「洋楽JAZZ」のレビュー一覧
社会主義圏ソフロの名盤。
- 掲載日:
- 2025年10月12日
- レビュアー:
- MIGHTY MOE AND JOE
不気味なキノコみたいな、意味不明なジャケが印象的な
このアルバム。かつて、アーティスト名やタイトルは忘れたけど
「早過ぎたポーランド版ネオアコ」みたいな
女性アーティストの作品(素晴らしい!)と一緒に
再発されていましたね。ノヴィ・シンガーズを聴いた流れで、
同じポーランドものの本作も聴いてみました。
良いです。悪趣味なジャケに反して、
西側の人間が勝手に期待するような
旧共産圏臭さ、辺境臭さの全くない
とても洗練されたポーリッシュ・ソフトロックの名盤です。
おそらくセルジオ・メンデスや初期のA&Mものなどに
影響されたのでしょうが、曲調もラテンタッチだけでなく多彩。
そのリラックスして、ちょっぴりゴージャスな音作りと、
聴き慣れない言語の響きとの微妙な違和感に、
東欧ものならではの味わいがあります。
かつて西新宿にあった、目白の「プログレ村」から移転した
廃盤レコード・マニアの巣窟みたいなお店を思い出しました。
そこは「ヨーロッパの辺境もの」が特に充実していたので、
僕のようにサイケやアシッドフォークを漁る
もっさい音楽オタクだけでなく、オシャレなDJなんかにとっても
穴場だっ
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開花の一歩手前か。
- 掲載日:
- 2025年09月28日
- レビュアー:
- MIGHTY MOE AND JOE
夜気が涼しくなって虫の音が聴こえてくると、
こういう音も部屋の空気に馴染んできます。
ポーランドを代表する男女混声ジャズ・ヴォーカル・グループの
この人たち。久々に聴いてみました。
ポーリッシュ・ジャズは、日本でも一時期
クラブ系の音楽ファンから注目を集めていた記憶があります。
そうしたDJユース的な流れとは違うけど、
僕もコメダやトーマス・スタンコなんかは聴きましたね。
特に、スタンコのジャズロック寄りの意欲的な作品や、
フィンランドの剛腕ドラマー、エドワード・ヴェサラと共演した
アルバムなどはかなり面白いと思いました。
で、ノヴィ・シンガーズのこのアルバム。
東欧らしく(?)トラクターに乗って遊ぶ楽しそうなジャケに惹かれて
聴いてみたのですが、内容は思ったより平凡でした。
もちろん、ジャズ・ヴォーカルのアルバムとしては上出来なのだけど、
こういういかにも王道的な感じなら、
別に彼らじゃなくてもいいんですよね。
次作の「トルペード」以降のアルバムは、
もっとアレンジや楽曲が多彩で変化に富んでいた印象があります。
思うにこの2ndまでは、彼らはまだ本場アメリカの模倣から
抜け切っ
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多彩なリズム。
- 掲載日:
- 2025年08月31日
- レビュアー:
- MIGHTY MOE AND JOE
エル・ソニード・ヌエボ / カル・ジェイダー/エディ・パルミェーリ
パルミエリが参加してるんで、もっとアクの強い音を期待したけれど、
ラテン音楽としては、割と平均的な感じです。
でも、曲ごとに多彩なリズム・アレンジを聴かせるところは流石。
個人的には、ラテンやアフロのリズムに
ジェイダーのクールなヴァイブが乗る曲が、洒脱で好きですねえ。
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日本独自の企画盤(廃盤)が聴けるのは有難い
- 掲載日:
- 2025年06月10日
- レビュアー:
- kazuさん
カバー曲を含む日本の企画盤。Dan Siegelはいつ聴いても心地良い。ボーカル入りが3曲収録されているが、全曲インストなら最高だったんだが。
とにかく、廃盤となっている本作品が聴けるだけで感謝。
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聴き落としていたBYG その8
- 掲載日:
- 2025年06月08日
- レビュアー:
- MIGHTY MOE AND JOE
