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■十九才の地図
(
1979年
/
日本
)
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ジャンル:
邦画:ドラマ
収録時間:
109分
音声:
1:ドルビーデジタル/モノラル/日本語
記番:
D*ADE0637
レンタル開始日:
2006/03/24
在庫枚数:
18
1位登録者:
1
全予約者数を見る
※在庫枚数は全所有枚数を表示してます。
監督:
柳町光男
脚本:
原作:
中上健次
撮影:
音楽:
出演:
本間優二
蟹江敬三
沖山秀子
竹田かほり
山谷初男
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新聞配達をしながら予備校に通う19歳の青年を主人公に、やり場のない怒りを抱え生きる青年の日常を鮮やかに描いた青春映画。地方から上京してきて、新聞配達をしながら予備校に通う19歳の吉岡まさる。毎日300軒以上もある配達先を回る単調な労働。集金に行けば、どこの家からも胡散臭がられ、無視される。まさるは、地図上で、配達先である各家々に×印を付けランク分けしていく……。
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愛おしき者たち
<ネタバレ>
ひろぼう
このレビュアーを
掲載日:2010/03/25
3人の会員が気に入ったと投票しています。
誰しもが通ったであろう、あの時。何かにせっつかれ、向かう先も分からず、ただやみくもに突っ走っていたあの頃。
その時感じた、言いようのない苛立ちは、不安の裏返しだったのか。自分が向かう先が、なれの果ては、周囲の大人達みたいな存在なのか。
決して認めたくない。しかし、認めざるを得ない。その足掻きが、社会への反発となり、地図に×を付けることになるのでしょうか。
新聞配達という仕事。単調ではあるが休むことを許されぬ労働は、勤勉の代名詞とも言えるのかもしれません。
地方から上京し、予備校に通う資金を稼ぐ吉岡まさるは、日々の勤労の憂さ晴らしとも取れる、配達先のランク付けを×印の数で行うのでした。吠える犬のいる家は×一つ。集金を拒む家は×二つ。「ご苦労さま」の手紙にも偽善者の烙印を押し×三つ、という風に。
勤勉たる者の不穏な行動には、どこか、社会不適合者の危険な臭いが漂うのでした。
吉岡は住込みで新聞配達をしており、あてがわれた部屋は、うだつの上がらない四十前の紺野という男と同室。紺野は金にだらしなく舌先三寸で世間を渡る男。そんな紺野に、なかば愛想を尽かしつつ、なぜか世話を焼いてしまう吉岡なのでした。
ある日、紺野が“マリア”と崇める女がいることを知らされる吉岡。その女は、自殺未遂により片足が自由に出来ず体を売ることで生計を立てている。見た目もぱっとしない女だが、「自分を必要としてくれる」存在は、紺野には“マリア”と写るのでしょうか。
自分が今、何をしているのか。それは何のためなのか。言われるままに有名大学へと進学し、その先に待ち受けているのは何か。それは新聞の届け先の、教員であったり不動産屋とか銀行員なのか。それに何の価値があるのか。新聞配達員をコーヒーとカステラでもてなしはするが、少し上から見下した態度で接する下らない人なのではないか。
紺野という男はどうだ。下らない男だ。だらしない。でも、自分の好きなように生きて、愛すべき存在を持っているではないか。
親や世間が言うことと自分が目にする確かな存在と、一体どちらが正しいのか、正しいとかの尺度で判断してよいのか。
自分の価値観を超えた紺野と女に、理解できない結び付きを持つ者たちに、吉岡は苛立ちをぶつけてしまうのでしょうか。
物語のラスト、吉岡は紺野の女と予期せぬ再会を果たし、その存在に気圧されるように後ずさりするのでした。
