PLAN 75 / 倍賞千恵子
PLAN 75
/早川千絵
平均評価点:
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全体の平均評価点: (5点満点)
(14)
解説・ストーリー
これが長編デビューとなる早川千絵監督が倍賞千恵子を主演に迎え、第75回カンヌ国際映画祭でみごとカメラドール特別表彰に輝いたヒューマン・ドラマ。75歳以上の高齢者には死を選択する権利を認め支援する制度“プラン75”が施行された架空の世界を舞台に、選択を迫られる当事者や制度の運営に関わる若い人々の葛藤を静かに見つめていく。共演は磯村勇斗、たかお鷹、河合優実。超高齢化問題の解決策として導入された制度“プラン75”が定着しつつある日本。夫に先立たれ、一人で暮らす78歳の角谷ミチは、高齢を理由にホテルの客室清掃の仕事を突然解雇されてしまう。追い詰められた彼女は“プラン75”の申請を検討し始めるが…。 JAN:4907953222076
これが長編デビューとなる早川千絵監督が倍賞千恵子を主演に迎え、第75回カンヌ国際映画祭でみごとカメラドール特別表彰に輝いたヒューマン・ドラマ。75歳以上の高齢者には死を選択する権利を認め支援する制度“プラン75”が施行された架空の世界を舞台に、選択を迫られる当事者や制度の運営に関わる若い人々の葛藤を静かに見つめていく。共演は磯村勇斗、たかお鷹、河合優実。超高齢化問題の解決策として導入された制度“プラン75”が定着しつつある日本。夫に先立たれ、一人で暮らす78歳の角谷ミチは、高齢を理由にホテルの客室清掃の仕事を突然解雇されてしまう。追い詰められた彼女は“プラン75”の申請を検討し始めるが…。 JAN:4907953222076
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「PLAN 75」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
これが長編デビューとなる早川千絵監督が倍賞千恵子を主演に迎え、第75回カンヌ国際映画祭でみごとカメラドール特別表彰に輝いたヒューマン・ドラマ。75歳以上の高齢者には死を選択する権利を認め支援する制度“プラン75”が施行された架空の世界を舞台に、選択を迫られる当事者や制度の運営に関わる若い人々の葛藤を静かに見つめていく。共演は磯村勇斗、たかお鷹、河合優実。超高齢化問題の解決策として導入された制度“プラン75”が定着しつつある日本。夫に先立たれ、一人で暮らす78歳の角谷ミチは、高齢を理由にホテルの客室清掃の仕事を突然解雇されてしまう。追い詰められた彼女は“プラン75”の申請を検討し始めるが…。 JAN:4907953222076
「PLAN 75」 の作品情報
「PLAN 75」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
PLAN 75の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
112分 |
日・日(バリアフリー) |
日(一部タガログ):ドルビーデジタル5.1ch、日(バリアフリー音声ガイド):ドルビーデジタルステレオ |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
80DRJ30216 |
2023年04月26日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
29枚
|
5人
|
7人
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日(一部タガログ):ドルビーデジタル5.1ch、日(バリアフリー音声ガイド):ドルビーデジタルステレオ
PLAN 75の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
112分 |
日・日(バリアフリー) |
日(一部タガログ):ドルビーデジタル5.1ch、日(バリアフリー音声ガイド):ドルビーデジタルステレオ |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
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80DRJ30216 |
2023年04月26日
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在庫枚数 |
1位登録者: |
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5人
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日(一部タガログ):ドルビーデジタル5.1ch、日(バリアフリー音声ガイド):ドルビーデジタルステレオ
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ユーザーレビュー:14件
現代の姥捨山
監督・脚本:早川千絵(2022年・日本/仏/比/カタール・112分)
