DISCAS オンラインDVDレンタル 過去のインタビュー一覧
■DISCAS INTERVIEW■ あの人は、どんな映画を選ぶんだろう。 | 第2回
佐野史郎さん(俳優)「冬彦ボックスも欲しいですよね。」
佐野史郎さん

すべてはロックンロールから!


  ―― ご自身でロックバンド※1 を組んでらっしゃるだけあって、やはり、『ウッドストック/愛と平和と音楽の3日間』『ハード・デイズ・ナイト』と、ロック映画が入ってきますね。
 
佐野

『ウッドストック』は、あれだけのミュージシャンを一度に見られるのは素晴らしいですね。特に好きなのはやっぱりジミ・ヘン! あと、ここでは、ザ・フーとかクロスビー,スティルス&ナッシュがカッコよかったな。※2 ドキュメンタリーとしても、すごく優れてて。
 
――

佐野さんの音楽の目覚めってのは早かったんですか?
 
佐野

小学校の4、5年生でしたか…。ご多聞にもれずビートルズからですけどね。 最初に買ったのシングル『ヘルプ!』で、アルバムだと『ラバー・ソウル』『リボルバー』ぐらいからかな。60年代半ばだからリアルタイムですよね。(映画作品の)『ハード・デイズ・ナイト』を観たのは、その後。

ビートルズものだと他に、スピルバーグが原案の『抱きしめたい』っていう、熱烈ファンの女の子たちが主役のB級映画があったんですよ。ビートルズ本人は出ないんだけど、足だけちょっと映ったりして、あれはおもしろかったね。
やっと“エド・サリバン・ショー”のチケットを手に入れてビートルズを目の前にするんだけど、興奮して気を失って、一切見てないっていうオチが秀逸だったな(笑)。DVDになっていないですよね? あれ観たいですね…おすすめですよ(笑)。
 
――

映画音楽で言うと、キューブリック監督『バリー・リンドン』も良いとか…。
 
佐野

サントラを聴いたのが先だったね。今でもしょっちゅう聞いてますよ。
もちろん音楽以外の部分も…衣装も美術もすごく綺麗だし。それにしてもキューブリック作品っていうのはいったい何なんだろうねぇ…(笑)。言葉でうまく言えないのがはがゆいけれど、非常に惹かれますよね。
 
――

やはり映画を観てても音楽は意識されますか?
 
佐野

ものすごい好きですね! 昔から好きだけど、それは多分、60年代は、エンニオ・モリコーネやフランシス・レイ※3 とかがヒットチャートに入ってて、映画サントラ=ヒット曲だった時代なんですよ。そういう意味でサントラっていうのは、マニアなものじゃなくて、普通にヒット曲として聞いてましたね。

音楽と映画の関係は密接だと思うんです。自分で映画を監督しても※4、音楽をどう使うかってことにいちばん神経を使いますからね。
画のことは当然なんだけど、音の入れ方はそうとう神経使ってるんじゃないかなぁ。
佐野史郎本人によるコメントつき出演作品

※1:「タイムスリップ」を経て、現在「佐野史郎とライスカレー」で活動中。異色なところではソロで『ゲゲゲの鬼太郎』の挿入歌も唄っている。
※2:時代を代表するロックw」ミュージシャンたち。その影響を受けた日本のミュージシャンは数知れず。
※3:映画音楽の大家。NHK大河ドラマも手掛けるモリコーネは『ニュー・シネマ・パラダイス』、レイは“ダバ・ダバ・ダ〜”の『男と女』が代表作。
※4:同窓会に集まる大人たちを描いた『カラオケ』(99年)で初監督。60年代の歌謡曲をバックに、野口五郎も大熱唱!佐野さんは年の離れたアイドルと結婚する男という、おいしい役で出演もしている。


さの+ふゆひこ=イニシャルSF

  ―― キューブリック作品では、『2001年宇宙の旅』も選ばれてますが…。
 
佐野

人生の中で、『2001年宇宙の旅』は大きいですね。
リアルタイムで観ているので、その衝撃はかなりのものでしたよ。
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』とか好きだったんで、そういったものと重なって、宇宙観みたいなものを視覚的に得られたのが大きかったんじゃないかな。
 
――

当時、おいくつぐらいだったんですか?
 
佐野

13歳ですね。クラス全員で故郷松江の映画館へ観に行って、「モノリスって何なんだろう?」※5 って論議しましたね(笑)。
国語の教師がこの映画を題材にして授業をやったんですから。
良い先生が居たんですよ。忘れられないですね、ああいうのは。
 
――

映画は中学生の時から頻繁に観られてたんですか?
 
佐野

中学時代がいちばん観てたんじゃないかな。67〜69年、ニューシネマ※6 の頃ですよね。毎週観てました。
 
――

中学時代ですよね? お小遣いをはたいて観てたわけですか?
 
佐野

そうですね。当時150円とかですよ。ラーメンが1杯60円ぐらいの時代。でも、田舎だから他に何もなかったし、映画はいちばんの娯楽ですからね。とにかく、みんな映画はよく観てましたね。
 
――

同じ「SF」とはいえ、『2001年宇宙の旅』の対極にあると言って良さそうな『エイリアン <THX版>』を選ばれるあたり、何かありますね?
 
佐野

H・Rw」ギーガーの美術も素晴らしいし、個人的には、お腹ブチ破って出て来る“フェイスハガー”※7 が最高だと思うんだよね。
ウィリアム・ハートが、「腹減った」って言って、モノ喰い始めるシーンも印象的。でも『エイリアン』は1作目だけですね(笑)。
やっぱりSFモノが好きなんですよ僕は。
 
――

続いて、SFの流れで、『ディレクターズカット/ブレードランナー 最終版』
 
佐野

これはハマりましたねぇ。
まだ劇団にいる頃でしたけど、仲間と一緒に映画館に1週間通ったなぁ…稽古が終わると毎日。もう、中毒になっちゃって、「誰がいちばん詳しいか」って“カルトQ”状態でしたね(笑)。
これは“最終版”ですけど、公開当時のバージョンではラストで『未来世紀ブラジル』の映像を使いまわしてるシーンがあったんですよ。あのシーンが観られないのはちょっと寂しいですね。あれを勝手に使われて、監督が怒ったみたいだけど(笑)。
ロイがタイレル社の社長の目を潰すシーンもあったんだけど、残虐すぎるってことで“最終版”ではカットされちゃいましたね。
…まぁ、それぐらい細かく観てたってこと(笑)。
※5:作品中に現れる謎の黒い板。この解釈をめぐって、世界中の映画マニアの間では日夜論議が絶えない。
※6:ハリウッド大作主義の時代に、低予算・無名俳優・斬新な映像表現などで既成の映画界に立ち向かった作品をアメリカン・ニューシネマと呼ぶ。『俺たちに明日はない』『イージー・ライダー』などが代表作。
※7:卵から産まれるエイリアンの幼生。他の生物の顔に貼り付く姿は不気味。



Copyright(C)2008 TSUTAYA online Corporation. All rights reserved.
next… 「俳優の原点と、ボブ・サップの共通点」> page2 page3 今回の全リスト page1