DISCAS オンラインDVDレンタル 過去のインタビュー一覧
■DISCAS INTERVIEW■
佐野史郎が選んだ10枚の「異世界への招待状」
「冬彦ボックスも欲しいですよね。」
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映画には神様だって妖怪だっている

  ―― 引き続き、DISCASでレンタル中の、佐野さんご出演の作品もいくつか紹介して頂きたいと思います。
『夢みるように眠りたい』は映画デビュー作ですが、やはり思い入れは強いですか?
 
佐野

そうですね。やっぱりコレなくしては、何も始まりませんからね。
僕自身、舞台の事や、いろんな事で行き詰まってる時で、
小津安二郎監督や成瀬巳喜男監督の作品を見まくって、古い日本の映画はやっぱり良いなあ、こういうことが出来ればなあ、と思ってた時に、この作品に出会ったんですよ。
不思議なことを信じない僕でも、「映画の神様っているんじゃないかな」、なんてロマンチックなことを言いたくなる1作ですよね(笑)。
題材もそうですし、映画の“ラストシーン”を探すという物語も、林海象監督と僕の共通の好みだったしね。
今観てもよく出来てるし、お互いなかなか、あれを超える仕事が出来ないなって(笑)。
 
――

林海象監督は、映画の撮り方をご存知なかったとか?
 
佐野

全然知らなかったですね(笑)。
黒澤映画50回観て、カット割り覚えたって言ってた。天才かもしれない。それに、レンズに何ミリがあるとか知らない人でしたからね(笑)。
おまけに、俺が役者だってことも知らなかった(笑)。
 
――

この作品の見どころというと?
 
佐野

そうですねぇ…。ドラマとしての価値ももちろんあるけど、小津監督の昭和初期の作品にもあるように、今では見られない風景とか、都市のドキュメンタリーとしても良いよね。
公開中に取り壊された“仁丹塔”とか、九段にあった探偵事務所の外観の蜂谷ビルとか、今はない場所だらけなんですよね。そういう風景を見るだけでも価値はあるかな。
 
――

変わったお父さんが印象的な『毎日が夏休み』も佐野さんの代表作ですね。
 
佐野

これメーカーさんがDVDを送ってくれないんだよね(笑)。
(スタッフに耳打ちされて)え? 映像特典にメイキングが入ってるの? 観たいなあ(笑)。
まぁこれは楽しかったですね。漫画原作の大島弓子さんはすごく好きだし、金子修介監督とも打ち合わせの時から、お互いゴジラファンということで盛り上がって。
その前の年は、石井輝男監督、つげ義春さん原作の『ゲンセンカン主人』もやってたから、漫画原作の作品が続いて、僕自身とても充実していた時期じゃないですかね。なかなかお顔が拝見できないという伝説の大島さんにも会わせてもらえたし。
 
――

それは貴重な体験ですね! どんな方だったんですか?
 
佐野

ヘへへへ…ナイショ(笑)。
まぁ、ご自分で漫画に描かれているとおりの方ですよ。

マニアとして、冬彦ボックスは欲しい

  ―― 『京極夏彦 怪』シリーズは、まさに佐野さんのお好きなジャンルですよね?
 
佐野

“関東水木会”※13 総出演ですね。こういうものが出来ればと昔から思っていたし、百介って役もすごく気に入ってる。技術陣や撮影照明部も素晴らしくて、田辺誠一くんはじめ、俳優さんも心地良い人ばかりだったしね。
 
――

京極さんは、「佐野さんが饅頭をほおばりながらホゴホゴ喋るところが見どころだ」っておっしゃってましたけど。
 
佐野

なぜか喰わせんだよね(笑)。必ず登場シーンで饅頭ほおばってるっていう(笑)。
怪談モノは、最近自分でも短編を撮ったし※14『夢みるように眠りたい』から始まって、映像怪奇の世界ではいつも生き生きしてるのは間違いないよね(笑)。
 
――

佐野さん主演のテレビドラマ『インスマスを覆う影』※15 も子供心に怖かったです…。トラウマになっちゃいました。
 
佐野

あぁ?、あれをDVDにするのが夢ですね(笑)。
それと『乱歩?妖しき女たち?』※16 ね。この2本はDVD化しないとダメですよ。
“冬彦ボックス” ※17 とかも欲しいところですよね(笑)。マニアとしては(笑)。麻利夫の『誰にも言えない』も総集編ビデオしかないんで、ぜひお願いしたい!








※13:漫画家水木しげるの研究サークル。佐野さんはご家族を連れて水木氏の家に遊びに行くほどのファン。今作品には京極夏彦はじめ、宮部みゆき、大沢在昌など小説家も多数出演。
※14:BS-iで放映された『怪談新耳袋』で佐野さんは「カセットテープ」という5分の短編を大森南朗主演で監督。脚本や音楽も手掛けています。劇場公開やDVD化の予定もあり。
※15:ラブクラフトの怪奇原作を、プロットそのままに舞台を日本の漁村に移した不気味な傑作。92年にTBS「ギミアブレイク」で放映され、後にビデオ化された。
※16:江戸川乱歩の作品をオムニバス形式に映像化した94年のテレビドラマ。佐野さんは各話の主役を演じている。共演に常盤貴子、川島なお美など。
※17:言わずもがな、“佐野史郎”の名をお茶の間に轟かせたドラマ『ずっとあなたが好きだった』。佐野さんが怪演した「マザコン男・冬彦さん」は、その年の流行語大賞にも選ばれた。DVD化が望まれて久しい。翌年の『誰にも言えない』でもストーカーじみた男・麻利夫を演じて話題に。

たくさんの作品について語ってくださった佐野さん。
最後に、DISCASの「オンラインDVDレンタル」のサービスに関して伺ったところ…。
「お色気モノのラインナップは、殿方にはありがたいんじゃないですか(笑)」…と締めてくれました。



PROFILE
さの・しろう
1955年、山梨市に生まれ、6歳までを東京の練馬で過ごす。その後、少年時代は島根県松江市で江戸川乱歩やビートルズに熱中する。
20歳の時に劇団『シェークスピアシアター』の創立メンバーに加わり、唐十郎主宰の劇団状況劇場を経て役者として活躍する傍ら、奥様の石川真希さんや二十歳の頃からの友人、嶋田久作さんとロックバンド「タイムスリップ」を結成。現在のバンド「佐野史郎とライスカレー」に至るまで音楽活動を休みなく続けている。
テレビドラマ『ずっとあなたが好きだった』の冬彦さん役でその名が一挙に広まってからは、テレビ・映画には欠かせない顔となる。
ホームページ「橘井堂」ではその多彩な才能が垣間見れます。現在、鉛筆画を寄せた「NHKハート展」が国内各地で巡業中。

佐野史郎オフィシャルHP「橘井堂」
http://www.kisseido.co.jp/



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