いきなり大きな物音と、銃を持った男の血だらけの腕が映し出され、一体何事!?と思っていたら、高齢化社会に不満を持った若者が老人を襲った銃乱射事件だった。老人が増え過ぎたせいで若者にしわ寄せが来て、その怒りが爆発したのだ。
そんな事件がきっかけになって政府が打ち出したのが『プラン75』だった。
75歳以上の高齢者が自分で“生死”の選択ができるというもので、PRのCMでは溌剌とした高齢女性が「生まれる時は自分で決められないんだもの。死ぬ時くらいは自分で決めたいじゃない?」と笑顔で言っている。
ホテルの清掃係として働くミチ(倍賞千恵子)や牧稲子(大方斐紗子)が、仕事仲間とプラン75について話している。仲間の一人が、そのプランに申し込むと貰える10万円でリゾートホテルにでも行こうかな?と言い、孫のためなら腹を括れると。(本気ともただの話題とも取れる…)
それからしばらくして、ホテルの清掃作業中に稲子が倒れ入院した。そして間もなく、ミチたちは高齢を理由に解雇されてしまう。これは明らかに稲子が仕事中に倒れたのが理由だが、仲間たちは「イネちゃんのせいで、とんだトバッチリだわ」と文句を言っている。
彼女たちも似たような年齢で“明日は我が身”なのに、友人の心配よりも仕事がなくなったことを愚痴っている。
ミチは稲子の家に泊まるくらい親しくしていたので、稲子が退院した後、自宅に電話するが、何度掛けても応答がない。思い切って自宅を訪ねると、孤独死した稲子を見つけてしまう。
「75歳から自らの生死を選択できる制度」
あたかも自身で「選択」したように見せかけて、ご丁寧に生きることも選べますと示唆もするが、生きる権利は元々ある。その権利を放棄させる以外に対策を立てられないなら、政府も官僚も政治家も無能だという事だろう。
後半は、プラン75を申し込んだミチと岡部幸夫(たかお鷹)、その申請窓口の担当者ヒロム(磯村勇斗)、サポート担当のコールセンター職員・成宮瑤子(河合優実)、関連施設「ランドフィル環境サービス」で働くマリア(ステファニー・アリアン)の5人が物語を動かしていく。
私が違和感を覚えたのは、このハナシの中に「家族」が出て来ないこと。
ヒロムの叔父や、マリアの家族(マリアは心臓病の娘の手術費のために日本に来ていた)が電話で登場するだけで、「PLAN75」の申し込みに家族の同意は要らないということを徹底するかのような絵面だ。
ヒロムにしても瑤子にしても、岡部やミチと直接会って会話するようになる前は、自分に与えられた仕事を淡々とこなすだけだった。プラン申込者と電話を通じてサポートする係は、申込者が途中で心変わりしないように誘導することを上司から言われている。
家族にも相談せず、窓口や電話で相談しても決められた時間が来ると、タイマーがピピピ…となって終了を知らせる。まるで流れ作業のような味気無さ。人間らしい感情やふれ合いは、極力排除されているようだ。
高齢者と若者間の軋轢だけに限らず、家族関係も人間関係そのものまでも希薄になってしまったということだろうか。
ミチと瑤子が決まり事を破って、ミチが行きたいというボーリング場に行った場面があった。ミチが、瑤子に教えられて両手でボーリングの球を転がしてストライクを取った場面。その時、隣のレーンの若者たちが、スゴイ、スゴイとミチに拍手して、ハイタッチまでして一緒に笑ってくれた。皆が皆、ギスギスと老人を邪魔に思っているわけでもないように見えて、少しだけホッとする。
それぞれが生活に追われて他者に目を向ける余裕がないから、人と人との距離が生まれて、自然と人間関係が希薄になっていったのか?
ミチと岡部の安楽死の日。
ヒロムは岡部を連れ戻しに行くが間に合わなかった。偶然、隣のベッドでその様子を目にしたミチは、そのまま逃げだした。
ラストでミチが見た夕日は、私にはとても寂しく感じた。夕日は翌朝もまた昇るだろうけれど、人生の落日は…
考えたくはないけれども、避けては通れない道でもある。悩ましいことだ。
このレビューは気に入りましたか?
11人の会員が気に入ったと投稿しています
問題提起してるにせよ、作品としては弱い
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
早川千絵監督が、20分の短編でオムニバス参加したものを、セルフリメイクして長編映画とした。
冒頭は、社会の負担となっている高齢者を邪魔と感じた若者が起こした銃乱射事件(相模原障害者施設殺傷事件を想起)を描いているのだが、
これがまるで、室内アンテナか、わし白内障ですか、と言わんばかりのぼやけた画面。(湯けむり殺人か?何が起こってるかわからぬ!)
少しなら効果的だが、割と長いのでイライラしました。
(しかし、この見づらい場面が『あなた、この事件なり問題をハッキリ見たくないでしょ?』という監督の強烈なツッコミだというのだから、
あわわ、怒られたの?わし・・)
ここでテロップが、社会保障費のため国会で可決云々と説明するのですが、前半はこれで十分じゃないですか(笑)
ドラマとしては全体に、展開がのろく、ふんわりしすぎた感じもします。
78歳になる角谷ミチ(倍賞千恵子)が、ホテルの清掃員として働き、解雇され、求職する日常を淡々と映してゆく。
