タクシードライバー

これを見たマーティンスコセッシの親友の神父は「最後が救いでよかった、君の映画は苦悩が多すぎる」とのこと。人間の暴力を堂々と描くマーティンスコセッシ・・・なかなか。

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ニューヨークの汚い街でタクシー・ドライバーをする主人公（デニーロ）が人生に目的もなく、八方ふさがりで、鬱屈感から、何かをやろうとして、銃を入手して、最終的には、12歳で売春婦をしている少女を救おうとして、その周りにいる悪党たちを射殺して自分も自殺しようとする…。どうしようもない自分も含めて、世の中の汚いものを一掃しようとしたのだろうか…。純粋さを賞賛されたり、不条理ものとか言われるが、果たしてそんなに傑作の映画と言えるのかどうか。見る人が世の中で置かれている状況で、だいぶ評価も違ってくるんでしょうね…。私はあまり好きにはなれません。貧富の差のはげしいアメリカ社会の底辺を実感させられます。

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久々にいい映画に出会ってとても嬉しいです。殆んどロバートデニーロの独り舞台と言っていい程の素晴らしい演技です。緩やかなストーリーの流れと何かを期待させる展開は見事だと思います。

ベトナム戦争帰りのトラヴィスは、不眠症と孤独感に苛まれ、タクシードライバーの職に就きます。深夜の街で目にするのは、娼婦、麻薬の売人、客引き、チンピラといったこの世の不浄の姿ばかり。いつしか、この歪んだ醜い連中を雨のように洗い流してしまいたいと思うようになります。そんなある日、恋心を抱いたベッツィと映画を観に行ったことから、事態は変わって行きます。

トラヴィスが客引きから貰った２０ドル札をもまともに使わなかった姿がとても印象的でした。３０年近くも前の作品ですが、取り巻く環境は今も変わりはありません。誰しもこの世の不浄な歪んだ部分を見過ごしがちですが、正義感を持って正していくことこそ大事なことだと訴えているような気がします。以前読んだSalingerの名作"The Catcher in the Rye"の主人公ホールデンとトラヴィスが何となく重なって見えました。

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まず何よりもキャストの若かりし姿に、思わず目がいってしまう作品ではないでしょうか。デ・ニーロがめちゃくちゃ若く、ジョディ・フォスターもまだ少女です。

ベトナム帰還兵のトラヴィスが何故そんなに世の中に対して苛立ち、人生に焦燥感を覚えているのか・・・ちょっと自分には解りづらかったでしたし、何よりも全編を覆うその重苦しい空気が苦手でした。

下世話な言葉で言えば“引きこもり”と“ストーカー”的な印象を抱かせるトラヴィス。
彼の主張は相当身勝手で、自己愛と偏見と妄想に満ちています。
こういったけだるい雰囲気や、彼の内に秘めた鬱屈したものに共感できなかった私には、向いていなかった作品だと言わざるを得ません・・・。

