ氏のそんな内面や行動を絶妙に表現したビル・ナイの演技は、すばらしいとしか言いようがない。クラシックで品格のあるロンドンの街並みや様々な表情を見せる公園、通勤列車が走るロンドン郊外の自然風景も美しく、音楽もとても効果的で、すばらしかったと感じる。
子どもにとって親は、ひとりの人間であるより前に、母親であり父親である存在だ。ウィリアムズ氏もまた、妻亡き後、再婚もせず、真面目に勤務し、彼なりに良き父親役を果たしてきた。だからこそ、成人した息子には自分が末期癌だとは打ち明け難い。行きずりの見知らぬ人には簡単に言えることも、家族だからこそ言いづらい。役所でもまた、彼はひとりの人間である前に、課長として求められることをただ坦々とこなしている。一方、退職の決まっているミス・ハリスとは、もはや上司でも部下でもなく、死期の迫る初老の男性と輝く未来のある溌溂とした若い女性という、ひとりの人間同士の対等でシンプルな関係。だから忌憚なく何でも話せる。彼のあだ名は「ゾンビ」だと彼女に打ち明けられて、彼は今まで自分が本当の意味では生きていなかったのだと気付かされる。
若さに輝くミス・ハリスから最期の気力と命を吹き込まれて、ウィリアムズ氏は、父親としての、また役所の課長としての決められた役割を最後に投げ捨て、ひとりの人間として本当にやりたかったことを驚異的な粘り強さでやり遂げる。新たに市民課の課長となったミドルトンは、「彼の遺志を引き継ぎ、彼の生き方に学ぼう。我々は二度と責任逃れをしない、仕事を後回しにはしない」などと、他の課員と共にウィリアムズ氏を記念して誓いをたてる。ところが、一時的な高揚感はいつしか単調な日常に埋もれてゆく。けれど、それでいいのだと思う。それが人生というものだ。ウィリアムズ氏の功績がそれでまったく無駄になったわけではなく、いつかきっと誰かが彼の遺志を思い出し、やるべきことをやり遂げるだろう。
葬儀の後、遊び場が誰の功績なのか等をめぐる下世話な後日譚で、物語は一旦主題から逸れていくように見えるけれど、やがてゆっくりと最も大切な核心へと戻ってくる。「この先君が働く目的を見失うことがあったら、単調な毎日に心が麻痺してしまったら…その時はあの遊び場を思い出してほしい、あのささやかな満足感を。」 ひとり夜更けにブランコに乗り、心の故郷スコットランドの民謡「ナナカマドの木」を口ずさむウィリアムズ氏、そして、静かに雪が舞い落ちる静謐なシーンで終る。ナナカマドは、様々な童話に描かれて、子どもたちに愛される、赤い実をつける可憐な姿をした落葉樹。この物語にぴったりな、何という締めくくりだろうか。
黒澤明の『生きる』と ほぼ同じストーリー
投稿日
2023/10/10
レビュアー
ホラーは観ないKEN
黒澤明の『生きる』と ほぼ同じストーリー。
主人公が 歓楽街で帽子を盗られるシーンまで同じです。
けれど、黒澤明版に有ったコミカルなシーンが カットされているのは残念でした。
(お喋り男の所為で 主人公が自分の余命を知ってしまうシーンや、
ストリップ劇場で 興奮しすぎて叫んでしまうシーンなど)
日本人とイギリス人とでは 笑いの好みが違うので、仕方ないとは思いますが。
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