DISCAS オンラインDVDレンタル 過去のインタビュー一覧
■DISCAS INTERVIEW■
山田五郎が選んだ「理由なき」10枚(特別編)
「レンタルするの、8年ぶりですよ。」
page2 page3 今回の全リスト page1


若い人にこそ観て欲しい!

  ―― 続いて意外なセレクト、『ゴッド・スピード・ユー! ブラックエンペラー』。伝説の暴走族ドキュメンタリーですが…。
 
山田

これは若い人は見とくべきだよね。ヤンキーテイストが入り込む前の、暴走族がいちばんカッコ良かった頃の映画だよ。
別に俺は暴走族入ってなかったけど、俺たちが高校3年の時に暴走族がらみで初めて人が死んだ“神戸事件”ってのがあって。その煽りで、京阪神のバイクの取り締まりがものすごく厳しくなったんですよ。
バイクに乗ってるだけで殴られる、みたいな。で、なんとなく暴走族に親近感もっちゃって、「一緒に警察と戦おう!」みたいな(笑)。
俺がやられたのでいちばん危なかったのが、バイクで信号待ってたら、白バイが横に止まって、青になったとたんに、俺のバイクの車輪に警棒つっこんだの。
 
――

タチ悪いですね(笑)。
 
山田

悪いよ! どっちが暴走族だよ(苦笑)!
そんなわけで、「最近の暴走族、もっとしっかりやれよ」って思っちゃうんだよ…(笑)。
 
――

『ミクロの決死圏』も、「若い人にこそ薦めたい」とのことですが。
 
山田

これはSFの名画なんだけどさ、意外に忘れられてんだよね。
人間が小さくなって、カラダの中に入ってバイ菌をやっつけるっていう発想は手塚マンガが元ネタらしいんだけど、牧歌的でいいじゃないですか。バイキンマンをやっつければ病気が治るっていう、ほとんどアンパンマンと同じ世界(笑)。
 
――

内容的にはバカバカしいんですか?
 
山田

バカバカしくないよ! 感動巨編ですよ(笑)!
 
――

“決死圏”ですもんね…。
 
山田


そうだよ、決死なんだよ(笑)。白血球とかにバイ菌と間違われて、襲われちゃうんだよ(笑)! 今だからバカ映画なんて言ってられるけど、当時は手に汗にぎる科学巨編だったわけよ。
でも、科学巨編を今やると、えてしてバカ映画※4 になっちゃうからね(笑)。 そういうことが出来た、いい時代だったんだよ。

※4:最近では丹波哲郎の『北京原人 Who are you?』とか。DISCASのおバカ映画コレクションもどうぞ!


こだわりにはワケがある。

  ―― 続いて、『ロリータ』。これは最近リメイクもされましたが、オリジナルのキューブリック版ですね。
 
山田

これは、キューブリック的には駄作とされてるんですよ。
でも、原作者のナボコフっていうのは、ロシアの亡命貴族でしょ。非常にヨーロッパ的な教養の持ち主なわけ。原作には、そのヨーロッパ的な知性が、50年代のアメリカ中西部で野放図に育ったワガママ娘に振り回されて自滅するっていう裏ストーリーがあって、その点の描き方はキューブリックの『ロリータ』の方がいいんだよ。
でも、つまんないよ(笑)。エロティシズム描写においては、97年にリメイクされた『ロリータ』の方が全然いい。キューブリック版の女優は日本人が望むロリータじゃない(苦笑)! 
まあ、ロリコンは奥が深いってことで。
 
――

『輪舞(ロジェ・ヴァディム版)』も、何やら不純な(?)思い入れがあるそうで…。
 
山田


「うらやましいオヤジ」っていうと、世の中的には、ゲンスブールをいうじゃないですか? だけど、ロジェ・ヴァディム※5 だって、かなりイイ女優ばっかりイッてるんだよね。
この時は、ジェーン・フォンダとか、アンナ・カリーナとかさ。要するに、自分がヤッた女を映画に出すっていうのは、男の夢じゃないですか。ゲンスブール好きには、ロジェ・ヴァディムのイカすところも知ってほしいな、と…。
しかも、雑誌記者出身ってところが、俺たち同業者には励みになる。
「紙媒体出身でもヤれるんだ」っていう…(笑)。

※5:「パリ・マッチ」誌の記者から、テレビ界を経て映画界へ。記者時代にはすでに、そのスラリとした長い足とダンディさで、ブリジット・バルドーを虜にしていた男っプリ。



Copyright(C)2008 TSUTAYA online Corporation. All rights reserved.
page2 page3 今回の全リスト page1
next…「腰落ち着けて観るシアワセ」>