あの胸にもういちど

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「やわらかい手」を観てから、彼女の作品を是非観て見たいと思った１作です。
貴族のお嬢様。ミック・ジャガーの恋人。薬物依存。そして７０年代後半のカムバック。今も音楽活動を続けているという劇的な人生を歩むマリアンヌ・フェイスフルの曰く付きの噂からは、程遠い可愛らしい２０代前半の姿がお目にかかれます。

原題は「オートバイに乗った少女」そのまんまですね。
朝ベッドで眠る夫の横から、すり抜けるように起きて、全裸に皮のジャンプスーツを着て、朝もやの中、しなやかな姿の美少女が、ハーレーに跨り飛ばして国境越え。
大好きな不倫相手のアラン・ドロンに会いに行くという話なのですが、道中走りながら、彼女の脳裏をよぎる夫や、アラン・ドロンへの様々な思いなど、回想を中心とした描写で展開される複雑な乙女心を描いています。
アラン・ドロンは、セクシーでちょいワル。皮のジャンプスーツを着て、バイクに乗っている姿が、ルパン３世の峰不二子のモデルという噂もあるとか？

危険で、切なくそれでいて、ハーレーというバイクと彼女のふっくらとした童顔さと、そのアンバランスが当時世の男性を虜にしたのかもしれません。
呆気に取られるラストが、衝撃的です。

　と、別の映画のタイトルをこちらに持ってきたいほどピタリとはまる。

　数日前、事故の瞬間を目撃してしまい、怪我人の介抱や警察の検分にも立ち会うという衝撃的な体験をした後のなのに何故このＤＶＤを手にする気になったのか自分でも良くわかりませんが、もう冒頭から私はハラハラしっぱなし。事故と言うキーワードに対してとても過敏になっているためか、冒頭から不穏な空気を感じました。
　ですから確かに裸の上に黒川のライダースーツを着て、ブロンドの髪を靡かせてビッグバイクにまたがる女性の姿は格好良いのですが、「危ないよ〜」と叫んでいる心の中で呟いていました。私自身バイクに乗っていた時に前方の右折車と正面衝突したこともあるのでバイクが危険な乗り物であると言うことは良くわかっています。

　この作品を一言で表せば、「ある女性の妄想と倒錯の世界」でしょうか。作品の大半が彼女が愛人の元へとバイクを走らせている間の彼女の回想、あるいは妄想が主体となっています。バイクに乗っているのも愛人との思い出と身体の疼きを癒す、一種の倒錯の世界になっています。

　気付けばこのバイクでの走行のシーン。帰路の描写が全くありません。自宅から恋人のところへ向かう一方通行です。他のレビュアの方も仰っていましたが、恋人の存在ももしかすると彼女の空想の産物では？と疑いたくなります。

　主演のマリアンヌ・フェイスフルはWikipediaによるとレオポルド・フォン・ザッヘル＝マゾッホの血筋を引いているとのことですが、この作品への起用は制作者が彼女の出自をしっていてのことだったのでしょうか。ちょっと気になります。
　
　シュールな編集や効果は今見ると少し古さは感じるものの、全体的にスタイリッシュで格好良い映画だと思います。

なんだかデスカスの機能も変わって　すぐにレヴューなんかが見れない感じで　レヴュー書いたり読んだりの意欲がちょっと削がれていますね　コメントを読むのがしばらく主流になりそう　このシネマも68年なのかな　一度見たきり　簡単なコメントみたいな感想ですましてしまおう

これって　アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ（長いね）とジャック・カーディフとマリアンヌ・フェイフルの出会いってわけで　まあたいした映画ではなかったと思うんだけど四つ星の価値ありみたいな　マリアンヌの「やわらかい手」公開にあわせているんでしょうね

マンディアルグはお耽美なエロ怪奇幻想小説の名手　いまでも流行るでしょうね　この「オートバイ」は作風的には現代物ですから（40年前の）割りにあっさりして読めましたね　エロと機械と交通事故死の恍惚　バラードの「クラッシュ」をはるかに先行してましたね　クローネンバーグにはこちらのリメークが良かったんじゃないかな

ジャック・カーディフは「赤い靴」などで有名な華麗な撮影監督　自ら演出もこの映画のようにしています　後年は「ランボー怒りの戦場」とかの撮影などもやっていて　びっくり

