ツォツィ

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主人公は　南アフリカのスラム街で暴力と犯罪にまみれ　名前を捨て　ツォツィと呼ばれ　荒んだ日常を送っていた。

幼い頃　家を飛び出し　空き地で生活していた。当然　無学な上に道徳心もなく　お金が欲しければ盗み　似たような仲間たちとつるんでいた。

ある日　高級車を運転して帰ってきた　お金持ちの夫人を銃で撃って　車を盗んだ。

ところが　その車には　赤ん坊が乗っていた！一度は捨て置こうとしたが　放っておけず赤ん坊を連れて帰った。

その赤ん坊を通じて　彼は　命の重さや愛を知り　人間の心を持つようになる。


とてもシンプルなストーリーなのですが　青年の闇に光が差してくる様が見事に描かれています。

人の命をなんとも思っていなかった青年が　たまたま偶然に拾ってしまった赤ん坊の命を重んじる。やっぱり　世界共通で　赤ん坊は天使なんですね・・・。

でも赤ん坊にとっては　エライ迷惑な話ですよ！　せっかくお金持ちの家に産まれ　両親の愛情を受け　幸せな日々を送っていた筈なのに　突然　犯罪者の貧しい家で　新聞紙でお尻を拭かれ　オムツも新聞紙。（ただれちゃうでしょ！）　移動する時は　紙袋に入れられて移動。知らない女性のお乳を飲まされ・・・。また　この赤ん坊　顔がオヤジ顔・・・。私は個人的にツボにはまりました　このオヤジ顔に・・・。愛を知らないツォツィが　このオヤジ顔の赤ん坊を　愛おしい目で見つめるんです・・・。ジーンときました。

彼の行為は　いけない事です。でも　サイボーグだった青年が人間に成長していく様は　観る者に感動を与えます。　そう・・・ヘレン・ケラーが　初めて　物には　名前があると理解した時の様な感動・・・。

育った環境って　大事ですね・・・。

地面に張り付くように広がるスラム街とその奥にそびえたつ高層ビル群の映像が、貧富の暮らし向きの差を訴えていて印象的だ。
スラム街の貧しい家に生まれた少年の心がどのように壊れていくのかをこの映画はうまく表現している。
人は自分の生まれを選択できない。恵まれぬ境遇に生まれたのは本人の責任ではない。
犯罪の背後にある格差社会の貧困は人間の心を蝕む。
悲劇の原因はけっして犯罪者個人にだけあるのではない。

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一人の不良少年の更生物語ですが、そのきっかけと成ったのが、小さな命というのが素晴らしいお話です。

貧困と無知により、暴力で全てを得る事が彼等の常識となっている、不良少年グループ。そのリーダー格の少年には何やら仲間にも言えない過去が有り、仲間割れの原因になったりもする。
有る時彼は障害者に付きまとい、それでも生きたいのかと突き詰めるのだが、その行為は彼自身のコンプレックスの裏返しと感じられた。彼は愛に飢えていたのだが、愛を受ける事に恐れを抱いてもいて、拒否される事に臆病になっていたかのように感じられた。そうなったのは、彼が幼少期に受けた心の傷のためなのだが。

小さな命は求めるままに愛を要求する。その姿に失って臆病になっていた彼の愛情が目を覚ますシーンが、それこそ彼の目付きに如実に表され、語る言葉は少なくても観ているこちらには確実に伝わって来る。

３通りのラストで一番本作に相応しいのは、劇場公開版、私達が普通に目にした終わらせ方だと思う。彼は逮捕され罰され、地べたに這いつくばってでも生きて行かないといけない。日の光を浴び続けるためには、恐れる事無く自分と向き合い、たとえ他人の目に惨めに写ろうとも生き続ける必要が有ると、このラストは強く訴え掛けて来る。

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南アフリカ、ヨハネスブルクのスラム街。
土管に暮らすたくさんの子供たち。
格差社会の歪みの下で、強盗、暴行、窃盗、殺人・・・
ありとあらゆる犯罪が渦巻き、後を絶たない・・・

ツォツィは不良の意味だけあって、そう名乗る彼も
そんなスラムに暮らす悪ガキ中の悪。
そんな彼を人としてまっとうな道へ導くのは
赤ちゃんと言う小さな命。
生を求めて泣く赤ちゃんの声が、彼の忘れていた良心を呼び覚ましたのでしょうか・・・

赤ちゃんを世話するうちに知り合った乳飲み子を抱えた女性。
慈愛に満ちた彼女との出会いも、ツォツィの人生を大きく変える・・・
貧しい中にも、人としての誇りを失わない生き方。
人を愛し、子供を慈しむ、穏やかな暮らし。
ツォツィはそんな夢の欠片や幸せの種を見つけたのかもしれません。

感動的というよりは、いろいろと考えさせられる作品だったと思います。
ツォツィの中に芽生えた変化もまだ小さな第一歩。
ツォツィがディビッドとして生きられる日は訪れるのだろうか？
そう信じたくなるラストが良かったです。

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エンディングクレジットで流れる荒々しいラップ調のＨＩＰＨＯＰが、主人公の熱い魂の叫びを代弁していることに気づいたとき、
それまでこの類の音楽に抱いていた偏見とも取れる眼差しが一変した。　

悲しみ、怒り、争い、が支配するヨハネスブルク・ソウェト地区から負のパワーを持ってして生まれた秀作。

主人公演じる俳優プレスリー・チュエニヤハエが非常に素晴らしい。無言の表情からにじみ出る魂の叫びに目が釘付けになった。
実際あの映画に出ている未成年の俳優達は少なからず、映画のような負の環境を味わっているに違いないと思う。でなければ
あれほどまでに成熟した目つきは出来ないんじゃないだろうか。　
演技とも実演ともとれぬ出演陣の悲壮に満ちた表情が実に生生しく、心が痛んだ。

どんなに劣悪な環境に身を置いたとしても、人は希望を求める生き物であり、そうあって欲しいという監督の想いに批判の余地はない。
ラスト警察官に方位された主人公が褐色の肌に流す涙に、力強く、優しい希望の輝きを見た。

まさにこれは『ある子供』の南アフリカバージョン！！そのあまりにも酷似した内容には鳥肌ものです。