タイガー＆ドラゴン　「三枚起請」の回

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

クドカンドラマのスペシャル物。
後にスペシャルから連ドラに昇格した作品なそうな。

クドカンな時点で盲目的に「最高」をあげたくなるタイプと
逆にいこじに「おもしろくない」を述べるタイプがあるのだが、私は前者。クドカン感性がストライクど真ん中世代なんです。無条件降伏。

ストーリーは
話がつまんね〜ヤクザが、噺家に取立てを行なう。
が、ひょんなことから噺に笑いと感動を与えられたヤクザが一念発起、噺家を目指すお話。
思わずわらっちゃうポイントは
厳しい縦社会（師匠、兄弟子、弟子）なはずの落語の世界、基本的にそうなんだけど、実は、弟子＝債権者、師匠＝債務者なのでコロッと立場が逆転する瞬間。力関係が変なんです。
噺家の息子、落語家はイヤなんだが、才能溢れる男。うらはらに、笑いに対してストイックであるところ。”修羅場を乗りきればこの話、みんなにできると思うとワクワクする”変な性分。

ドラマが進むにつれて、リアル三枚起請になっていくのだが、
この息子のテンションの上がりっぷりがたまりません。
「マジで！？三枚起請だよ！！」ってね。

ちと話を脱線させますが
TVのスペシャルドラマに過ぎないんですが、今のドラマの延長邦画よりもずっと映画らしくて面白い。（構図はもちろんドラマの構図なんですけど）このプロットは映画でキッチリ撮ったらものすごい作品になったのではないでしょうか？？クドカンに甘い私ですが、必見間違いなしのオススメです。

オマケ
ジャニーズV6岡田君、日本で今一番、「マジで！？？」ってセリフが似合う役者さんです。ジャニだからとか言わずにみてほしいなぁ

これが例の、2005年1月9日（日）に放映された「タイガー＆ドラゴン」のスペシャル版です。普通、スペシャルって、連ドラ放映の後、ご好評により…で制作されるもんですけど、このドラマの場合は逆なんですよね〜。スペシャルの高視聴率を受けて連ドラスタートっていう、珍しいパターンです。

さて、本題。

この物語は、連ドラの前までのお話。山崎虎児（長瀬智也クン）の生い立ちや、虎児と林屋亭どん兵衛（西田敏行さん）との出逢いから、二人の関係性が成立するまでの出来事が描かれています。そして、竜二（岡田准一くん）は何故、あの状況になったのか。謎の女＝メグミ（伊東美咲さん）に関するエピソードも続々と…。

題材になっている演目が「三枚起請（きしょう）」ですから、落語をご存知の方なら、メグミがどんな人なのか、察しがつくことと思います。女性から観ると、ある意味うらやましいかもしれませんが、男たちからすれば、なんとも切なく、情けない状況です。ま、そこが笑いのツボなんですがね。

このＤＶＤを観れば、連ドラのＤＶＤをより深く楽しめると思います。もちろん、コレだけでも充分楽しいです。でもきっと、ドラマの方も観たくなると思いますよ。え？もう、とっくに観たって？こりゃ、ど〜も。

☆役名＆キャスト☆

山崎虎児…長瀬智也
谷中竜二…岡田准一
メ グ ミ…伊東美咲
銀 次 郎…塚本高史
リ　　サ…蒼井優
谷中鶴子…猫背椿
林屋亭どん吉…春風亭昇太
辰　　夫…尾美としのり
半　　蔵…半海一晃
チ ビ Ｔ…桐谷健太
日　　向…宅間孝行
林屋亭どんつく…星野源
林屋亭どんぶり…深水元基
林屋亭うどん…浅利陽介
谷中小百合…銀粉蝶
林屋亭どん太（谷中竜平）…阿部サダヲ
組　　　長…笑福亭鶴瓶
林屋亭どん兵衛（谷中正吉）…西田敏行

　奇想天外の組み合わせに、あり得ない、ばかばかしいと思いつつ、いつのまにかその不思議な世界に引き込まれ、思わず知らず魅せられてしまう。江戸の人情あふれる映画自体がまるで落語の世界です。メリハリが効いていてとてもテンポがよい。うまい！ざぶとん１枚！４以上の評価を得ているのも納得です。

　目立ち過ぎず、とてもさりげないのだけれど、岡田准一のうまさがひかっています。思わずうなってしまうほど。

クドカンドラマには、無駄な登場人物がいない。出ている以上、すべての人が強い個性と、それまでの生き方を体現する行動、せりふを持ち、物語に奥行きと現実感、ストーリーの骨格の上に鮮やかに華を咲かせて見せる。

やくざ側のつるべ親分も、兄貴も、坊ちゃんも、もちろん西田どん兵衛師匠も、林家亭一門も、家族や、だまされる人たち、おでん屋さえも、すべてが生きているせりふを語る。

連ドラ化されるとの事で、「オチ探しの旅」はさらに続く。
もはや、クドカンドラマは、日本ドラマ界の一つの到達点。

　凄めば迫力あるヤクザやのに、人を笑わせたい、と思ったのが運の尽き。落語家の師匠西田敏行の話芸に魅せられて、断られても、決して挫けず自宅にまで押しかけ弟子入りしてしまう長瀬君（笑）。
　一方西田敏行（師匠）の息子であり、類い希なる噺家の資質を持ちながらも、親に逆らって家を飛び出し、ショップを経営して自作のデザインTシャツ（しかも悪趣味）を販売している岡田君。

『池袋ウエストゲートパーク』と『木更津キャッツアイ』のテンポの良さとスピード感、若者らしいオシャレも忘れず、しかも今回はプラスαで、クラシックな落語をドッキング。

　クドカンの手にかかると、古くさい落語もあらあら不思議。
　今まで見たことも聞いたこともない斬新なファッションに見えてくるではありませんか。

　このところ漫才に押されっぱなしの落語ですが、この作品のおかげで若者御用達のサブカルチャーになり、
「えー、『三枚起請』知らないのぉ〜、マジありえなくない？」
というようなセリフがセンター街あたりで日常的に飛び交ったり（笑）。