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引き続き、DISCASでレンタル中の、佐野さんご出演の作品もいくつか紹介して頂きたいと思います。
『夢みるように眠りたい』は映画デビュー作ですが、やはり思い入れは強いですか? |
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佐野 |
そうですね。やっぱりコレなくしては、何も始まりませんからね。
僕自身、舞台の事や、いろんな事で行き詰まってる時で、
小津安二郎監督や成瀬巳喜男監督の作品を見まくって、古い日本の映画はやっぱり良いなあ、こういうことが出来ればなあ、と思ってた時に、この作品に出会ったんですよ。
不思議なことを信じない僕でも、「映画の神様っているんじゃないかな」、なんてロマンチックなことを言いたくなる1作ですよね(笑)。
題材もそうですし、映画の“ラストシーン”を探すという物語も、林海象監督と僕の共通の好みだったしね。
今観てもよく出来てるし、お互いなかなか、あれを超える仕事が出来ないなって(笑)。 |
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林海象監督は、映画の撮り方をご存知なかったとか? |
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佐野 |
全然知らなかったですね(笑)。
黒澤映画50回観て、カット割り覚えたって言ってた。天才かもしれない。それに、レンズに何ミリがあるとか知らない人でしたからね(笑)。
おまけに、俺が役者だってことも知らなかった(笑)。 |
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この作品の見どころというと?
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佐野 |
そうですねぇ…。ドラマとしての価値ももちろんあるけど、小津監督の昭和初期の作品にもあるように、今では見られない風景とか、都市のドキュメンタリーとしても良いよね。
公開中に取り壊された“仁丹塔”とか、九段にあった探偵事務所の外観の蜂谷ビルとか、今はない場所だらけなんですよね。そういう風景を見るだけでも価値はあるかな。 |
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変わったお父さんが印象的な『毎日が夏休み』も佐野さんの代表作ですね。
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佐野 |
これメーカーさんがDVDを送ってくれないんだよね(笑)。
(スタッフに耳打ちされて)え? 映像特典にメイキングが入ってるの? 観たいなあ(笑)。
まぁこれは楽しかったですね。漫画原作の大島弓子さんはすごく好きだし、金子修介監督とも打ち合わせの時から、お互いゴジラファンということで盛り上がって。
その前の年は、石井輝男監督、つげ義春さん原作の『ゲンセンカン主人』もやってたから、漫画原作の作品が続いて、僕自身とても充実していた時期じゃないですかね。なかなかお顔が拝見できないという伝説の大島さんにも会わせてもらえたし。 |
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それは貴重な体験ですね! どんな方だったんですか?
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佐野 |
ヘへへへ…ナイショ(笑)。
まぁ、ご自分で漫画に描かれているとおりの方ですよ。
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