この人のピアノを聴くのは本当に久しぶりです。
昔、ECMからの「オープン・トゥ・ラブ」を聴いて以来。
それ以外は、アネット・ピーコックと組んで
才気走ったシンセサイザーものを聴くことが多かったので。
60年代ならESPやフォンタナの印象が強いけれど、
BYGからも出してたんですね。
M1、5がアネット・ピーコック、M2、3がカーラ・ブレイ、
M4がオーネット・コールマン、M6が自作と、
全6曲中4曲を、米国ジャズ界にとどまらず
世界の音楽シーンを代表する卓越した女性アーティストの楽曲を
取り上げているのが印象的です。
「ナルシシスティックな耽美派」と評されることもあって、
ブレイという人は女性的なものへの感性が鋭いというか、
フェミニスト的な面があったんですかね。
そんな個人的なイメージもあってか、
男性曲におけるジャズらしい弾んだプレイよりも、
女性による楽曲での、虚脱したようにゆっくりとした、
訥々と一音一音確認するような運びの、
沈思黙考的な雰囲気の演奏が強い印象を残します。
ピアノの手数音数が少ないだけあって一層際立つ
ポール・レヴィンソンのベース、バリー・アルトシュルのド
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聴き落としていたBYG その7
- 掲載日:
- 2025年05月25日
- レビュアー:
- MIGHTY MOE AND JOE
さて、フリージャズ・ドラムの草分け、サニー・マレイです。
一聴して圧倒されたミルフォード・グレイブスや
アンドリュー・シリルと違って、僕はこの人の真価を理解するのに
少し時間がかかりました。聴き始めの頃は
「なんかタン、タン、タンってやってるだけで、
こんなの誰でも出来るじゃないか」みたいに思っていたのです。
ところが、ニューヨークのロフトジャズ・シーンの総決算とも言える
連作ライブ盤「ワイルドフラワーズ」での演奏を聴いて、
認識が一変しました。そこでの、細かくパルスを泡立て
演奏を沸騰させるのではなく、大らかにアンサンブル全体を包み込んで、
演奏に大きな渦と波動を巻き起こすようなドラミングに感銘を受けました。
ビートの存在感を立ててアンサンブルを牽引するのではなく、
演奏の内部に沈潜するようなスタイルは、とても奥深いものだと思います。
最小限の使用楽器とセッティングのシンプルさにおいても、
演奏スタイルは異なるものの、イギリスにおける革新者
ジョン・スティーブンスと双璧ではないでしょうか。
そんな彼を信頼してか、本作に集まったメンツも豪華です。
BYGのオールスターとも言える顔触
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聴き落としていたBYG その6
- 掲載日:
- 2025年05月18日
- レビュアー:
- MIGHTY MOE AND JOE
タイトル・トラックのM1は、まあ喧しいです。
以前、BYGのオムニバス盤で聴いた時も、
とりわけ印象深かった曲。
60〜70年代のフリージャズの中でも、
ピアニストのリーダー・アルバムとしては
屈指の騒々しさだと思います。
同じフランス関連では、フランソワ・テュスクの
「インターコミュナル・ミュージック」と
双璧ではないでしょうか(一部、メンバーも重複してるし)。
バレルさんのピアノは、例えばセシル・テイラーの
ガラスの破片が飛び散るような演奏に比べると、
もっと打鍵的というかクラスター的というか、
音が塊になって迫ってくる感じがあります。
そこに乗っかる、錚々たるメンツによる管弦やドラムス。
アラン・シルヴァのオーケストラと同じく、
厳しくも理知的な騒音美があります。
一方M2は、対照的にユニークな曲。
長調のスケールをテーマのようにしながら、
それを少しずつ変奏する形で展開していきます。
例えばオブスキュアやピアノといったレーベルにも
似たような構造の作品はありますが、
それらがミニマルな曲想なのに対し、
この曲は無機的な感じにならず、全体としては
コルトレーン・フォロワー的な
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