フライト・キャプテン　高度１万メートル、奇跡の実話

2018年5月14日に起きた「四川航空8633便不時着事故」を素材にしております。
2019年の中華人民共和国建国70周年に合わせて撮影されたもので、
その、航空会社のプロモーションビデオのような？爽やかで一糸乱れぬ導入部は、
（あらあら、またプロパガンダ映画見ちゃったのかしら）と不安を感じました。
全体にどこかわざとらしい進行になっており、これ監督はアンドリュー・ラウ、
『インファナルアフェア』シリーズなど面白い香港映画を撮れる監督さんですね。

さて、その不時着事故は、重慶江北国際空港を離陸した40分後、四川省の上空9100メートルで、突然コックピットの右側の窓が割れ、急激に機内の気圧が下がった。
副操縦士の体が半分、外に飛び出した（！！）（よく死ななかったものですよ！）
減圧の結果、FCU（自動操縦などを操作するパネル）が大きく破損し、吹き込む大量の気流の音で通信が聞き取れない状態になった。
（寒さで動きにくい機長の腕を副操縦士らが懸命に支えた）
激しく揺れる機体に、クルーたちの制止も虚しく乗客たちはパニックとなる。
不時着事故と言われるように、着陸するのも問題がある状況だった。
リュー機長の腕と判断と、管制塔や空軍の協力もあって無事に生還できた、機長そしてクルー、ありがとう・・という展開になっております。
目的地のラサには行けなかったけど、一人の命も失う事なく降り立ったのはやはり、素晴らしい事に違いありません。

事故原因である操縦席の窓の破損および脱落が、今なお調査中で原因不明ということです。
パニくる乗客、眼下にそそり立つ幾重もの雪原、落ちたくないなぁ・・・と心から思った。

中国制作の航空機パニック作品で実際に起こった事故を題材にしているそうで中国版「ハドソン河の奇跡」とも言われているらしい。
重慶発チベット自治区ラサ行の四川航空8633便、乗員乗客128名が高度1万メートルを飛行中突然コクピットの前方ガラスにヒビが入ったかと思うと次の瞬間には完全に崩落、当然気圧差で操縦室の物は機外に吸い出される。
副操縦士も機外にほり出されそうになるがキャプテンが必死に彼を支える。
何故ガラスが割れたのかという原因は最後まで明らかにされない。
機体は一時キリモミ状態になり客室も大混乱、自動的に酸素マスクが下りてくるのでとりあえず一息、パニツク状態の乗客たちを「私たちクルーを信じて」と懸命に呼びかける美人揃いのCAたち。
航空機パニック作品で多いのはテロリストやハイジヤッカーによる人為的なトラブルなどだが本作はコクピットで起こった偶発的なトラブルなのでストーリーとしては単純。
コクピットの中で奮闘するリュー機長とサブ機長、体半分が機外の副操縦士、高度一万メートルだと酸素の希薄さに加えて氷点下30度の冷気が襲ってくる。
高度を下げたくても山脈の上を飛行しているので低空飛行出来ない、おまけに前方には巨大な乱気流を含んだ雲の群れ、地上との交信も不能、まさに絶体絶命のピンチなのである。
頼れるのは機長の経験と技術だけなのである。
本当にあった話だとしたら奇跡としか言いようがない。
エンディングは少し長め、乗客たちが機長にお礼を言いたいと機長の降機を待つ、皆さんを目的地まで運べなかったと謝罪する機長、これが英雄の姿なんだろう。
しかしなんとなく「中国の飛行機は安全で絶対落ちませんよ」という自画自賛的な感じの残る演出はチト残念。

事が起こるまでと事が終わった後がちょっと長いかな？とも思ったけど
まあ、面白かった。

エアポート２０XX　みたいなＢ級Ｃ級映画より、よっぽど面白いし映像も良い。

ハリウッドでもチャイナでもテーマが同じなら後はいかに観客にアピールできるかの差しかない。
普通に面白いと思います。昔からのテーマだから新鮮さを求める人は無理かもね

結構しっかり作られた作品でよかったです。
洋画ではよく見た感じですが中国の作品だとまた新鮮味がありました。