(観客の高齢者さんたちは、お、ぉ、倍賞千恵子だ!♪ナニもい〜わないでちょうだい、黙ってただぁ、踊りましょ♪・・昔はめんこかった。
俺のおっかぁもあの頃は麻丘めぐみみたいに可愛かった・・あの頃は・・)と、脳内回顧して、画面のまったりした展開のあいだ、昔を懐かしんでいるのでありましょうか。
さて、ミチさんは、旅行のパンフでも眺めるように「PLAN75」のパンフを眺め、やがて市役所を訪れて申請いたします。
(自分で選択したように見えても、選択せざるを得ない状況って、腑に落ちませんよね。でも、スイスやオランダのように安楽死への議論も、
臓器提供の話題すら遡上に乗らない日本にとって、いきなりの年齢でぶった切った施策は、いくら金(社会保障費)の背に腹は代えられない
からと言って、短絡すぎますよね。
未来にも「異次元の政策」とやらでアドバルーン上げただけのヤツがいるのでしょうか。
反対した人たちはいてもやがて時勢に飲み込まれてゆくとは、耳の痛い話でございます)
そして、「PLAN75」に登場する3人の若者たち。
仕事熱心な市役所受付のヒロム(磯村勇斗)。突然、叔父さんなる人物が窓口に現れて、
いつものようにテキパキと仕事が出来なくなる。血縁者だと知って、(流れ作業)に乗せることができなくなった。
もう、安楽死してしまってから、火葬や葬式だけでも人間らしくとあたふたするが、うまくゆかない。
死を選んだお年寄りに心が揺らがないようサポートするコールセンターの瑶子(河合優実)は、ミチと親しくなり、
どうすればよいか迷う。だが何も出来ない。
フィリピンから来日したマリア(ステファニー・アリアン)は幼い娘の手術費用を稼ぐため、より高給の「PLAN75」関連施設に転職。
利用者の遺品処理など、複雑な思いを抱えつつ作業している。
老人が長生きしても迷惑をかける今の世の中だというのに、死のうとしても結局は若者に罪悪感をうませ、困らせるのだ。
若者にしても、老人が幸せに生きて幸せな思いで死んでくれたら、それ以上の幸せはないだろう。(老人の今は、若者の明日だ)
『生産性がなくて、世の経済の役に立たないから不要な人間だ』という考え方は多いに間違っている。
それでは若者は生きられない。
ラストに輝く大きな夕陽は、大自然の摂理に逆らって、存在できるのかと問いかけているのか。
あるいは「生きている」というただそれだけを無条件で喜べと訴えているのか。
このレビューは気に入りましたか?
7人の会員が気に入ったと投稿しています
死ぬ権利があるのならば、生きる権利もあるはず
衝撃のオープニングから始まるが、物語は静かに進む。
高齢化社会が更に深刻になった日本。
倍賞千恵子さん演じる78歳のミチは夫に先立たれ一人暮らし。
子供もいない。
高齢を理由に働いていたホテルを辞めさせられてしまう。
まだ元気だし、足腰もシャキシャキしていてまだまだ働けるのに
社会はそれを許さない。
役所に相談するも、生活保護を受けるようにと言われる。
友人の孤独死をきっかけに、 ミチは自ら死ぬことが出来る『PLAN 75』に
申し込む決心をする。
『PLAN 75』の職員であるヒロム(磯村勇斗)や
フィリピンから娘の手術費用のために出稼ぎにきているマリア(ステファニー・アリアン)
老人を見守る彼らの心のうちも描かれていく。
静かに物語は進むが、深刻なテーマだから見ていて気が重くなった。
深刻な高齢化社会は間違いなく くるわけだけど
こんな風に命の選択が軽々しく選ばれていくのは嫌だ。
かといって、周りに迷惑をかけて生きていく勇気もない。
誰にでも老いはやがて来る。
死ぬ権利があるのならば、生きていく権利もあるはず。
元気に生活にも困らずに生きていけるのならそれに越したことはないが
この先どうなるかなんてわからない。
見ていて不安が募るばかりの話だった。
倍賞千恵子さんの老け方と演技は流石だった。
カラオケでへたくそに歌うのも大変だったことだろう(笑)
このレビューは気に入りましたか?
6人の会員が気に入ったと投稿しています
あと9年か。
( ネタばれあり )
近未来の日本。 深刻化した高齢化問題対策として始まったのが、 “ 75歳になった人は国の施設で安楽死ができますよ。 利用者にはインテンシブとして10万を支給、最期に好きに使えますよ “ ・・・というPLAN75プロジェクトのおはなし。
カンヌ映画祭でカメラドール特別表彰を受けた作品だが、新人にしては手堅いものの脚本や編集にいま一つなものを感じ、佳作といったところかな・・・というのが劇場で観終わった時の率直な感想。
だが、それは多分に『 楢山節考 』や『 ソイレント・グリーン 』あるいはケン・ローチ作品を観たときのインパクトと比べてしまったからでしょう。
ドラマの作り方をざっくり2つに分けると、1つは非日常の事件・事故あるいは悪者や敵が明確で、ドラマが登場人物の外にあって展開がわかりやすい。 男性映画・黒澤明に見られるタイプ。
もう一つは日常の一つ一つの出来事の積み重ねで、ドラマが登場人物の内面で起こっていて、展開がよく観てないとわかりにくい。 女性映画や小津安二郎に見られるタイプ。
本作での脚本・監督の早川千絵の描き方は後者でしょう。
2016年に相模原市の障害者施設で起こった凶悪事件がモチーフですが、それを思わせるシーンや、どう老人たちを誘導すか部下に訓示する管理職の姿など、事件や事故も悪者も直接的にはっきりとは描かない。 また登場人物の家族も描かない。 それらは、観客に想像させ視線を内面のドラマに向けるための意図と思います。
