ガルヴェストン

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

（2018年製作・アメリカ）メラニー・ロラン監督。
裏社会で生きてきた男ロイ（ベン・フォスター）は、ボスに裏切られ殺されそうになるが、
なんとか相手を殺し、その場にいた娼婦のロッキー（エル・ファニング）を連れて逃亡を図る。
途中ロッキーは自宅に寄って服を取ってくるというが、連れてきたのは妹だという3歳の女の子だった。
車を乗り換え、ガルヴェストンのモーテルまで行って、ほとぼりが冷めるのを待つロイとロッキー。
初めて海を見て大はしゃぎの妹。
ロッキーの白い肌に青いビキニが似合って美しい。

ロイは、病院に行った時、先生の話を最後まで聞かずに飛び出した。なので自分は末期がんだと思いこんでいた。
自分はロクでもないヤツだが、ロッキーには幸せになってほしい。
「高校、大学に行って人生をやり直せ」
10代で体を売るしか生きるすべがないロッキーに、まとまったお金を渡したいロイは危険な道を選んでしまう。

娼婦という役柄のエル・ファニングだが、全然そんな感じはしない。
スラッとしたスリムな体にはいやらしさが全く無いし、欲情を誘う顔でもない。その方法でしか現金を得られない。
中学もまともに行ってないのであろう。悲しい話だ。
それゆえに、ロイと踊った赤い大きなリボンのついたドレスのシーンは、たまらなく可愛い。

幸せになってほしいという願いが、空すべりして大きな不幸をよぶ・・。
海や風景が美しいし人間も描けているとは思うが、中間も最後も悲しすぎて、簡単にはすすめられない。

2018年(アメリカ)監督は「イングロリアスバスターズ」などで活躍する
……………………仏女優のメラニー・ロラン。

裏社会で生きて来たロイ(ベン・フォスター)は、組織のボスの命令で向かった仕事先で、襲われて相手を殺してしまう。
その時、縛られていた若い女ロッキー(エル・ファニング)を助けてしまう。
組織の裏帳簿を見つけたロイは、思い出の地ジョージア州のガルヴェストン目指して逃避行をはじめるのだった。

平凡な殺し屋と娼婦の逃避行。
この古臭い有り触れたストーリーを、女性監督メラニー・ロランは、
新感覚で有り触れてない映画にしたと思います。

ロイとロッキーには「愛」はほとんど介在しない事。
ロイも決して褒められた男ではないし、ロッキーも体を売るしか生き方を知らない女。
しかし19歳の娼婦・ロッキーの生い立ちはあまりにも過酷。
エル・ファニングが、あまりにも可愛くて美しく・・・

道中寄り道したロッキーの生まれたオレンジ郡の家。
そこにいた3歳の女の子。
逃避行は3人に変わるのだった。
束の間の避暑地ガルヴェストンでの、美しい海辺の楽しい海水浴。
海で遊ぶロッキーと三歳の妹（？)
(ふたりにとっては、唯一の良い思い出・・・)

そして映画は急転直下して、ブッツリ切れて・・・
20年後の2008年に変わります。
そして思いがけないエピローグが・・・
しがない殺し屋のロイの純情と、どうしようもなく薄幸な娘・ロッキー。
犯罪映画なのに、悲しい余韻の残る佳作でした。

組織に抹殺されそうになった殺し屋ロイ。
嵌められた場所から一人の少女を救出し
一緒に逃亡することになる。
19歳のロッキーは家出をして娼婦まがいのことをしているらしい。

ロイは肺の病に侵されていた。
ロッキーにはつらい過去があった。

ロッキーの妹を家から連れ出し
組織と警察から追われる3人の逃避行。
とにかく遠くで身を潜めようと向かった先は海辺の小さな町、ガルヴェストンだった。

『人生ってやり直せるのかな・・・』
19歳のロッキーがロイに問いかける。
『君はまだ若い。何度でも何度でもやり直すチャンスはあるさ』
人生の酸いも甘いも経験していた殺し屋の言葉には深みがある。
それなのに、人生はままならない。

