ジョンＱ　最後の決断

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あまりに辛い設定。
お金だけが全てとは思いたくないけど、哀しいことに、お金があれば解決できる事が多いのも事実。

市役所に行くと、時々似たような場面に遭遇する。
聞きたくなくても、だんだんに声を張り上げて訴える声が、耳に入って来る。
身体を壊して働けなくなった。お金がないので、保険料が払えない。病院代が払えないので、医者にもかかれない・・・etc.
不幸のオンパレード。負の連鎖。
何とか特別に取り計らって貰えないだろうか・・・？
そこで市の職員が答えていたのと同じ事を、この作品の中で言っていた。
「同情はするけれど、一人を認めたら、次々に認めなくてはいけなくなる。」

身内にとっては、たった一人の大切な家族。
病院側にとっては、大勢の中の一人。

家族は、たった一人しか見ていない。
病院は、たくさんの患者を抱えている。

家族は、できるなら自分の身内を優先して貰いたい。
病院は、特定の家族だけを特別扱いには出来ない。

立場の違いによる見解の相違。
保険制度の問題点の提起がテーマかも知れないが、ジョンＱのあまりにも乱暴なやり方は、心情は理解できても、後押しは出来かねる。
彼の必死さは伝わってくる。自分の命を投げ出して、子供に心臓を残そうなんて、親でなければ発想も実行も出来ないと思う。
でも、やっぱり何処かが間違っている。
息子の「命」を救いたい。という事情がわかっているので、正しくないと指摘することが、とても悪いことのように感じてしまうが、ここに「命」の問題が介在していなければ、ジョンＱは自分のことしか考えない身勝手な人間だ。（息子の命がかかっていなければ、彼だってここまではしないか・・・）
裁判の場面でも、情状酌量の意味で無罪になったが、人質をとった点で有罪になったのは、仕方がないだろう。

公開当時に観たきりだったので、ラスト部分の記憶違いにより、とてもドキドキした。ある意味、思い違いのままの結末の方が、流れ的には良かったような気がする。
しかし、それでは、あまりにも「浮かぶ瀬」がないだろうか？
情け容赦のない制度、社会のルール、失業と貧困、家族の愛憎など、突き詰めて考えると辛くなる内容。
一見の価値はあると思う。

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公的保険制度のないアメリカでは民間保険への加入が通例となっているが未加入者が５０００万人以上いる上に、加入者の保険適用範囲も低所得者層は満足な医療が受けられない水準しかない。

ということを訴えたかった映画のようでした。
問題提起がメインの目的のようだったので、見終わってみるとどうも感動できない（感動させようという意図のシーンがあるにもかかわらず）内容でした。

そして問題提起をするだけしておいて解決への糸口が全く示されていないような気がしました。そこが尻切れトンボで終わってしまった原因なのでしょうか。なんか社会が悪いんだ、訴えてやればいいんだ、主人公のやったことは悪くないぞっていうエンディングの迎え方。
ネタバレになりますが主人公は裁判で病棟に患者を監禁した罪にのみ陪審で有罪に、残りの銃の保持や、立て篭もりや殺人未遂は全て無罪というエセヒューマニズムを見せつけられて終わりました。

本国アメリカならともかく日本人が観るかぎりは消化不良で終わると思います。
オススメはできません。

やや現実離れはしているが、親が子を思う気持ちは痛い程に伝わる。現実にこのような事はあっては困るが
見ているとだんだん彼を応援したい気持ちになってゆく。
ストックホルム症候群になる人の気持ちもわかるかも。
チョット感動で涙が出ました。

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デンゼル好きのあたしは、子供思いの父親を演じるこの作品が大好きです。

心臓移植をしたいがお金がない為に移植リストにも載せて貰えないという苦境。その中で、病院占拠をし人質を取って、息子の移植手術を要求する父の姿は、同情してしまいます。
アメリカの医療制度をテーマにしてて重いのかと思いきや、父の愛はここまでできてしまうのかと、感動ですね。
切羽詰まった中で起こした事件であり、ジョンの気持ちを考えれば、誰しも心動かされるはずです。だから院長の決断にも、胸を撫で下ろせました。
誰も傷つけることなく、最後まで戦ったジョンの裁判の行方には、涙がこぼれます。

いい作品なので、デンゼルファンもそうでない方も一度観てみてください。

私の子供が心臓病になって、移植以外に助かる道がなければ、子供はきっと死ぬでしょうね。日本ではアメリカほど移植医療が進んでいないから。今回の事件は、移植先進国のアメリカゆえに起こったとも言える。だけど、冷静に考えれば、世界には移植を受けることなく死んでいく心不全の子供がたくさんいるはず。ジョンの子供だけが特別じゃない。そもそも、子供に移植手術を受けさせるために、病院を占拠した彼の行為が許されるなら、これからも同じ事件は容認されなくてはいけない。

と、一応建前上の正論を用いて批判するものの、本音の部分では、ジョンの行為は責められない。まず、彼の保険で移植医療が受けられなかったのは、会社の都合によるもので、彼の責任ではない。しかも、その保険会社が検診で異常があっても精密検査に回さない様にしていた（明らかに詐欺行為）。更に、保険が当てにならないとなると、ジョンは最大限の努力をして金の工面をした。それでもどうしようもなくなり、結局犯行に及んだわけだが、犯行中も「自分の子供さえ良ければ」という考えでなく、怪我人や病人の治療はきちんと行なわせた（怪我人や病人を盾に要求を突きつければ、あるいはもっとスムーズに話が進んだかもしれないが、決してその様なことはしなかった）。

今回の問題の根底には、アメリカの保健医療の不公平さにある。金持ちはいい保険に入り、世界で最高級の医療サービスを受ける。貧しい人は保険に入れず、急病でも救急車に乗ることも出来ない。普通の人は、風邪くらいでは病院に行かないそうですね。高いから。

まあ、食うだけ食ってろくに運動もしないで、体脂肪貯めるだけ貯めて、それで心筋梗塞になってから、金がないから治療が出来ないと嘆く人には大して同情できないけど（そうなる前に健康管理しっかりしろといいたい）、ジョンの子供のように、本人に何の責任もなく心臓病になった子供は、国が最大限の便宜図ってあげるべきじゃないのかなあ。子供は国の宝でしょ。アメリカだってそれは違いないと思うけど・・・。