PLAN75で働く若い世代も、ごく普通の、凡庸な、むしろ優しい。
解雇される職場でも送迎の花束はちゃんとやさしく手渡されるのでしょう。
感情的にならず、淡淡、粛々と進む、システム化され、ありふれた日常となっている、真綿でくるんだような、” やわらかな人当たりのいい見限り “ を描いているのが非凡。
ちなみに、本作の元となった早川監督の前作、オムニバス映画『 十年 』の製作総指揮が是枝裕和ということは、彼女も是枝門下生と言っていいのかな。
本作は日本、フランス、フィリピン、カタールの共同製作。
余談ですが、私的なことを書くと、共に暮らした父、母、姉、兄を送り、独りだけ遺って、離れていとこや甥、姪はいるものの、いわゆる独居老人。
生涯未婚なのは、しなかったと言うより、願望はあってもとうにあきらめてるからで、できなかったのは自己責任なので、身寄りがなくても誰にも文句は言えない。
お気楽なオタクの勝手気ままな暮らしをしているが、それでも老・病・死の不安はかなり身近なものになってきている。
もしPLAN’75が実際あったらどうするか。 孤独死はかなりの確率で可能性が高い。
孤独の死の前には、まず孤独の生があるのだろう。
また、もし生きていて苦痛やみじめさや気兼ねを感じたら、最期は安楽に迎えたいと思うかもしれない。
あと9年か。 それは劇場で観た時で、今はあと8年4か月。 もう、すぐやん。(せめて笑おう)
閑話休題。
本作の成功の大きな要因は、あらためて主演の倍賞千恵子に負うところが大きい。
キャラクター、演技力によるものだが、それは本作だけのことではない。
彼女がずっと演じてきたのは『 男はつらいよ 』のさくらから『 家族 』『 幸福の黄色いハンカチ 』まで、家族や故郷と離れ失った者たちが切に抱く “ 望郷の思い “を体現する対象なのです。
望郷のアイコンである彼女が孤独を抱え本作でPLAN’75を選択する役を演じる重み。
事件・事故は直接描かれず、でも一つ一つのシーンで起こることは胸が痛くなる。
痛みに耐え、あきらめて受け入れていく彼女だが、でもかわいそうな対象ではなく。
もっと身近な存在。
ラストを観て感じるのは、虚しさではなく、せつなさ。
それは、かすかな生きる希望と言い換えられるかもしれない。
作品を観てからも、そうした感じたことを思い起こして反芻している。
と言うことは、この映画思う以上にはいい映画なのではないでしょうか。
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死を選べる世界
75歳以上の高齢者は10万円のお小遣い付き(!)で安楽死させてあげますよ、という
公的支援が始まった日本・・・なんつー、ちょっとキテレツな物語。
フィクションでありながらも妙にリアルなのは、近未来設定にしてないからですかね。
高齢化の問題・・・って、人が歳をとるのは自然な事なのに「問題」になってしまうことからして
もう切なすぎじゃろ。プレ老人の自分はいたたまれないです・・・。
さて、本作はカンヌでカメラドール特別表彰に輝いたとかで、なるほど、初監督作とは思えない
手堅い作風であります。惹き込まれましたね。
なんと言っても主演の倍賞千恵子がステキですー。最初に出てきたとき「誰だ、このお婆さんは」って
ビックリしたくらい、女優オーラ・ゼロのリアルな老人っぷり。(元々、庶民派な雰囲気ではありますが)
窓辺に立つ後ろ姿のスウェットパンツが、お尻のあたりに肉がなくてタルタルとシワが寄ってて
ザ・老婆の佇まいでね。よくこういうの撮らせたなと感心する。
団地の室内の作り込み(美術さんのスバラシイお仕事ですね)も良かったですね。
みっちゃん(賠償)は一人暮らしなのに台所の棚には大きめの鍋がいくつも。
かつては家族がいたのか、或いは友人を招くこともあるのか・・・と彼女の人柄を想像させる。
最後の晩餐、特上寿司の桶をキレイに洗ってキュッキュッってふきんで拭く姿を見てて、
「テルマ&ルイーズ」(1991)のスーザン・サランドンを思い出した。
旅に出る朝、出がけに使ったコップを即座に洗って拭いてましたよね。ルイーズ・ソーヤーは。
そーいうとこに、その人の生き方がにじみ出る。
みっちゃんは、友達の家で一緒にご飯食べたときも、お惣菜の入ってたプラパックをキレイに洗って
しかも水気を何かで拭こうとしてた。友達は「置いとけば乾くからー」って。アタシもお友達派よw
この作品は、安楽死を希望するお年寄りサイドの物語だけでなく、サービス?を提供する側の
職員たちのドラマも並行して描いている。
磯村勇斗君は若手社員としてテキパキとこのお仕事をこなしているのですが、国家が人殺しを推奨している
というグロテスクな実情は完全スルーなのが、なんとも。
「お渡しする10万円は自由にお使いいただけます。葬式代にあてる方もいらっしゃいますね」とか
にこやかに説明してるのが逆にコワイよぅ。それに対し「葬式代なんてつまんないわ」と軽口たたきながら
穏やかな表情で説明を受けているご婦人が、最後にフッと沈んだ表情になるのが、辛い。
そう、ここに出てくる援助側、お年寄りを死へと導いている若者たちが、みんなとても優しいのが
