五条霊戦記

(　ネタばれあり　)

先行レビューにあるように、もったいない作品ではある。

先に批判的なことを書くと、
コンセプトを描くSF時代劇が主眼で、時代考証には関心がないのか、京都出身の岸部一徳が演じてるのに貴族化した平家の雅やかはない。
出演者全員が共通語だし、平安時代ではなく戦国時代のようでもある。
言ってしまえば、日本でなくてもよい、時代も場所も借り物で設定に過ぎないのでしょう。　　そこが好みの分かれるところ。

さらに言ってしまえば、浅野忠信は元服を迎える若武者には見えにくい。
若い頃の藤原竜也なら、と思ってしまった。時の権力者・平家の描き方
が弱い（ 岸部一徳と國村隼が気の毒 ）ようにも思います。
五条橋の翁は内藤武敏なんですね。
脚本や演出にはツッコミどころが他にもありますね。
他の監督ならどう撮るか。
『　帝都物語　』とか『　陰陽師　』『　幻魔大戦　』とかを思い浮かべてしまいました。

では何が最後まで観させたかというと、人間がその一部だと感じさせる森や滝などの自然の美しさ、大きさ。　

そして演じる俳優たちの存在感。
(　ただ、女や民衆には思い入れがないのか、これも描写が弱いけれども　)
浅野忠信、永瀬正敏もよかったが、なんと言っても弁慶を演じた隆大介に見入ってしまった。　本作をネット検索しても彼の演技を褒める記事が多い。　代表作と言えるのではないか　
最後の不祥事を含め酒のトラブルでキャリアをしくじったが、改めていい役者ではないか。　もったいない。

「　真実と伝説では、伝説が選ばれるのが西部　」と言うのが『　リバティ・バランスを射った男　』から『　許されざる者　』と続く西部劇の神髄ですが、現実があまりに醜悪で悲惨でつらいから、伝説が語り継がれるという史実と伝説の関係は普遍的なものなのでしょう。
平家は盛者必衰の物語となり、彼らを滅ぼした判官殿もまた滅び伝説となった。

弁慶は阿闍梨(　勅使河原三郎もよかった。 )に救いの道を教えられたからこそ、生き地獄を知ることになったのでしょう。
女も子どもも殺したUNFORGIVENの弁慶だからこそ、遮那王の心の闇がわかり、共に地獄へ行ったのでしょう。
　隆大介の好演に拍手を送ります。

(　ｙｋｋ１９７６さんの映画会　　１４２回のレビュー　)

義経と弁慶が今までのイメージとかけ離れていて違和感がぬぐえない状態で見ていたが、最後でなるほどと納得させられてしまった。一気に見ることをおすすめ。ただ私の借りたディスクは後半で読み取りができなくなり何度もプレーヤーから抜き差ししなければならなかった。非常に気分を害した。管理をしっかりしてほしい

面白かったです。平安時代という感じは出ていたと思います。そこに映画の娯楽性を付加したというところでしょうか。実際あんなに人斬りはできないとは思ったけど、剣劇アクション映画として見ればよいです。通説の五条の橋の弁慶と牛若丸のお話を知っている人ならば、いったいこの話はどうなるのだろうという期待感を持ちながら、結末を見たとたんに「へぇー」か「なーるほど」という感想がきっと出るはず。

　怨霊、悪霊の存在を前提としながら、それをＣＧで出さないところが、気に入りました。
　殺陣は、やや不自然なところもありますが、躍動感あふれるつくりで、なかなか見せます。
　映像的にも、よく作られているのでは。

　ラストも、数ある義経異聞のひとつとして、そんなに不自然ではありません。

　時代劇アクションとしては、おすすめかも。

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平家のサムライが夜な夜な鬼に殺されるという・・・
設定は面白いのに、なーぜかイマイチ？
60点。2時間もかかる必要がよく分からん。眠くなってしまった。