それは吉岡が、女の存在を愛おしいと感じたからで、感じてしまったことに慄いたからなのでしょう。
慕いつつつも軽蔑していた紺野と、一つになった自分が恐かったのだろうと思うのでした。
この道はいつか来た道。
理想と現実のギャップは、向ける所を知らぬ鋭い切先を周囲に放ち、自らも傷付ける。
社会の荒波にもまれいつしか切先は角を丸められてしまったのですが、吉岡のあの頃を、私事として共感できる作品でした。★4
このレビューへコメントする(2)
■
★★★★★ 邦画好きの原点
<ネタバレ>
ガラリーナ
このレビュアーを
掲載日:2009/06/04
3人の会員が気に入ったと投票しています。
本作は確か夜中のテレビの再放送で見たのが初見。おそらく10代だったと思います。そして、すっかり魅了されてしまったのです。この手の邦画の佇まいに。主演の本間優二がまるで自分を見るようでした。私も大学に入り立ての頃、大学に向かってずらずらと駅のホームを歩く学生たちをひとり残らずホームに突き落としたい。そんな衝動を覚えることがありました。何が原因というわけでもない、内からふつふつと沸き立つ破壊衝動。青いも青い。こっぱずかしいほどの青さです。
久しぶりに見直して、やっぱりすばらしくて感激してしまいました。この作品が突き付けてくるものが、今見ても全く色褪せていないのです。新聞配達先のムカつく住人たちに公衆電話から嫌がらせの電話をかける。そして、ノートに家族の名前を書き出し、×印を付けていく。横浜のタマさんおっしゃるように、まさるはチンケでヘタレなアホ野郎なんだけど、ノートに書かれたムカつく住人のプロフィールが詳細になればなるほど、彼が抱えるひん曲がった疎外感がどうしようもなく迫ってくるんです。「ひとりは怖いよ」ってまさるの声が聞こえる。×印のついた地図の下にはいろんな人間の喜びと憎しみと哀しみが渦巻いているというのに、そんな世界から隔絶されたちっぽけな自分。そんなまさるを本間優二は淡々と投げやりに演じている。デビュー作でつたない演技だからそう見えるんだろうけど、変に達観したり、すれたりしてなくてね。抱きしめてやりたくなる。そして、誰も真似できない存在感の沖山秀子も強烈な印象を残す。
どん底に暗い物語にフリージャズのBGMが妙に合う。そして、額に汗をして新聞配達を続けるまさおをとらえるラストシークエンスもいい。「ネット匿名嫌がらせ」、「デスノート」、「ワーキングプア」と現代を照らす闇がオーバーラップしました。今、みんなに見て欲しい作品。
このレビューへコメントする(1)
■
沖山秀子・・・強烈 蟹江敬三・・・深い
<ネタバレ>
横浜のタマ
このレビュアーを
掲載日:2007/05/15
5人の会員が気に入ったと投票しています。
1979年制作なら昭和54年かしらこっちのほうがピンときますね。ゴタゴタしたあまりきれいでない街の昭和の風景ですから。
19歳が描いた地図にはイヤな奴がいる家に付けた×はあっても〇はないのね当たり前だわ、尖がってる19歳にしてみたら。
特別変な19歳ってわけでもないです。
×だらけのぺらぺらの紙1枚の地図の世間しか見えない見たくない、紙1枚の下に重層的な人間世界がひしめいていることにまだ思い至らない19歳。
公衆電話で根拠のない幼稚な脅迫を様々な相手に繰り返す19歳はアホですね。自分でも自分がアホと分かっているから受話器握りながら自分の情けなさに泣いてしまうわけでわたしも何故か泣いてしまいました。
きっとわたしの19歳頃の焦燥感や閉塞感、周囲への腹立たしさがこの19歳と同じで懐かしくてぐっときてしまったのでしょうか。
でもラストは赦しを宿す視線の19歳で終わるのが、すべての人への救済に満ちているようで善きなのでした。
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■
