パディントン

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　ペルーの山奥からイギリスにやってきたクマがイギリス人家族に拾われて彼らに家族になっていく話。

　パディントンというメインのキャラクターが可愛くてそれだけで大満足できる作品だと思いました。そのキャラクターに実写の家族が関わって生活するけど、パディントンを狙う悪い人が現れて…。という流れ。

　最初はパディントンがイギリスの文明社会に慣れるまでのカルチャーギャップコメディで見せていって笑えるし、中盤からパディントンが捕まっての救出劇というのもハラハラドキドキできてよかったです。

　ただ新鮮味という部分ではほとんど新しい点はなくて、正直どこかで見たことあるかのような展開で想像の範囲内を超えずにその中でドタバタを繰り広げられるだけなので盛り上がることがないまま終わってしまいました。
　最初は家族にほとんど認められないけど、しだいに認められたと思うけど。悪役の介入により主人公とお父さんが勘違いで関係に亀裂が入って離れるけど、いなくなってしまったことによりお互い必要なんだと再確認して…。という流れなんかも何百万回といろんな映画で見てきたことあるかのような展開でした。

　とはいえ、全編楽しい映画で面白かったです。

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そもそも絵本読んでなくて思い入れもないので見逃したままでしたが、
何やら無性に「癒されたい・・・！」と、更年期の不定愁訴解消ぐらいの気持ちで鑑賞。
意外や意外、これがかなり良かった。

吉村昭の『羆嵐』を読んで以来、大っ嫌いになったクマのことを急速に見直した。
（え、これフィクションなのに・・・？和解していいのか・・・？）
うん、いいのだ。マーマレードうまいよねー、分かる分かるーと思いっきり共感したもの。
（ホントにそれでいいのか・・・？）

そう、オバサンはこの度、このクマにかなり共感を覚えてしまったよ。
キーワードは「ぶきっちょ」ですかね。
なんで、あんなに、いちいち大ごとになるかねっていう不器用さ。
お風呂に入るだけで大洪水、本の端っこの破れをセロテープで止めようとしただけで全身テープまみれ。
さすがにワタクシは人間ですから、あんなにヒドイ事はないけれども、でも「ぶきっちょ」で
良く失敗するので、なんかもうホントにこの子が愛おしくなってしまった（苦笑）。

舞台がイギリスだし、やたらとアワアワしてる感じがミスタービーンっぽい。
パディントンはあんなコスイ奴じゃないが（笑）。

あとは意外に丁寧に作られてるなーと感心した場面がいくつか。

パディントンがペルーを去るきっかけとなる地震のエピソード。揺れが収まってシェルターを
這い出たパディントンが、伯母さんと一緒に変わり果てた森を歩き回るシーンは、
彩度を落としたグレーっぽい画調で、手持ちカメラの揺れる画（え）が臨場感にあふれている。

パディントンがブラウン家を出て一人で町を彷徨うシークエンスも良かった。
バッキンガム宮殿の衛兵に優しくしてもらう場面が可笑しくて、そしてじーんとくる。
ここも色彩がすごくキレイで計算されているのですよ。青白い建物に赤い制服の衛兵という対比。

ニコール・キッドマンの役どころも、ただの金目当てとか名声が欲しいとかの
単純な悪役じゃなくて、父親の秘話がちょっと切なくて良い。
先進国の人間が未開の地を探検する・・・って随分と一方向的な視点な訳で、
探検「される」側の権利はどうなんだ？みたいな話を盛り込んであるのが、今っぽいかなと。
まぁ、思いっきり文明を謳歌するクマっていうコメディにはなってるんだけど（笑）。

そんな訳で、非常に楽しかったです。こりゃ２も観なきゃだ。

ともかく可愛くて暖かくて、最後まで、ワクワク、ハラハラです。

パディントン駅のプラットフォームで、優しい声をかけてくれたブラウン夫人が駅名から名ずけてくれました。

ちっちゃくて、モコモコで、ペルーのジャングルから出てきた熊さん。
地理学者の博士から習ったマーマレードが大の好物。
ジャングルの映像から、ロンドンの都会へ、博士を頼ってやって来ました。
映像が素晴らしいです。
パディントン駅(19世紀そのまま)
自然大博物館。
ロンドン名物二階建てバス。
そしてお世話になるブラウン家のインテリアは童話そのもの。
お父さんはダウントン・アビーの伯爵さま。
以外とイケます。
お母さんに物怖じしない家政婦さん。
それにパディントンを剥製にしようとつけ狙う悪役がニコール・キッドマン。
トム・クルーズ張りのアクションを見せます
ジャングルと都会。
人間と熊・・・そういう境界を吹っ飛ばして、
笑いの渦に包まれました。

昔から「パディントン」が大好きで、ロンドンに行ったときにはわざわざパディントン駅に行って写真を撮ったほどの私。
そんなわけで、とっても楽しみにしてた映画だったのですが、大満足でした。

パディントンが首から下げている「Please look after this bear.Thank you.」という荷札。
以前NHKで放送された「グレーテルのかまど」という番組で初めて知ったのですが、
第2次世界大戦中に疎開する子供たちが首から下げていた札から来てるそうで、作者のマイケル・ボンドの実体験が元になってるとか。
この荷札の由来について触れられているところもよかったし、
「体はここにあっても、心は別のところにある」という故郷を思う気持ちにもしんみりしてしまいました。

００７のQことベン・ウィジョーが担当している、パディントンの声もGOOD!
パディントンの新しい家族ブラウン一家の夫婦もふたりの子供も、それぞれ個性的でいいです。
一家の長、ミスター・ブラウンを演じてるのが「ダウントン・アビー」のロード・グランサムことヒュー・ボネヴィル。
まさか伯爵の女装が見れるとは思いませんでした。

パディントンを誘拐して剥製にしようとする悪役をニコール・キッドマンがやってるんですが、
元トム・クルーズ夫人なのにまるでイーサン・ハントみたいなことをやってるのにはびっくり。
さらに終盤で、パディントン自身がイーサン・ハントみたいなことをやるのには笑いました。
あと、パディントンとミスター・ブラウンが探検家の消息をたずねて行く記録館の検索システムがすごくおもしろかったです。

子供向けだけでなく、大人も楽しめると思います。

　日本では、『パディントン』は『くまのプーさん』ほどには知られていないと思うけれど、本国イギリスでは、クマのキャラクターとして、パディントンとプーさんは人気を二分しているのだそう。そのせいなのか、配役からして大物俳優が配置され、セットやロケーション、美術も申し分なく、おとなの鑑賞に堪える、とても上質な仕上がりになっています。英国らしい叡智やユーモアに溢れ、批判精神もあり、う〜ん、さすが歴史ある紳士の国と実感。

　プーさんはもともとぬいぐるみの設定なので実写化しやすそうですが、パディントンはどちらかというと本物のクマなので、実写化したら一体どうなることやらと興味津々でした。最初のペルーはともかく、ロンドンに登場して何の違和感もなくロンドンの街に溶け込み、ペットではない対等な存在としてブラウン家の一員になってしまうことに、全く不自然さを感じないのにはびっくり。ほんとにこんなクマがいそうです。

　最初あまり可愛くないなと思ったのですが、人間と対等に渡り合ってサバイバルしていくには、ぬいぐるみ的過ぎず本物のクマ過ぎず、ほどほど感がこの映画の世界にぴったりだったと思います。

　悪役に設定されていますが、父親の名誉を挽回しようとして行き過ぎてしまった博士の娘に、何だか同情してしまいました。