アドベンチャーランドへようこそ

　『宇宙人ポール』から入って『SUPERBAD!!』ですっかり大ファンになった
グレッグ・モットーラ監督の過去作を観返しております．
　本作はこれまで私が観てきた2作のドタバタコメディーとは違い、
しっとりとした静かな作品ですが、これはこれで秀作だと思いました．

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

　のちに『ソーシャルネットワーク』でブレイクするジェシー・アイゼンバーグをはじめ、
キャストの演技はとても良かったと思います．
冴えないし、全然ダメダメなんだけどなんかキラキラしている、あの時のあの感じを
とてもうまく表現できていたと思います．
モットーラ作品お馴染みの俳優さんも良かったです．ビル・ヘイダー大好きです．

　3つの作品を鑑賞して感じたグレッグ・モットーラ監督のメインテーマは、
“知らないことを知っていく過程での期待と不安の入り混じった感覚”を
表現する事だと感じました．
ポールはそもそも分かってるやつらとしてボンクラSFマニアの2人を描くことが
感動的だったりするのでやや変化球ですが、(詳しくは『宇宙人ポール』レビューにて)
あとの2作は童貞喪失ということ象徴させて先に述べたテーマと
その結果変わってしまうことを非常に丁寧に描いていたと思います．

　しかも当事者そのものの主観的感覚としてだけでなく、過ぎ去ったものの視点
(『SUPERBAD』で言えば警官2人など)をさりげなく組み込んでくれるので、
何かを知って変わってしまえることそのものの、痛いけど輝く、
ダメだけどキラキラしている瞬間をとらえるのがとてもうまい人だなぁと思います．

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

　以上ちょっと真面目に考えすぎてしまった嫌いもありますが、私としてはまた1つ
好きな映画が増えてとても幸せな体験でした．グレッグ・モットーラ畏るべし!

スーパーバッド童貞ウォーズのグレッグ・モットーラ監督で青春コメディーとういうことで、
同様な感じを期待していましたが、ちょっと違いました。
スーパーバッドは童貞高校生ということで、妄想系のハチャメチャ友情コメディーでしたが、
今作は童貞大学生が主人公なので、落ち着いた大人雰囲気(エロい意味ではなく)です。
大学生な分、ヒロインも純情派ではなく、ちょっとした大人の問題を抱えていますし…。
そういった意味では、妄想系とは正反対の、地に足が付いたラブコメディーかも。

登場人物も例によって多種多様で面白い。
特に遊園地の支配人は、この手のコメディーお約束な脇役。

スーパーバッド程、ニヤニヤしてしまう事は少ないですが、それなりに面白かったです。

大学院に進学する為の学費稼ぎに遊園地でアルバイトをはじめた主人公のジェイムズ（なんとあの「ソーシャル・ネットワーク」のマーク・ザッカーバーグ役の人です）は、そこで出会ったエミリー（クリステン・スチュワートはあの「スノーホワイト」の白雪姫）を好きになるが、なんと彼女は不倫をしていた。

一方、ジェイムズは遊園地一の美人でモテ女リサからデートに誘われデートをする。このジェイムズは男のくせにお喋りで、リサとデートすることを「ここだけの話、誰にも言うなよ」と何人に喋っているのだろうか。お喋り男って本当に嫌ですね。

ジェイムズはエミリーが不倫していることも、相手が誰かも知らない。不倫相手の男になんでも喋ってしまう。遊園地のバイトは退屈で誰にでもできる仕事。つまり皆暇を持て余しているのです。だから噂はアッと言う間に広がる。一人悪者になってしまったエミリー、その原因はジェイムズのお喋りにあった。

この二人、いったいどうなってしまうのか…気になりますが、後は映画を観てのお楽しみ。
余談ですが、私の趣味はジェイムズのような口の軽い男ではなく、無口で目立たないジョエルが好きだな〜♡　学生時代に戻れるなら、やり直したいこと山ほどある。

大学院進学を目指していたジェイムズは父親の給料が減らされたため、アドベンチャーランドという遊園地でバイトをすることになった。
アドベンチャーランドで働いてる人たちは、みんな個性的で悪く言えばちょっと変わり者ばかり。
遊園地の経営も厳しく、ゲームの景品を買うお金が足りないので遊園地でいちばんいい景品である大きいパンダのぬいぐるみを勝ち取らないように、それぞれのゲームには細工がしてある。
安い賃金で働いていたジェイムズだが、ある日一緒に働いていた女の子エムに恋に落ちる。
しかしエムはコンネルという別の男と付き合ってて、ジェイムズまでリサと付き合い始める。2人とも二股で、秘密を隠しながら付き合ってるわけです。
でもジェイムズとリサはわりとすぐに別れる。

笑いあり、恋愛ありでなかなか楽しめた作品です。
青春ってこんな楽しみ方もあるんだなって思います。クリステンかわいい！

青春の甘酸っぱさの雰囲気がよく出てて、良かったです。
もっと評価されて良いと思います。

監督のグレッグ・モットーラは「スーパーバッド」、「宇宙人ポール」と次々とアメリカコメディーの傑作を生み出しており、主人公役のジェシー・アイゼンバーグはそのご「ソーシャルネットワーク」でザッカーバーグになりきり、アカデミー賞にノミネートされています。

派手さはなくて、有名なキャストもいませんが、非常に質が高い映画だと思います。