エルちゃんはすっかり大人の女性になってしまった。
セミヌードも辞さない女優魂は
幼いころから演技派として培われたものだろう。
お姉ちゃんのダコちゃんより綺麗。
それに妙に色っぽい。
小さいころから知っている私たちには
彼女の成長は嬉しいような寂しいような
いつだってそんな母親の心境になってしまうのだ。

結構スローな展開がなんだけど
話自体は結構面白かった。

ただ
終わり方があまり好みじゃないタイプ。
映画通の人にはこういうのがウケるのかもしれないけど
私はスカッとしたい。

ちなみに主演はエル・ファニングではなくベン・フォスターですｗｗ

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

ガルヴェストン（２０１８年・アメリカ、カラー、９４分）

殺し屋と若い女性の逃避行を描いた、よくあるパターンのアクション映画．．．．と云ってしまえば身も蓋もありません。
中盤から後半にかけては、ロードムービー的な雰囲気で展開していきますが、ラストに差し掛かる頃からガラッと変わります。
「２０年後」の状況が映し出され、この映画が単なるアクション映画ではないことが証明されるかのようです。
決してハッピーエンドとは言えないですが ‘救われた感’ は残りました。

１９８８年、ニューオリンズ。殺し屋のロイ（ベン・フォスター）は咳の症状がひどく、ボスのスタン（ボー・ブリッジス）に勧められ病院へ行くが、肺癌と診断される。その夜、ロイは次の仕事を命じられ、指示どおり相棒と弁護士宅へ侵入するが、突然何者かに襲われ、目の前で相棒が射殺される。咄嗟に銃で反撃したロイは相手を殺すと、その場に拘束された若い女性ロッキー（エル・ファニング）を発見し、一緒に連れて町から車で逃走した。
ロイは、スタンの情婦カルメン（マリア・ヴァルヴェルデ）と自分が前に関係を持っていたことで、スタンが恨んでいることを知っていた。更に、今回の仕事は銃を持って行くなとスタンに言われていたことから、彼にハメられた事を悟る。逃走の途中、ロッキーは自分が娼婦である旨を明かすが、ロイは途中で置いていくわけにもいかず、自分の故郷ガルヴェストンを目指した。そしてロッキーの頼みで、彼女の実家が在るテキサス州オレンジ郡へ寄った。ロイが車で待っていると、突然銃声がして、ロッキーが幼い女の子を連れて飛び出してきた。ロッキーはその幼女を ‘自分の妹ティファニーだ’ と言うが．．．。

主人公のロイは殺し屋ですが、根っからの極悪人にはみえません。
逃避行を続けるうち、ロッキーの境遇を知ると、徐々に彼女を励まし支援しようとする態度をとります。
自分が病に侵されて先が短いと思い込み、姉妹にはしっかりと生きてほしいと願ったのでしょう。
ロイを演じたベン・フォスターの冷たい眼が印象的でした。決して心の内を見せない強さも感じました。
ベン・フォスターの出演作は６本観ていますが、中でも「３時１０分、決断のとき」（０７年）の偏執的なガンマン、「ホステージ」（０５年）の狂気じみた役は絶品でした。「メカニック」（２０１１年）の彼もよかったです。

それにしても、監督がフランスを代表する女優メラニー・ロランと知ってビックリです。
何と言っても「オーケストラ！」（０９年）のヴァイオリニスト役が強く印象に残っていますし、「イングロリアス・バスターズ」（０９年）や「リスボンに誘われて」（２０１２年）でも重要な役どころで出演していました。

出演シーンは多くないですが、ギャング組織のボス役でボー・ブリッジスが出ていました。
（ジェフ・ブリッジスの兄貴ですね）
最近あまり見かけなかったのですが、年齢（出演時７７歳）のわりに元気そうで安心しました。

白紙状態であまり期待せずに観ると、思わぬ拾い物にめぐり合えるものですね。