なんとも複雑な気持ちにさせられる。このPLAN75なる支援策が誕生したきっかけこそ、高齢者を狙った
襲撃事件などの老人ヘイトだった訳ですが、多くの普通の若者は目の前のお年寄りを憎んでたりはしていない。
むしろ、安らかに最期のときを迎えられるようにと寄り添ってあげている。
・・・お仕事だからっていうのも勿論あるけどさ。不動産屋さんのそっけない態度とは明らかに違うやん。
みっちゃんは解雇や部屋の立ち退きなどで追い込まれてとうとうPLAN75に申し込むのですが、
そこで彼女の担当者になった若い女性と束の間、仲良くなる。この辺のエピソードもねー、泣けますよ。
今のこの社会で、男はー、女はー、若者はー、年寄りはー、○○人はー・・・って色んな断絶が
ある(ように見える)けれども、そういう属性で十把一絡げにしないで、目の前にいる名前を持った
「個人」として相対すれば、きっと違うんじゃないのかい?っと思ったりも。
衝撃的でけっこうトンデモなストーリーながら、一つひとつのシーンが丁寧に作り込まれていて、
説明ゼリフで物語を拙速に進めることもせず、落ち着いた語りが説得力を生んでいた本作。
今の日本社会のいろんな課題が描き込まれていたと思うのですが、筆力不足ゆえ自分のレビューでは
拾いきれませんでした。
後続のレビューでもっと話題が広がればよいなーと願いつつ筆を擱きまーす。
このレビューは気に入りましたか?
4人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
現代の姥捨山
投稿日
2023/04/03
レビュアー
kazupon
監督・脚本:早川千絵(2022年・日本/仏/比/カタール・112分)
いきなり大きな物音と、銃を持った男の血だらけの腕が映し出され、一体何事!?と思っていたら、高齢化社会に不満を持った若者が老人を襲った銃乱射事件だった。老人が増え過ぎたせいで若者にしわ寄せが来て、その怒りが爆発したのだ。
そんな事件がきっかけになって政府が打ち出したのが『プラン75』だった。
75歳以上の高齢者が自分で“生死”の選択ができるというもので、PRのCMでは溌剌とした高齢女性が「生まれる時は自分で決められないんだもの。死ぬ時くらいは自分で決めたいじゃない?」と笑顔で言っている。
ホテルの清掃係として働くミチ(倍賞千恵子)や牧稲子(大方斐紗子)が、仕事仲間とプラン75について話している。仲間の一人が、そのプランに申し込むと貰える10万円でリゾートホテルにでも行こうかな?と言い、孫のためなら腹を括れると。(本気ともただの話題とも取れる…)
それからしばらくして、ホテルの清掃作業中に稲子が倒れ入院した。そして間もなく、ミチたちは高齢を理由に解雇されてしまう。これは明らかに稲子が仕事中に倒れたのが理由だが、仲間たちは「イネちゃんのせいで、とんだトバッチリだわ」と文句を言っている。
彼女たちも似たような年齢で“明日は我が身”なのに、友人の心配よりも仕事がなくなったことを愚痴っている。
ミチは稲子の家に泊まるくらい親しくしていたので、稲子が退院した後、自宅に電話するが、何度掛けても応答がない。思い切って自宅を訪ねると、孤独死した稲子を見つけてしまう。
「75歳から自らの生死を選択できる制度」
あたかも自身で「選択」したように見せかけて、ご丁寧に生きることも選べますと示唆もするが、生きる権利は元々ある。その権利を放棄させる以外に対策を立てられないなら、政府も官僚も政治家も無能だという事だろう。
後半は、プラン75を申し込んだミチと岡部幸夫(たかお鷹)、その申請窓口の担当者ヒロム(磯村勇斗)、サポート担当のコールセンター職員・成宮瑤子(河合優実)、関連施設「ランドフィル環境サービス」で働くマリア(ステファニー・アリアン)の5人が物語を動かしていく。
私が違和感を覚えたのは、このハナシの中に「家族」が出て来ないこと。
ヒロムの叔父や、マリアの家族(マリアは心臓病の娘の手術費のために日本に来ていた)が電話で登場するだけで、「PLAN75」の申し込みに家族の同意は要らないということを徹底するかのような絵面だ。
ヒロムにしても瑤子にしても、岡部やミチと直接会って会話するようになる前は、自分に与えられた仕事を淡々とこなすだけだった。プラン申込者と電話を通じてサポートする係は、申込者が途中で心変わりしないように誘導することを上司から言われている。
家族にも相談せず、窓口や電話で相談しても決められた時間が来ると、タイマーがピピピ…となって終了を知らせる。まるで流れ作業のような味気無さ。人間らしい感情やふれ合いは、極力排除されているようだ。
高齢者と若者間の軋轢だけに限らず、家族関係も人間関係そのものまでも希薄になってしまったということだろうか。
ミチと瑤子が決まり事を破って、ミチが行きたいというボーリング場に行った場面があった。ミチが、瑤子に教えられて両手でボーリングの球を転がしてストライクを取った場面。その時、隣のレーンの若者たちが、スゴイ、スゴイとミチに拍手して、ハイタッチまでして一緒に笑ってくれた。皆が皆、ギスギスと老人を邪魔に思っているわけでもないように見えて、少しだけホッとする。
それぞれが生活に追われて他者に目を向ける余裕がないから、人と人との距離が生まれて、自然と人間関係が希薄になっていったのか?