爽快感はない結末ですね
傘無しシイタケ
このレビュアーを
掲載日:2007/03/31
1人の会員が気に入ったと投票しています。
主人公は新聞屋に住み込み、働きながら予備校に通う、まさるという19歳の青年。まさるはたまにしか予備校に行かず、勉強には熱心ではないのだが、暗いうちから腰に新聞をぶら下げて、毎日走って新聞を投函するのである。ちばてつやの「あしたのジョー」や「ハリスの旋風」のマンガに出てきそうな、今では見かけない新聞青年である。ちばてつやのマンガでは長屋住まいで貧しいけれど、夢に向かってひたすら努力し、貧しいことも吹き飛ばしてしまうエネルギーを読者に与えるのだが、この映画では、その対極にいる人物、いわゆる負け組みの人間達が世間に抗う姿が描かれているのである。サクセスストーリーの真逆である。しかし、負ける人間がいなければ勝つ人間もいない。この負けた人間達が卑屈になり、世の中には一番悪い形となって現れる。「犯罪」の芽生えみたいなところが描かれている。
まさるのルームメイト紺野は嘘つきで、人から金を借りても返さず、フラフラしている30男。入墨を彫るが痛くなってやめてしまい、胸に中途半端な絵だけが残っている。しかし、そんな中途半端な過去も勲章にしている。パチンコで負けてきた時は、「俺が四国で釘師だった頃は客に勝たせてやったもんだぜ・・・」とまたホラ話を始める。でも何となく憎めない男である。
しかし、一時はまさると一緒に新聞配達を始めるのだが、それも長続きせず、強盗に手を染めていく、終には刑務所に入れられてしまうのである
まさると同じ新聞屋に住み、配達をしながらキックボクシングをやっている小沼は、いかにも弱そうなか細い男だ、案の定、デビュー戦で惨敗し担架で運ばれてしまう。小沼は、自分の道を諦め、新聞屋を去って行く。
紺野が恋焦がれるマリアという女は怪しい色気はあるが、頭に白髪が混じるいい年の女。足が不自由でびっこをひいている。薄汚いアパートに体目当ての男達が来ては、金を置いて去って行く。公園の砂場で立ちションをして子供に石を投げられたりする。
まさるは新聞配達をしながら、ムカつく人間のリストを作って復讐していく。復讐といっても公衆電話から悪戯電話をかけるだけなのだ。
制裁されて当然という悪人に矛先が行く時もあれば、生活していれば、そこら中でお目にかかるような細かい嫌味や不快も自分の腹の中にコツコツと溜め込んでいくのである。その名前は日増しに増え、ある日まさるは大きな紙に地図を書くのだ。そして一件一件×印を書き込んでいく。ムカつく度合いによって×印は二個にも三個にもなるのだ。
まさるは配達中に牛乳を盗み、飲んだビンを路上に投げ捨てる。しかし、罪悪感は感じていない。
投函する時にキャンキャン吠え、纏わりつく犬を殺し、物干し竿に縛りつけ、公衆電話から飼い主に電話をかける。
集金に行き、親切にもカステラやコーヒーを出してくれた婦人や娘達も偽善者としてリストに加わっていく。
まさるが感じる数々の非常識は相手にとっては常識的な事であり、逆にまさるが平然とした顔で牛乳を盗んだり、表札を盗んだりすることは、まさるにとっては常識で、相手にとっては非常識なのだ。
そんな世の中の歪があって、どんな人間にも良心があり、正義感もあり、幸せも訪れる。
この映画の結末にははっきりとそこが描かれていますが、主人公が成長したのかどうかは、ぼんやりしています。まだ、悪いことをしそうな危うい人間には変わらない気がしました。
後味の悪い結末ですね。
「カミュなんか知らない」でもそうなんですが、結末をボカし、見ている人に考えてもらうという作り方なんでしょうか・・・いま一ついつも見終わった後にすっきりしませんねぇ。
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■
懐かしい、そしてやっぱりいい!
