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キューブリック作品では、『2001年宇宙の旅』も選ばれてますが…。 |
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佐野 |
人生の中で、『2001年宇宙の旅』は大きいですね。
リアルタイムで観ているので、その衝撃はかなりのものでしたよ。
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』とか好きだったんで、そういったものと重なって、宇宙観みたいなものを視覚的に得られたのが大きかったんじゃないかな。 |
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当時、おいくつぐらいだったんですか? |
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佐野 |
13歳ですね。クラス全員で故郷松江の映画館へ観に行って、「モノリスって何なんだろう?」※5 って論議しましたね(笑)。
国語の教師がこの映画を題材にして授業をやったんですから。
良い先生が居たんですよ。忘れられないですね、ああいうのは。 |
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映画は中学生の時から頻繁に観られてたんですか? |
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佐野 |
中学時代がいちばん観てたんじゃないかな。67〜69年、ニューシネマ※6 の頃ですよね。毎週観てました。
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中学時代ですよね? お小遣いをはたいて観てたわけですか? |
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佐野 |
そうですね。当時150円とかですよ。ラーメンが1杯60円ぐらいの時代。でも、田舎だから他に何もなかったし、映画はいちばんの娯楽ですからね。とにかく、みんな映画はよく観てましたね。 |
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同じ「SF」とはいえ、『2001年宇宙の旅』の対極にあると言って良さそうな『エイリアン <THX版>』を選ばれるあたり、何かありますね? |
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佐野 |
H・Rw」ギーガーの美術も素晴らしいし、個人的には、お腹ブチ破って出て来る“フェイスハガー”※7 が最高だと思うんだよね。
ウィリアム・ハートが、「腹減った」って言って、モノ喰い始めるシーンも印象的。でも『エイリアン』は1作目だけですね(笑)。
やっぱりSFモノが好きなんですよ僕は。 |
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続いて、SFの流れで、『ディレクターズカット/ブレードランナー 最終版』。
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佐野 |
これはハマりましたねぇ。
まだ劇団にいる頃でしたけど、仲間と一緒に映画館に1週間通ったなぁ…稽古が終わると毎日。もう、中毒になっちゃって、「誰がいちばん詳しいか」って“カルトQ”状態でしたね(笑)。
これは“最終版”ですけど、公開当時のバージョンではラストで『未来世紀ブラジル』の映像を使いまわしてるシーンがあったんですよ。あのシーンが観られないのはちょっと寂しいですね。あれを勝手に使われて、監督が怒ったみたいだけど(笑)。
ロイがタイレル社の社長の目を潰すシーンもあったんだけど、残虐すぎるってことで“最終版”ではカットされちゃいましたね。
…まぁ、それぐらい細かく観てたってこと(笑)。 |