レイチェルの結婚

これもジャケに騙されそうだが、可愛いガーリームービーではなく、家族の崩壊と再生を描いている。ホームビデオのような撮影の仕方で、家族の一面を切り取ったような映像であり、複雑な家族模様を描いている。

キムの背負った十字架が重く、家族はそれを理解しているが、家族がバラバラになった要因でもある。姉の結婚式という舞台で妹が戻ってきて、心の葛藤のはまたぶつかり合って行く。

心がぶつかり合っていくさまは、息苦しくもあるのだが、いまひとつ私の心にはこなかった。アン・ハサウェイが主人公というのも少々ミスキャストだからかもしれない。

気になったのが、姉が結婚するのが黒人で、他にも色んな人種の方々が結婚式に集まる。人種差別なんぞありません的な演出がアメリカの表面をなぞっている様で、違和感があった。

アン・ハサウェイ演じるキムの性格が、若い女の子によくいるなぁと思った。自己中ではなくて、甘い考え方なんだよな。

更正施設から姉の結婚式のために帰宅した妹。
弟を自分の不注意が原因で事故でなくしたということが
家族全員に暗い影を与えている。
両親は離婚し、それぞれが新しいパートナーと暮らしている。
姉の結婚相手は人種が違う。父親の新しい伴侶も混血の風貌。
このあたり今のアメリカの家族の姿をリアルに描いているように思う。
そういった家族の冷え込んだ状態から
なんとか明るい日差しの中へ出て行こうとする努力が痛々しい。
特に印象的なのが父親。
登場人物の中で際立ってバカなぐらいに努めて明るく振る舞う様に
感情移入してしまった。
でもそんな一生懸命に家族を結び付けようとする努力が空回りしてしまう。
アン・ハサウェイ演じる妹は、問題児ながら、
彼女なりに精一杯のことをしているということも感じられる。
淡々と、結婚式の前後三日間を描いた作品ながら、そこに込められた制作者のメッセージは強烈で、観おわった後、塞ぎこんでしまうぐらいのインパクトがありました。
ラストシーンのレイチェルが眺める風景に、どこか明るい面があるものの、暗い気持ちにさせられ考え込んでしまう嫌いなタイプの映画でしたが、家族の結びつきという難しいテーマをとりあげ、そのひとつのあり方を提示したともいえる意義深い作品。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

　他人の幸せを祝いたくない私は、終始居心地の悪い映画だった。タイトルどおりの結婚そのまんまとは思わなくて借りてしまった。途中でしらけ気味になった。ドキュメンタリー風なのも鬱陶しかった。
　そもそも招かれること自体が少ないが、出席している人たちのスピーチは本心だろうかと疑いたくなる。
　こういうときに誰かが花嫁花婿のあらぬ素性を暴露して、台無しにしてくれたら面白いのになどと、ひねくれて思っている。
　そこで依存症のキム(アン・ハサウェイ)が、結婚式というオブラートに包まれた場で、家族の内情を暴露しかける。それをたしなめる姉レイチェル(ローズマリー・デウィット)だが、浮かれている彼女にも複雑な過去があったようだ。とちゅうで皿洗い競争をする父親。この家族とは関わりたくないと思ってしまう。
　結婚に至るまでは、誰しも困難があるだろうが、あえて結婚式でぶり返さなくても良いのにと思う。観ている側としては、同情して欲しいかのように思えてしまう。
　弟の悲しい出来事もあったようだが、当人が乗り越えていくしかない。この姉妹は助け合って欲しいと思う。結婚しても家族が頼りなのだろうから…。後半の踊りや歌で騒ぐシーンは、ここだけは和気あいあいで楽しかった。
　アン・ハサウェイは私の中では印象が薄い女優さんだが、ファンなら興味深い役だと思う。どちらかというと彼女が主役だろう。★★★

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

主人公が今どういう状況に置かれているかなどの設定が最初はわからない。見ていると徐々にわかるようなヒントがちりばめてある。

主人公の姉は、結婚式を友達が総出で取り仕切ってくれるほど人望があり、幸せのまっただ中(に見える)。それに比べて主人公は、姉の友達に歓迎されていない。それは薬物依存症で事故を起こしたことが関係しているようだと明らかになってくる。そして最終的にはその依存症は家族、特に母親によって引き起こされたのではないかと推測できるまでになる。姉だって心理学を専攻していることからわかるように、自分の苦悩と実は向き合っている。だから逃げている妹が許せないのだ。でも、再び事故を起こしてしまった妹を優しく迎え入れ、風呂に入れてやる。その時二人は葛藤のないただの小さなころの姉妹に戻る。

ジョナサン・デミというと「羊たちの沈黙」、サスペンスというイメージだったが、この家族の歴史を辿る映画も、サスペンスのように終始ひりひりとして「そうだったのか！」という気づきが用意されている。
姉妹の喧嘩、自暴自棄。すべて両親、特に得たくても得られない母親からの愛情を求める行動だった。

もちろん、子どもを愛せない母親が悪いと思うがどうしようもないことでもある。でも大人になったら、姉の様に家を離れ、自分の人生を歩むことが正解だと思う。音楽が救い。披露宴後のダンスシーンの熱狂と、そこを抜け出しての姉妹、姉の夫のチークダンスシーンが印象深い。あと、かわいいだけと思っていたアン・ハサウェイのおトイレシーン。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

騒動が重なったレイチェル(ローズマリー・デウィット)の結婚式。この一家に真の和解の日が訪れるのだろうか。その先の事は誰にも分からない。しかし、かつてキム(アン・ハサウェイ)が愚かな選択をして修復することのできない禍根を残したことをこの家族から消すことなどできないことは明らかだ。だから、彼女は一生その罪を背負っていかねばならない。

だが、キムにはその覚悟はなく、薬物依存を克服することができないでいる。キムも辛いであろうが、家族はより複雑な感情を抱かなければならない。事実、両親は離婚してしまい、家族は崩壊してしまった。その罪の意識を減らそうとするキムと母アビー(デブラ・ウィンガー)の衝突の場面が本作品の白眉だったと思う。

いくら他人の所為にしても起きてしまったことは変わらない。キムの真の贖罪は、そのことを受け入れることから始まると感じた。