ケチケチ
このレビュアーを
掲載日:2007/01/24
6人の会員が気に入ったと投票しています。
「BLACK EMPEROR」は高校の授業をさぼって、「十九歳の地図」はフィルムマラソンで、リアルタイムで柳町光男を見てきた世代です。(^^;)
時代的には「積み木くずし」が流行語になるちょっと前の作品ですね。
新聞配達をする少年が捉える街の人々は、人生という手垢にまみれた人間たちです。この描写が実に濃厚で、主人公の少年ならずとも、見ている方も嫌悪感に襲われてきます。
一方少年はというと、街の人に苛立ち行動を起こしても全く子供っぽい無力な抵抗でしかありません。漠然と右翼という力に憧れ脅迫電話を掛けたところで、一時の発散にしか過ぎず自分への嫌悪感が募るだけです。街の人々の詳細を几帳面に地図にまとめあげる繊細さを持つ少年であるだけに、なおいっそう鬱屈した怒りは遣り場を失って彷徨います。彼の曖昧さや平凡さを象徴するかのように、度々登場する彼の文字の書き順はめちゃめちゃ。彼もまた街の人々と何一つ変わらない存在ですが、それを認めたくはない。
クライマックスでは、ちょこっと解答(解放)を提示するのですが、その見せ方も良いですねぇ。
同監督の最新作「カミュなんて知らない」は、映画表現の奥深さを意識しているようだけど、学生たちの描写には今ひとつ物足りなさを感じてしまうのです。やはり世代的なものもあるのかなと、改めて「十九歳の地図」を見直してみましたが、この濃厚さが足りないから物足りなく感じるのかもしれません。映画のトーン自体が時代に左右されているのは分かるんだけど、やっぱり私的にはこっちの方がいいですね。
それにしてもこのDVD、LB(レターボックス)なのもあるけど、画質がかなり甘くなっていて細部が非常に見づらいです。是非クリアな状態でもう一度見直してみたいものです。
ちなみに、2007/01/24現在、DISCASはスタッフ・キャストのデータが抜け落ちてますので以下に記載。
<スタッフ>
監督:柳町光男
製作:柳町光男 中村賢一
原作:中上健次
脚本:柳町光男
撮影:榊原勝己
音楽:板橋文夫
美術:平賀俊一
編集:吉田栄子
録音:瀬戸厳
<キャスト>
本間優二(吉岡まさる)
蟹江敬三(紺野)
沖山秀子(マリア)
山谷初男(店主)
原知佐子(妻・和子)
西塚肇(斎藤)
うすみ竜(小沼)
鈴木弘一(原)
白川和子(安田久代)
豊川潤(森)
友部正人(他社の配達員)
津山登志子(里子)
中島葵(隣りの女・久美子)
川島めぐ(美智子)
竹田かほり(まゆみ)
中丸忠雄(取り調べ官)
清川虹子(「かおる」のママ)
柳家小三治(運転手)
楠侑子(西村智子)
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■
★★★
kamyu
このレビュアーを
掲載日:2007/01/15
2人の会員が気に入ったと投票しています。
これはもう20数年前1979年の作品で、公開時には当然のことながら見てないんだけれど、僕が中学生か高校生だったかの頃、深夜テレビで放送されていたのを、たまたま偶然見てしまい、見終わって腰が抜けてしまった作品。
簡単に言えば、新聞配達の19歳浪人童貞クンが気に入らない奴らに悪戯電話をかけまくるって話。
そして、その行動はだんだんエスカレートして行き…。
当時10代だった僕にはけっこうショッキングな内容でしたね。
最初は全然見る気無かったけど、いつの間にかもうブラウン管に釘付けになっていましたもん。。。
で、今回縁あってもう一度見てしまったわけですが、おお…やっぱ独特のあじわいがありますねぇ…柳町さん。
『カミュなんて知らない』は嫌いだけど面白かったし、そしてこれも良いですよ!!!
誰が言ったか、娯楽の黒澤、芸術の柳町…とはさすがによく言ったものですね。
なーんだか、強烈な映画ですよ…今見ても。
それを、まだミドルティーンの頃に見たんだから、腰が抜けるのも当たり前だのクラッカー。
以前見たときは、主人公の方に肩入れするような感じだったんだけど、今見ると周りの駄目人間ばかりに目が行っちゃいますね…(笑)。
やっぱ、10代と今じゃ感じ方が違うんですかね。
今回いろいろ調べてみたんだけれど、主演の本間優二って族の総長やってたんですね。
でも役者とかには全然興味なくて、その後あっさり芸能活動をやめている。
『戦メリ』とかにも出てたのに…。
沖山秀子って女優も相当やばい人だな。
けっこう若い蟹江敬三のダメっぷりもイカシテマスよ。
あと、逆さに吊られていた犬は恐らく本物だろ?
今やったら、いろんな妙な団体から抗議来るだろうな…。
特に若い人で柳町光男監督をあんまり知らない人は、見ておいた方が良い映画だと思います。
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