イントゥ・ザ・ワイルド

何故、クリスは旅に出たのか？
親への反抗？
裕福な家庭に育った自分を見つめなおすため？
社会への不満？
色々あると思うけど、理由なんてどうでもいいと思う。
旅をしたいからする。自分の力だけで生きて行く。
そう決意して旅立ったのだろう。
誰にでも、自分の力を知りたい時が必ずある。

ただ、家族に黙って行くのは、好くないと思う。
心配しない親なんかいませんよ。
共感出来なかったのは、そこだけ。

冒険に出る勇気は素場らしいと思うし、１人になることに
よって見えてくるものもあると思う。

旅先で出会った人たちが、クリスの旅を応援し暖かく見守る
姿に感動しました。優しい人たちに出会えて幸せだと思う。

人は１人では、生きていけないことを教えてくれる。

２時間半と長丁場ですが、丁寧に描かれていてショーン・ペン
監督の熱意を感じる作品だと思います。

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壮大な物語と云うより「私小説」の映画化だし、一歩間違えば
個人の価値観を押し付けるだけの作品になってしまうだろうし
何にしても商業ベースに乗らないハリウッドがあまり扱いたく
ない題材でしょう。

それでもあえてコレを作りたいという思いの強さが伝わって
来るし、世間の欺瞞に満ちた現代社会から逃れようとする彼の
あくなき挑戦は強い信念の裏打ちがあってこその断行だったの
だろう。

家族が本当の家族でないことを知った日から、彼は幸福になる
ための「答え」を探していた。
それはアラスカで暮らした後に一生を懸けて導き出す物だった
に違いないのだ。

驚くべきは天才子役の時から実力派の名を思うが侭にしながらも
素行の悪さから「ワルガキ」とそしられたショーンペンが近年
やたら「物言う役者＝ご意見番」になっている点だろう。

少なからず僕にも"イントゥ・ザ・ワイルド"的な欲望があって、この映画とても心に滲みた。

究極の自由に肯定的にあこがれを持って見てしまうのですが結果がわかってるのでなんとも不憫。
ワイルドなのも健康であってこそ(笑)人生80年 生きるつもりで見ててはそもそも軟弱な考えヵｗ

憧れがあるといいつつもマジックバス(ザ・フーのマジックバスを連想)にたどり着くまでの未だ人とのつながりがある放浪の旅の程度が僕にとっては良いところかな。
やっぱり人間は自然の中ではたった一人では生きていけないのかな。

あのバスでの生活はある意味自殺だったのか、それともまた戻りたいとも思っていたのか...。
本当のところはわからない気がする。またそこが上手く出来てる映画ですけどね。

主人公は年齢的にも実際に同年代を生きた人間だし僕の感性のロマンチックという意味の大部分を満足させていただきました。文句なく満点の映画。

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若いなぁ…と思う。
主人公に対して、最初の思い。だけれど、それだけでは終われないものがあった。
頭が良過ぎただけでも、ナイーブ過ぎただけでもない。
青いし未熟だけれど、その若さゆえに持っているストイックさ、反骨精神は羨ましい部分があることも確かだった。
親が大切なのは真実だし、感謝もしているけれど、理不尽なことを押し付けられた経験はある。（彼はだいぶ複雑な家庭で育ったのでさらに深刻。）
でも人の親というものは大抵、子供にある種の後ろめたさも持っていることは理解できる年になった。
親の立場で観ると、大変つらい映画だ。
年を重ねると、自分以外の何かの比重がどんどん増える。
それは世界が広がることでもあるけれど、自分がぼやけていくことにもなる。
心の底からウンザリするけど、世の中でやっていくには相当な量のしがらみにまみれなければならない。
通常は社会に出てから、いつの間にかテクニックが身についていく。
行動力と勇気があれば、真理の探究というのか、自分の存在理由を追及してみたかもしれない。
それまでの自分を完全に捨てて、できるだけシンプルに自力で生きてみたい、と思ったことはある。
けれどチラッと思うくらいで通り過ぎただけの自分が、ただ何となく流されただけではない、とは言いきれない。
主人公は哲学にも精通し、徹底的にやってみる行動力と精神力があった。
アラスカの荒野で、しがらみや物質から離れ、完全に独りで生きてみよう、と思い旅に出た。
アメリカの大自然が素晴らしい！主演俳優もいい。（時々ディカプリオに似てた。）
自然の脅威に遭ってもたまたま助かったこともある。その場の機転で助かったこともある。
自分みたいに少しはみ出た人々との出会いでも、若い彼は大きなものを得ていった。
老人との関係は心暖まり、大きく揺り動かされることとなる。
そして、完全に独りにはなれない、独りではない、と気付いた。
けれど人間って難しい生き物で、生きている間ずっと、どう生きるのが正しいのかなんてわからないのかもしれない。
私にはもう少し時間がありそうだけれど。

彼は偽名で旅を続けていくけれど、本来の自分の方が大切なことに気付いた。
若過ぎるがために、頭ではわかっていても完全には理解できなかったこと。
自然は人の力ではどうにもならない落とし穴があるということ、人の命は限りある、ということ。
本当は、もう少し時間が欲しかったよね。
もう少し時間があったら…生きている間、その思いはしょっちゅう出くわすけれど、彼に、もう少し時間を与えて欲しかったなぁ…と本当に残念に思った。
たった23歳、彼ならまだまだ素晴らしい何かができたのに。
何かを手に入れ、帰って来られる人だったのに。
実話だから、やりきれない。

ずっと書き文字で彼の心を綴る画面、静かに語るような音楽に、監督の気持ちがこめられている。

ショーン・ペンは「プレッジ」で最後に偶然がドカーンと介入して来る映画を作っていたけど、この作品も同じ様な路線を感じました。餓死が目の前に迫っていたかもしれませんが、たまたま、植物の知識が深く無かったが為、死んでしまう。
欧米の映画によくある、偶然＝確率の問題＝運命の否定＝神の死
をテーマにしているようにも思えます。

この映画、静謐な悲しみがそのトーンの根底にあって、
深い祈りのようなものを感じました。

見終わった後、本当に、魂を揺さぶられるような深い感動がありました。