「パリ・ジュテーム」や「やわらかい手」のマリアンヌは優しそうなおばあちゃんで良かったですね　でもまあ40年前のマリアンヌの　ぴっちりしたジャンプ・スーツ（っていうのかな）の魅惑は　女性にもお勧めです

ディスカスのイントロダクション、ひどすぎませんか？
イントロダクションでネタバレだなんて・・・。

それはさておき。

好きですね。
あまりにも主人公が妄想爆走中過ぎて、それはもうバカすぎて、陶酔しきっていて、見てるこっちはもう、オードリー若林並にツッコミ通しな訳です。
「そうじゃねーだろ！」
「意味わかんねーよ！」
「誰に向かって言ってんのかわかりませんけどね」
「いいかげんにしろよ」
「自信過剰だよ」
・・・あぁ８７分、なげ〜・・・
・・・と言いつつ。
なんだか、妙に彼女にやられてしまっているのです。
恋愛（という名の欲情）に、とことんここまで溺れてみたら、そりゃー気持ちいいだろうな。
新婚２ヶ月のヘタレ旦那のベッドを抜け出して、裸に直接皮のツナギを身に付け、男からもらった（ある意味男の代わりの）大型バイクにまたがり、５時間近く（？）国境も越えて、愛しい冷たいひどい男のもとへ。
ひたすら。ただひたすら。
考えるのは、ただただ男のことばかり。

恥ずかしい。目をそむけたい位恥ずかしい。
あぁ私にだってこういう時期あったわよちくしょう!!(/＼*;)
ま、そういうことです。実行はしなかったけど、こういう妄想族だった時期がある人には、苦笑いとツッコミが止まらない映画だと思います。
愛すべき１本。
かつて恋するオトメだったあなた、観て一緒に恥ずかしがりませんか。

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（イントロダクションは重大なネタバレですね）
　撮影監督のジャック・カーディフらしい、面白い絵でつづられるエロティックで妄想的な作品です。素裸に柔らかい革のつなぎを着て、1200ccのハーレーで愛人のもとへ走る新妻を演じるのが、ミック・ジャガーの恋人であったり、「ルパン」峰不二子のモデルであるらしかったり、強烈な暴露本だの麻薬だの、さまざまな伝説に彩られたマリアンヌ・フェイスフル（faithfulって意味深な感じがします）。
　この『あの胸に〜』の時は20歳代初め、最新作『やわらかい手』で孫のために風俗嬢となる彼女は60歳代半ば。あまり間をおかずに二作を観ると、どこか現実感を欠いてふわふわした少女っぽさ、空虚とも見える印象的な眼差し、上品なのだけどどこかくずれて艶っぽい顔立ち、あまり変わっていません。余談ながら『やわらかい手』は全体としてはいろいろ思うところがありますが、フェイスフルの個性が生きていて、ジェニー・アガターとの対決などにとても惹かれました。
　そうフェイスフルの眼って、どこか虚ろに見えます。心に核となるものがなくて、でもいいやと諦めていたところに、デモニッシュで魅力的な男（アラン・ドロン）と出会ってしまう。お嬢さんというものは、不良が好きなものです。彼は彼女にオートバイの手ほどきをし、誠実だけどつまらない男との結婚祝いとして妖しく光るハーレーを贈るのです。
　オートバイを駆るフェイスフルは、愛人との密会に胸をときめかせているのですが、同時にさまざまに男たちの視線を意識して興奮したり、オートバイで独り走ることそのものへの悦びにうち震えているように見えます。さまざまに自分を制約していたものから、このときの主人公は解放されていて、その喜びが画面からあふれそうで、四輪ではおそらくこの作品は成り立たないだろうと思われました（初めてオートバイにまたがったとき、これでどこまでも好きなように行けると思えて、不安と喜びを同時に感じたことを思い出しましたが、まさにオートバイはたった独りで進むことに恍惚となれるマシンなのです）。
　オートバイのシーンはおそらくスタンドインで、バストアップ以上のカットは背景の合成によっていて、フェイスフルの挙動も疾走感に欠けているのですが、作品そのものがある種のファンタジーであることを思うと、あまり傷とは言えないように思いました。６５点。