素晴らしい! 新海誠監督はポスト宮崎駿になる監督
<ネタバレ>
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2007/10/19
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レビュアー名:field_isle
前作「雲のむこう、約束の場所」と同様に全フレームともとても緻密に描かれており、背景や人物の全体的な雰囲気も「雲のむこう、約束の場所」によく似ていたと思います。天門さんの音楽とよくマッチしていて、良かったです。
キャラクターは、貴樹(タカキ)はヒロキに、明里(アカリ)はサユリに似ていましたね。外見だけでなく、性格も似ていたように感じたのは、私だけではないはずです。
第1話「桜花抄」は、タカキとアカリの、小学校高学年から中学1年生までの話でした。
遠くに引っ越して行ったアカリに会いに行ったタカキですが、電車が大雪で大幅に遅れ深夜になってしまいました。
ケータイの普及していない時代、電車の中からでは連絡手段もなく、電車内の席で途方に暮れるタカキ。観ているほうも、電車はちゃんと動き出してくれるのだろうか、アカリとの再会は果たせるのだろうか、とドキドキしてしまいました。「アカリが家に帰っていてくれるといいんだけど」とアカリを気遣うタカキは、偉いですよね。
アカリのほうは、電車が雪で遅れていることは分かっていて、駅の待合室でお弁当を持ってずっと待っていました。それだけ、タカキへの想いが強かったのでしょう。
淡い初恋の初々しさが感じられて、その後の一連のシーンはとても感激しました。
電車がなくなって二人で小屋に泊まったタカキとアカリでしたが、結局、これが二人の今生の別れになってしまいました。
電車を見送ったアカリの「タカキ君なら、一人でも、きっと大丈夫だから」という科白が、二人の今後を暗示していたのかも知れません。
第2話は、種子島で高校時代を過ごすタカキを、タカキに片思いしている花苗(カナエ)の視点から描いています。
中学時代にタカキが転向して来た初日に一目ぼれして、タカキと同じ高校に行こうと猛勉強したカナエは、けなげだなぁと思います。
高校生活では、部活が終わってタカキが来るのをいつも単車置き場近くで待っていました。タカキに片思いしているカナエに対して、タカキはいつも優しく振舞っているものの、どこか取り付きにくい感じがあったようです。
タカキは時々ケータイでメールを打っていて、相手はアカリかと思っていたら、実は打ち込んでいるだけで、誰にも送信していなかったんですね。
空想のシーンでは、種子島の岡の上でセミロングの髪の女性と一緒にいます。顔ははっきりとは書かれていませんが、アカリですね。タカキは、アカリへの想いを断ち切れずにいるのでしょう。交際が途絶えても常にアカリを感じているのだと思います。
そんなタカキに片思いしつつも、誰にメールを打っているか、最後まで聞かなかったカナエは、可哀相でした。
第3話は、東京に戻って来て、社会人になったタカキの話でした。
燃え尽きてしまったのか会社を辞めてしまい、3年間付き合った女性とも「1000回メールのやりとりをしたのに、距離は1センチしか縮まらなかった」と言われ別れてしまいます。相手の女性は、セミロングの髪で、メガネは掛けていましたが、どことなくアカリのような雰囲気があったように思えました。
一方、アカリは結婚が決まっており、幸せそうです。
踏み切りで邂逅した(?)タカキとアカリですが、遮断機に遮られて2本の電車が行き過ぎた後には、タカキしか残っていませんでした。てっきり、アカリと思しき女性も振り返って待っているのではないかと思っていたので、このラストは正直意外でした。
タカキのことはずっと忘れていて他の誰かと結婚して幸せになるアカリと、アカリのことを忘れられず高校時代にはカナエの気持ちも受け入れられず社会人になって恋人と別れてしまったタカキとを、あえて対象的に描いたようにも受け取れます。
気になったのは、東京から種子島に引っ越した直後のタカキの心境ですね。
文通をすることくらいは出来たでしょうし、「一緒に東京の大学に通えたら良いね」くらいの約束をするという思考はあっても良かった気がします。
あと、「秒速5センチメートル」を観て思ったのは、「雲のむこう、約束の場所」と「ほしのこえ」とネタがかぶっているところがけっこうあったことです。
・電車は、「雲のむこう、約束の場所」
・第2話の「コスモナウト」は「ほしのこえ」でミカコが乗った宇宙船
・タカキとアカリが泊まった小屋は、「ほしのこえ」のバス停
・種子島の学校帰りの駄菓子屋さんは、「ほしのこえ」のコンビニ
・種子島で打ち上げ機材が道路を(時速5kmで)運ばれて行くシーンは、「雲のむこう、約束の場所」の新宿の遮断機で見かけた北へ向かう貨物車
・種子島の打ち上げシーンのまっすぐに伸びた雲は、「雲のむこう、約束の場所」のユニオンの塔
・空を飛ぶ鳥が俯瞰しているのは、「雲のむこう、約束の場所」のヴェラシーラの視線
・etc.
新海作品の特徴といったところでしょうか。