シャッフル

　私の大好きなジャンルの映画なのですが、残念なことに「普通、もしくはいまひとつ」というくらいの印象。

　シャッフル自体は一種のマクガフィンでしょうか。理由は分からないのですが、それはまあ私としては理由付けが無くても全く気になりません。
　問題は全体のテンポでしょうか。ずっと一定のテンションでメリハリがありません。そのために途中から「これって本当に辻褄があっているのかな？」と映画の進行そっちのけで映画のギミックの細部の方がやたらと気になってしまいます。少々の辻褄くらいは勢いで誤魔化して、観客をそんな思考に追いやらずに映画の世界に引きずり込むような演出が必要なように思います。
　案の定、辻褄の合わないところを見つけてしまい「やっぱり」となる訳です。

　終わってみればこの映画の描きたかったのは、サスペンスでもミステリーでも無く、宗教観に基づいた「人の幸福」。「心の持ち方が人の幸せの価値をきめる」というようなテーマなのですが、この描き方で果たしてどのくらいの人にそのテーマが届くのか、かなり疑問です。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

「魔法にかけられて」の脚本家が、夫を亡くした妻が、翌日彼が生きているという事を知ったら？というアイディアを発展させて書いた時間軸が交差する話です。
監督は、３５人の候補者の中から選ばれた新鋭のメナン・ヤボだそうです。

朝起きると、曜日がバラバラにシャッフルされていて、２/３ぐらいまでは、結構引き付けられて見てしまいました。この不思議な話がいったい誰に操作されているのだろう？と思って見ているのですが、オチを知り始めた辺りからは、ちょっと退屈です。

夫の死を目の当たりにして、夫の大切さに気付き、その妙な妻の態度に、妻の大切さに気付いた夫の話とでも言いましょうか？
ラストは、スリラーというよりも、人間愛、家族愛という感じが強いです。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

　時間軸を動かすのがずっと流行していますが、ついに日が入れ替わってしまうという現象が主婦サンドラ・ブロックを困惑させます。月火水木金土日が、たとえば水金月土火日木になってしまう。
　で、混乱しながらもヒロインは、何日か先に家族を重大事故が襲うことを知って、なんとか回避しようとするわけです。果たして、彼女は運命を変えられるのか？　というお話。
　途中までなかなかよく出来ていると思います。何しろヒロインも混乱しますが、観客だって混乱します。事実の断片が脈絡ない順番で提示されるのですから、（たぶん）巧妙に張られた複線も一回観ただけでは分からないところも多そうです。
　しかし、それほどグチャグチャになって、分かりにくいという感じもしません。込み入った情報を観客に理解させつつ、先行きに興味を失わせずというのは、結構難しいでしょう。これは脚本がなかなか細部まで練られていると思いました。
　悲惨で重いシーンが多いので、ちょっとダークな気持ちになってしまいますが、「運命は変えられるのか」という一点でサスペンスフルに引っ張ります。しかし問題は……オチです。

（以下重大なネタバレあり）
　やっぱり、ヒロインのしたことがことごとく裏目にでるというか、「何もしなけりゃよかったじゃん」と思わせてしまうのは失敗ではないでしょうか。それも含めて運命であって、最後には宗教的な香りが漂うのですが、努力が報われなかったという印象が非常に強い。伝記などならともかく、これほど救いなく失敗する人を描いても、エンタメの範囲の作品としては、辛いです。50点。

邦題やイントロダクションから、ある種のタイムトラベルもの、つまりもう少しＳＦチックな作品だと思っていました。
なので、曜日がシャッフルされたことに気が付き、タイムテーブルを作り始めたところではこの先そのタイムテーブルをどのように利用し、また、どこに落とし所をもってくるか、非常に楽しみで、興味深くあったのですが・・・
終わってみればファンタジーに近く、夫婦の絆や家族の絆を考えさせるような作りになっており、ちょっと求めていたものとは違った作品となっていました。

本当は時間軸をいじくると必ず発生するパラドックス的なものや、登場人物の行動の矛盾など、ツッコミどころは有るのですが、主題の違いからか、あまり目立ったものではなく、そこら辺は気にならずに見られるのではないでしょうか。
ただ、ラストの作り方はちょっと納得できない感じかなぁ。
いくらなんでも主人公の行動に無理があるでしょう。パラドックスとか、矛盾とかではなく、常識的な行動パターンとして。

曜日がシャッフルされるという状況はなかなか面白く、またシナリオ的にも細かい伏線の張り方、その収集状況、どれをとってもかなりなハイレベルでしたが、それを感じさせるには展開が説明不足で、ストーリーの主軸が単なる人間ドラマとなっている事によって、そのシナリオの上手さが薄れてしまった感があるのがちょっともったいない作品でした。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

サンドラブロックのザ・インターネットという作品が大好きなんですが、それに迫るぐら
いのいい作品でした。ちょっとしっくりこないというか、腑に落ちないこともある。
シャッフルになった理由があの事故にあるのであれば、何故、あそこへいくことに
なったのか。まるでメビウスの帯のような話。が！実はこのメビウスの帯はシャッフル
という邦題のイメージからでてくるもの。現代は「PREMONITION」で前兆。前兆であれ
ば納得できるものがある。どちらにしても切なくなるようなエンディング。あそこに行か
なければ、危険を回避させるためにUターンさせなければ。。。行動を起したが故に事
故が起きてしまってるわけですから。

的を得ているような得ていないような邦題のシャッフルだけど、表面的にはまさにそ
の名の通りでサンドラブロックの身におきることが一週間のシャッフル。細かい描写
や比喩がたくさん盛り込まれていて実にうまく作ってある。

ザ・インターネットで見せたサンドラブロックの素晴らしい演技がここでも健在。こういう
演技をやらせたらなかなかのものです。表情だけでかなりのことを語れてしまうのは
とんでもなく素晴らしいことだ。

サスペンスでもなく、ヒューマンドラマっていうわけでもない。ジャンルにちょっと困る
作品だけど間違いなく良作。エンディングの切なさにはかなりやられると思います。