まずは慶事より。
鈴木慶一さん、芸術選奨受賞、おめでとうございます。
そんな訳で、ムーンライダーズ関係の音源を。

これはラジオ番組用か何かのスタジオ・ライブでしょうか。
79年といえば、アルバムだと「モダーン・ミュージック」の年。
ラジオでよくかかっていた「ヴァージニティ」で、
僕はこの人たちを知りました。
ニューウェーブ路線へ決定的に舵を切った
翌年の「カメラ＝万年筆」を前に、徐々に作風が変化していた時期。
この音源にも、そうしたNW色が反映されているだろうと思っていました。

しかし、どちらかと言えば従来路線の
穏健なAOR/ブリティッシュ・ポップ的な歌と演奏です。
ガスマスクのようなものを被って
尖りまくったパフォーマンスをしているのを当時テレビで見ましたが、
この人たちが「過激化」するのは80年からなんでしょうね。
とは言え、東京のバンドならではの
洗練と屈折が同居したセンスは当時から随一です。

のっけから「スイマー」「スタジオ・ミュージシャン」の2連発。
う〜ん、やっぱりいい曲です。
他にも「火の玉ボーイ」など、新旧の代表曲を織り交ぜたセットリスト。
このライブでは、とりわけ武川さんのバイオリンが耳に残ります。
バンドとしての演奏能力の高さも、改めて実感しました。
ゲストの佐藤奈々子さんも、コケティッシュな歌声が実に心地良い。
都会の人だけあって、アンニュイさが嫌味なく自然なんですよね。

そして先日、岡田徹さんが亡くなられたとの報が。
「いとこ同士」「さよならは夜明けの夢に」など
名曲の数々を残されたのはもちろん、
特にバラード系の楽曲において、氏の鍵盤類が
サウンドの要になっていたことは言うまでもありません。
素敵な曲と演奏を、ありがとうございました。