ミチと岡部の安楽死の日。
ヒロムは岡部を連れ戻しに行くが間に合わなかった。偶然、隣のベッドでその様子を目にしたミチは、そのまま逃げだした。
ラストでミチが見た夕日は、私にはとても寂しく感じた。夕日は翌朝もまた昇るだろうけれど、人生の落日は…
考えたくはないけれども、避けては通れない道でもある。悩ましいことだ。
問題提起してるにせよ、作品としては弱い
投稿日
2023/03/31
レビュアー
くまげらの森
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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早川千絵監督が、20分の短編でオムニバス参加したものを、セルフリメイクして長編映画とした。
冒頭は、社会の負担となっている高齢者を邪魔と感じた若者が起こした銃乱射事件(相模原障害者施設殺傷事件を想起)を描いているのだが、
これがまるで、室内アンテナか、わし白内障ですか、と言わんばかりのぼやけた画面。(湯けむり殺人か?何が起こってるかわからぬ!)
少しなら効果的だが、割と長いのでイライラしました。
(しかし、この見づらい場面が『あなた、この事件なり問題をハッキリ見たくないでしょ?』という監督の強烈なツッコミだというのだから、
あわわ、怒られたの?わし・・)
ここでテロップが、社会保障費のため国会で可決云々と説明するのですが、前半はこれで十分じゃないですか(笑)
ドラマとしては全体に、展開がのろく、ふんわりしすぎた感じもします。
78歳になる角谷ミチ(倍賞千恵子)が、ホテルの清掃員として働き、解雇され、求職する日常を淡々と映してゆく。
(観客の高齢者さんたちは、お、ぉ、倍賞千恵子だ!♪ナニもい〜わないでちょうだい、黙ってただぁ、踊りましょ♪・・昔はめんこかった。
俺のおっかぁもあの頃は麻丘めぐみみたいに可愛かった・・あの頃は・・)と、脳内回顧して、画面のまったりした展開のあいだ、昔を懐かしんでいるのでありましょうか。
さて、ミチさんは、旅行のパンフでも眺めるように「PLAN75」のパンフを眺め、やがて市役所を訪れて申請いたします。
(自分で選択したように見えても、選択せざるを得ない状況って、腑に落ちませんよね。でも、スイスやオランダのように安楽死への議論も、
臓器提供の話題すら遡上に乗らない日本にとって、いきなりの年齢でぶった切った施策は、いくら金(社会保障費)の背に腹は代えられない
からと言って、短絡すぎますよね。
未来にも「異次元の政策」とやらでアドバルーン上げただけのヤツがいるのでしょうか。
反対した人たちはいてもやがて時勢に飲み込まれてゆくとは、耳の痛い話でございます)
そして、「PLAN75」に登場する3人の若者たち。
仕事熱心な市役所受付のヒロム(磯村勇斗)。突然、叔父さんなる人物が窓口に現れて、
いつものようにテキパキと仕事が出来なくなる。血縁者だと知って、(流れ作業)に乗せることができなくなった。
もう、安楽死してしまってから、火葬や葬式だけでも人間らしくとあたふたするが、うまくゆかない。
死を選んだお年寄りに心が揺らがないようサポートするコールセンターの瑶子(河合優実)は、ミチと親しくなり、
どうすればよいか迷う。だが何も出来ない。
フィリピンから来日したマリア(ステファニー・アリアン)は幼い娘の手術費用を稼ぐため、より高給の「PLAN75」関連施設に転職。
利用者の遺品処理など、複雑な思いを抱えつつ作業している。
老人が長生きしても迷惑をかける今の世の中だというのに、死のうとしても結局は若者に罪悪感をうませ、困らせるのだ。
若者にしても、老人が幸せに生きて幸せな思いで死んでくれたら、それ以上の幸せはないだろう。(老人の今は、若者の明日だ)
『生産性がなくて、世の経済の役に立たないから不要な人間だ』という考え方は多いに間違っている。
それでは若者は生きられない。
ラストに輝く大きな夕陽は、大自然の摂理に逆らって、存在できるのかと問いかけているのか。
あるいは「生きている」というただそれだけを無条件で喜べと訴えているのか。
死ぬ権利があるのならば、生きる権利もあるはず
投稿日
2023/03/31
レビュアー
飛べない魔女
衝撃のオープニングから始まるが、物語は静かに進む。
高齢化社会が更に深刻になった日本。
倍賞千恵子さん演じる78歳のミチは夫に先立たれ一人暮らし。
子供もいない。
高齢を理由に働いていたホテルを辞めさせられてしまう。
まだ元気だし、足腰もシャキシャキしていてまだまだ働けるのに
社会はそれを許さない。