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３５周年記念のブルーレイには収録されていない、それ以前に発売されていたDVDに収められている特典メイキング映像は主要な出演者が全て揃って発言していてブルーレイに買い換えてもこれは捨てがたく中古屋に売る事が出来ない。ロバート・デ・ニーロ、ジョディ・フォスター、ハーベイ・カイテル、シピル・シェパード、ピーター・ボイル、アルバート・ブルックスまで発言している。(「ディア・ハンター」がまさかのマイケル・チミノとジョン・サベージしかコメントの無い全然観る気が起きないメイキングとは偉い違いだ)　スコセッシ「脚本を読んですぐ”撮りたい”と感じた。万人向けに映画を作る必要性は感じてなかった、だから多くの支持を得られて驚いた。当時同じLAに住んでいた親友のブライアン・デ・パルマがポール・シュレイダーを紹介してくれた。映画評論家から脚本家に転身を計っていたシュレイダーの少し前に書き上げた「タクシー」の脚本をデ・パルマが高く評価していて「君が撮るべき映画だ」と言って私に脚本を渡してくれた」結婚が破綻し住む家も失ったシュレイダーが車中生活を送る中、何週間も誰かと会う事も無く話もしなかったそうだ。シュレイダー「私からしてみればタクシーというのは独り彷徨う男と孤独感のメタファーなんだ。脚本は１０日間で仕上げていった」スコセッシ「当時の私には監督としての実績が無かった。だから「私に監督をやらせてくれ」と売り込んだ。でも製作のジュリア・フィリップスに「実績を作ってから話しましょう」と断られた。しかし、スコセッシがついていたのは丁度「ミーン・ストリート」を撮了編集していた時期で、それをフィリップス夫妻に見せてスコセッシとデ・ニーロのコンビに好感触を得た。加えてこの時、彼が「アリスの恋」の監督が決まっていて、デ・ニーロが「ゴッドファーザーPART�U」でオスカーを獲ったのも大きかった。イタリアで「１９００年」を撮っていたデ・ニーロは週末だけアメリカに戻って来てタクシー免許を取得して本物のタクシーで街を流していたのは有名なエピソードだ。(以前憶えているのが映画好きの客を乗せた時にデ・ニーロに気付いて「オスカーも獲ったのにタクシー運転手までしなきゃならないのか」と勘違いの同情されたエピソードだ)　スコセッシがシェパードのエージェントと知り合いでベッツィー役に「シビル・シェパードのような女優を」とリクエストしてきたので「本人では?」と返したそうだ。シェパード「脚本を読み終えた途端、放り投げたわ。存在意義の無い役なので侮辱されたような気がしたの」しかしデ・ニーロと即興のリハーサルをする内に新たなセリフが加えられて脚本が変ってくる。デ・ニーロ「自由にセリフを言うことで映画の質を向上させることがある。だから正攻法でストーリーを進めるだけじゃなく即興を使った。その結果、トラヴィスとベッツィーのシーンは輝きを増したと思う」フォスター「私は既にスコセッシの「アリスの恋」に出演していてそこでも無軌道な少女を演じたの。だから私の事をよく分っていたのね。「娼婦の役だ」と聞いた母は「監督はイカれてる」と」アイリス役のモデルは実際に麻薬中毒の15歳位で娼婦をしていて劇中、トラヴィスが危うくタクシーでアイリスを轢きそうになるシーンで彼女の手を引っ張っていく同僚の少女が彼女なんだそうだ。トラヴィスとアイリスのファミレス朝食のシーンは何十回もリハーサルをして、その単調さに彼女が飽きていたら最後の方になってからデ・ニーロが即興の演技を仕掛けてきたそうだ。これでシーンの印象ががらっと変ったという。それがデ・ニーロのやり方だった。カイテル「(選挙事務所の)トム役を打診されたが脚本を読んで(ポン引きの)スポーツ役に変えてもらった。しかし当初はセリフが５行しかなかった。それで自分にはアイディアがあったので役を膨らませて貰った」ボイル「忠告など聞かない人間に忠告を与える役だと言われた。(作品中、彼等ドライバーが休憩する溜まり場のレストランは実際そうなんだそうで) 狂気の一歩手前のトラヴィスとの会話は配車係の話からヒントを得て私が考えたセリフだった。監督がそれを気に入ったので脚本に取り入れられた」フォスター「７０年代は他の時代と違っていて映画の黄金時代でもあったわ。その７０年代を代表するのが、この作品よ」シュレイダーによれば彼の事務所に若い男が突然押しかけてきて「何でオレの事が分った?」と絡んできたり数年後、レーガンを狙撃した犯人がこの作品の大ファンだったり、当時この作品が与える影響力は凄まじかった。スコセッシ「主人公の感情が心の底から理解出来たし私がこの脚本を読んだのは３１歳か３２歳でトラヴィスと似た感情を抱いていて、それを表現したいと思った、そしてデ・ニーロも同じように感じていたんだと思う」