国際市場で逢いましょう

釜山の国際市場を主舞台に、激動の時代を家族のために生きたひとりの男の生涯をつむいだ大河ドラマ。
朝鮮戦争で父と末の妹と離れ離れになったドクス(ファン・ジョンミン）は、母と残された2人の妹と共に釜山の国際市場で叔母が経営する露天「コップンの店」に身を寄せます。父親代わりとして一家を支えるため西ドイツへ出稼ぎにいき、ベトナム戦争への出兵では生死の瀬戸際に立たされるなど過酷な人生を歩み、それでも家族への愛情と笑顔を絶やさず、時代の荒波を生き抜いていきます。

冒頭から朝鮮戦争で生き別れになる映像とその迫力が凄いです。それから始まる話が、涙なしでは見れない激動の人生の物語。
弟を大学に進学させ、妹の結婚式を挙げさせるために自分の夢を犠牲にし、泥まみれになりながら生きる家長の責任に対する美学は感じ入りました。
自分のことより家族の幸せを優先する価値観は、今の韓国の繁栄の礎を築いた世代の話なのかもしれません。
苦労を忘れてはいけないという思いが伝わって来ます。
愛する家族のために愚直に前を向く主人公の姿に心揺さぶられました。

ドクスが叔母さんの店を買い取って頑なに守ってきた訳は、なるほどそういう訳だったのか？と後になって分かります。
店の名前を変えない理由に涙です。
大河ドラマでありながら、コメディあり、ドラマチックな部分もありと脚本のバランスは絶妙でした。

生き別れ、そして家族愛、いかにも韓国映画らしい造りの佳作であった。

それより私は何故もっと早くファン・ジョンミンの魅力に気がつかなかったのか。
さかのぼれば2009年、「アクシデントカップル」というドラマで彼に出会っている。さえない郵便局員が、はからずもトップスターの夫のふりをするはめになるが、そのうち彼の懐の深さにヒロインが惹かれてゆくというドラマだった。
同時に、検索サイトにひっかかってくる彼のインタビューやプロフィールなどにも接することになるのだが、一番感激したのは彼の歌が抜群にうまいことだった気がする。その時、すでにファン・ジョンミンの人間としての幅は感じていたのは確かだ。
それから14年、早く40代になりたかったという彼は53歳となり、年をとるほど円熟味を増し、コンスタントにアクションドラマやヒューマンドラマで活躍中。

この映画では生き別れた父親のいいつけを守って家長としての役割を果たすべく奮闘する姿が涙を誘う。
弟が、韓国の最高学府ソウル大学に受かり、その学費を稼ぐ為にドイツの炭鉱に働きに行き九死に一生を得て帰国する。
そのあとは妹の結婚式の費用を稼ごうと戦時下のベトナムに稼ぎに行き、またまた死ぬ寸前の体験をする。
そして彼が家長としての役割を果たしたご褒美のように、生き別れた妹と再会するシーンは、日本人にも覚えがある中国残留孤児の再会を思い出して涙が止まらない。
韓国映画らしい、いい映画だ。お勧めする。

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笑えて泣けて感動する、朝鮮戦争時から現代までの激動の時代を生き抜いたひとりの男、ドクスとその家族を描いた大河ドラマ。

ファン・ジョンミン演じるドクスの、無骨だけれど底抜けに優しい男の魅力がいっぱいに溢れている。重い話なのにけっして暗くならず、ところどころに笑いを散りばめられてるところが素晴らしい。

「辛い時代に生まれて苦しみを味わったのが、子供たちじゃなく僕たちで本当によかった。あの悲惨な朝鮮戦争を僕らの子が経験したら.......　この苦痛を味わったのが子供たちじゃなくて僕たちで本当によかったと思う」
ドクスが、また別の地獄、ベトナムの戦場から妻に送った手紙の内容に号泣(T_T)........

韓国、北朝鮮の壮絶な近代史を思うと、胸が痛む。
同時に、日本も壮絶な敗戦の後に平和な現代があるんだということを、改めて思い返させられた。

万人にお薦めしたい傑作です。

先日見た『人質』で、犯人一味の一人がファン・ジョンミンの大ファンで
この映画のことを話していたので
ああ、そういえば見てないや、と思いチョイス。
前知識はまったく無かったので、タイトルから楽しいコメディ映画を想像していた私(;^_^A
とんでもなかったです。
朝鮮戦争、ベトナム戦争という激動の時代を生き抜いた男とその家族の話でした。
年を取ったドクス（ファン・ジョンミン）が自分の人生を回想していく形で
物語は進められます。

北朝鮮から釜山に逃れてきたドクス一家は、父と妹は混乱で行方知れずとなり
ドクスは父から『おまえが家長』だ、と言われたそのいいつけを最後まで守り通すのです。
父の妹である叔母から受け継いだ『コップンの店』を
頑固にも手放さない理由がまた泣けます。
死にもの狂いで働いてきたドクス。
夢は船長になることだったのに、家族を支えるために進学も諦め
ドイツの炭鉱に出稼ぎに行ったり
高額賃金を得るために、戦時下にあるベトナムへ運搬の仕事へ行き
命からがらの体験をしたりと
家族には想像もつかない壮絶な体験をしているドクスです。
そのドクスの傍らにいつも親友のダルグがいてくれたことは、彼の支えでしたね。
最後は涙、涙で泣かされました。

韓国の人は、同じ民族が北と南に分断されるという悲劇を経験しているので
愛国心が強いのでしょう。
そして、いまだに休戦であって、終戦ではないのだということに
改めて思いを馳せた次第です。

４０代の韓国人の先生が、「懐かしくて泣けた」と強く推薦してくれたので、拝見しました。

こんなに大きな苦労をなさってきた方が、たくさんいるのかと思うと畏敬の念を抱かざるを得ません。そして、私たち、日本人の祖先も、全く同じではないにしても、同じくらいの苦労をして戦後を乗り越えてきたのかと思うと、強い感謝の念を抱きます。

私は、脚本に興味があるので、脚本について感想を書きますと、非常によくまとまっていて、かつ流れがあり、素晴らしかったです。大変勉強になりました。大きく分けて３つくらいのエピソードが、非常にテンポよく語られているところも勉強になりました。

いつか、こんな脚本が書けるようになりたいなと素直にそう思いました。