役所に相談するも、生活保護を受けるようにと言われる。
友人の孤独死をきっかけに、 ミチは自ら死ぬことが出来る『PLAN 75』に
申し込む決心をする。
『PLAN 75』の職員であるヒロム(磯村勇斗)や
フィリピンから娘の手術費用のために出稼ぎにきているマリア(ステファニー・アリアン)
老人を見守る彼らの心のうちも描かれていく。
静かに物語は進むが、深刻なテーマだから見ていて気が重くなった。
深刻な高齢化社会は間違いなく くるわけだけど
こんな風に命の選択が軽々しく選ばれていくのは嫌だ。
かといって、周りに迷惑をかけて生きていく勇気もない。
誰にでも老いはやがて来る。
死ぬ権利があるのならば、生きていく権利もあるはず。
元気に生活にも困らずに生きていけるのならそれに越したことはないが
この先どうなるかなんてわからない。
見ていて不安が募るばかりの話だった。
倍賞千恵子さんの老け方と演技は流石だった。
カラオケでへたくそに歌うのも大変だったことだろう(笑)
あと9年か。
投稿日
2023/06/29
レビュアー
ロキュータス
( ネタばれあり )
近未来の日本。 深刻化した高齢化問題対策として始まったのが、 “ 75歳になった人は国の施設で安楽死ができますよ。 利用者にはインテンシブとして10万を支給、最期に好きに使えますよ “ ・・・というPLAN75プロジェクトのおはなし。
カンヌ映画祭でカメラドール特別表彰を受けた作品だが、新人にしては手堅いものの脚本や編集にいま一つなものを感じ、佳作といったところかな・・・というのが劇場で観終わった時の率直な感想。
だが、それは多分に『 楢山節考 』や『 ソイレント・グリーン 』あるいはケン・ローチ作品を観たときのインパクトと比べてしまったからでしょう。
ドラマの作り方をざっくり2つに分けると、1つは非日常の事件・事故あるいは悪者や敵が明確で、ドラマが登場人物の外にあって展開がわかりやすい。 男性映画・黒澤明に見られるタイプ。
もう一つは日常の一つ一つの出来事の積み重ねで、ドラマが登場人物の内面で起こっていて、展開がよく観てないとわかりにくい。 女性映画や小津安二郎に見られるタイプ。
本作での脚本・監督の早川千絵の描き方は後者でしょう。
2016年に相模原市の障害者施設で起こった凶悪事件がモチーフですが、それを思わせるシーンや、どう老人たちを誘導すか部下に訓示する管理職の姿など、事件や事故も悪者も直接的にはっきりとは描かない。 また登場人物の家族も描かない。 それらは、観客に想像させ視線を内面のドラマに向けるための意図と思います。
PLAN75で働く若い世代も、ごく普通の、凡庸な、むしろ優しい。
解雇される職場でも送迎の花束はちゃんとやさしく手渡されるのでしょう。
感情的にならず、淡淡、粛々と進む、システム化され、ありふれた日常となっている、真綿でくるんだような、” やわらかな人当たりのいい見限り “ を描いているのが非凡。
ちなみに、本作の元となった早川監督の前作、オムニバス映画『 十年 』の製作総指揮が是枝裕和ということは、彼女も是枝門下生と言っていいのかな。
本作は日本、フランス、フィリピン、カタールの共同製作。
余談ですが、私的なことを書くと、共に暮らした父、母、姉、兄を送り、独りだけ遺って、離れていとこや甥、姪はいるものの、いわゆる独居老人。
生涯未婚なのは、しなかったと言うより、願望はあってもとうにあきらめてるからで、できなかったのは自己責任なので、身寄りがなくても誰にも文句は言えない。
お気楽なオタクの勝手気ままな暮らしをしているが、それでも老・病・死の不安はかなり身近なものになってきている。
もしPLAN’75が実際あったらどうするか。 孤独死はかなりの確率で可能性が高い。
孤独の死の前には、まず孤独の生があるのだろう。
また、もし生きていて苦痛やみじめさや気兼ねを感じたら、最期は安楽に迎えたいと思うかもしれない。
あと9年か。 それは劇場で観た時で、今はあと8年4か月。 もう、すぐやん。(せめて笑おう)
閑話休題。
本作の成功の大きな要因は、あらためて主演の倍賞千恵子に負うところが大きい。
キャラクター、演技力によるものだが、それは本作だけのことではない。
彼女がずっと演じてきたのは『 男はつらいよ 』のさくらから『 家族 』『 幸福の黄色いハンカチ 』まで、家族や故郷と離れ失った者たちが切に抱く “ 望郷の思い “を体現する対象なのです。
望郷のアイコンである彼女が孤独を抱え本作でPLAN’75を選択する役を演じる重み。
事件・事故は直接描かれず、でも一つ一つのシーンで起こることは胸が痛くなる。
痛みに耐え、あきらめて受け入れていく彼女だが、でもかわいそうな対象ではなく。
もっと身近な存在。
ラストを観て感じるのは、虚しさではなく、せつなさ。
それは、かすかな生きる希望と言い換えられるかもしれない。
作品を観てからも、そうした感じたことを思い起こして反芻している。
と言うことは、この映画思う以上にはいい映画なのではないでしょうか。
死を選べる世界
投稿日
2023/03/30
レビュアー
ポッシュ(卒業)
75歳以上の高齢者は10万円のお小遣い付き(!)で安楽死させてあげますよ、という
公的支援が始まった日本・・・なんつー、ちょっとキテレツな物語。
フィクションでありながらも妙にリアルなのは、近未来設定にしてないからですかね。
高齢化の問題・・・って、人が歳をとるのは自然な事なのに「問題」になってしまうことからして
もう切なすぎじゃろ。プレ老人の自分はいたたまれないです・・・。
さて、本作はカンヌでカメラドール特別表彰に輝いたとかで、なるほど、初監督作とは思えない
手堅い作風であります。惹き込まれましたね。
なんと言っても主演の倍賞千恵子がステキですー。最初に出てきたとき「誰だ、このお婆さんは」って
ビックリしたくらい、女優オーラ・ゼロのリアルな老人っぷり。(元々、庶民派な雰囲気ではありますが)
窓辺に立つ後ろ姿のスウェットパンツが、お尻のあたりに肉がなくてタルタルとシワが寄ってて
ザ・老婆の佇まいでね。よくこういうの撮らせたなと感心する。
団地の室内の作り込み(美術さんのスバラシイお仕事ですね)も良かったですね。
みっちゃん(賠償)は一人暮らしなのに台所の棚には大きめの鍋がいくつも。
かつては家族がいたのか、或いは友人を招くこともあるのか・・・と彼女の人柄を想像させる。
最後の晩餐、特上寿司の桶をキレイに洗ってキュッキュッってふきんで拭く姿を見てて、
「テルマ&ルイーズ」(1991)のスーザン・サランドンを思い出した。
旅に出る朝、出がけに使ったコップを即座に洗って拭いてましたよね。ルイーズ・ソーヤーは。
そーいうとこに、その人の生き方がにじみ出る。
みっちゃんは、友達の家で一緒にご飯食べたときも、お惣菜の入ってたプラパックをキレイに洗って
しかも水気を何かで拭こうとしてた。友達は「置いとけば乾くからー」って。アタシもお友達派よw
この作品は、安楽死を希望するお年寄りサイドの物語だけでなく、サービス?を提供する側の
職員たちのドラマも並行して描いている。
磯村勇斗君は若手社員としてテキパキとこのお仕事をこなしているのですが、国家が人殺しを推奨している
というグロテスクな実情は完全スルーなのが、なんとも。
「お渡しする10万円は自由にお使いいただけます。葬式代にあてる方もいらっしゃいますね」とか
にこやかに説明してるのが逆にコワイよぅ。それに対し「葬式代なんてつまんないわ」と軽口たたきながら
穏やかな表情で説明を受けているご婦人が、最後にフッと沈んだ表情になるのが、辛い。
そう、ここに出てくる援助側、お年寄りを死へと導いている若者たちが、みんなとても優しいのが
なんとも複雑な気持ちにさせられる。このPLAN75なる支援策が誕生したきっかけこそ、高齢者を狙った
襲撃事件などの老人ヘイトだった訳ですが、多くの普通の若者は目の前のお年寄りを憎んでたりはしていない。
むしろ、安らかに最期のときを迎えられるようにと寄り添ってあげている。
・・・お仕事だからっていうのも勿論あるけどさ。不動産屋さんのそっけない態度とは明らかに違うやん。
みっちゃんは解雇や部屋の立ち退きなどで追い込まれてとうとうPLAN75に申し込むのですが、
そこで彼女の担当者になった若い女性と束の間、仲良くなる。この辺のエピソードもねー、泣けますよ。
今のこの社会で、男はー、女はー、若者はー、年寄りはー、○○人はー・・・って色んな断絶が
ある(ように見える)けれども、そういう属性で十把一絡げにしないで、目の前にいる名前を持った
「個人」として相対すれば、きっと違うんじゃないのかい?っと思ったりも。
衝撃的でけっこうトンデモなストーリーながら、一つひとつのシーンが丁寧に作り込まれていて、
説明ゼリフで物語を拙速に進めることもせず、落ち着いた語りが説得力を生んでいた本作。
今の日本社会のいろんな課題が描き込まれていたと思うのですが、筆力不足ゆえ自分のレビューでは
拾いきれませんでした。
後続のレビューでもっと話題が広がればよいなーと願いつつ筆を擱きまーす。
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