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■DISCAS INTERVIEW■
蛭子能収が選ぶ「取り残された」10枚 
「観終わった瞬間に忘れるんですよォ(笑)」
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ギャンブルと聞くと無条件に…
 
――

次は、奥様と一緒に観たという『ベガス・バケーション』ですが、
奥様も映画はお好きだったんですか?
 
蛭子

好きでしたね。
 
――

映画館に行く時はおふたりで?
 
蛭子

はい、よく行ってました。これは、大阪で時間つぶしに観た映画ですけど、女房も「結構おもしろかったね〜」って言ってましたね。俺も、カジノが大好きなもんですから、意外とおもしろかったんですよ。
親子4人がラスベガスにバケーションに来るんですけど、とにかく、お父さんがギャンブル好きで、俺によく似てるんです(笑)。
朝食を食べてても、カジノが気になって、「ちょっと待ってて、今お金増やしてくるから」って、カジノへ行って、チョロっとやっては負けてくるの(笑)。そういうのがすごくおかしくて。「アハハ」って笑えて、気楽に観られる映画ですね。カジノ映画は無条件に好きだから、『ラウンダーズ』も選ぼうかと思ったけど、ストーリー忘れたからやめた(笑)。
 
――

『麻雀放浪記』も、やはりギャンブルってことで?
 
蛭子

これね、実は観たことないんです(笑)。阿佐田哲也の原作は大好きなんだけどね。とにかく、麻雀を題材にした映画ということで選んでみました(笑)。
 
――

麻雀もよくされますよね?
 
蛭子

やりますよ。今はあんまりやりませんけど。また大変なことになっちゃうんで(笑)。
主役は真田広之さんですけど、顔がちょっと綺麗すぎるのは気になりますね(笑)。ゴツイ顔の方が良かったかも。草剛くんとか…。
 
――

ちなみに蛭子さんの好きな俳優さんは?
 
蛭子

加藤晴彦くん好きですね。黒沢清監督の『回路』を観た時、なんかホッとした(笑)。ああいう恐いホラー映画でさ、加藤晴彦くんだけノホホンとしてたんで。
あっ、武田真治くんも大好き! 武田くんを好きになったのは大島渚の『御法度』! あの時の沖田総司を演じた武田真治くんすごく良かったもん! 上手だったよね。いやホントに、武田くんは良い俳優だと思いましたよ。真田広之に代わって、武田真治くんいいかもね(笑)。
俺が『麻雀放浪記』を撮るなら、武田くんにやってもらいたいな。でも、顔はやっぱり綺麗すぎるか(笑)。
 
――

これは、イラストレーターの和田誠さん※5 の監督作品ですね。
 
蛭子

同業者として、あんなにたくさん映画を撮れるってうらやましいなぁ。と言いつつ、『ルビィに首ったけ』も観てないんですよ。
 
――

『怪盗ルビィ』ですね(笑)。『メリーに首ったけ』が混ざってます。
 
蛭子

ああそうか…勘違いしてた(笑)。

※5:和田誠
1936年生まれ。『週刊文春』の表紙でもおなじみのイラストレーター。84年、映画『麻雀放浪記』で初メガホンを取り、報知映画賞新人賞その他を受賞。現在まで『怪盗ルビイ』『真夜中まで』など数本を監督。映画に関する著書も多い。


合言葉は「諌山へ行こう!」
 
――

蛭子さんもセルDVD『諌山節考』で監督デビューされたわけですが、念願の監督体験はいかがでした?
 
蛭子

俺、ホントは映画館でかかる映画で出発したかったよ〜、…って言ったら関係者に悪いよね(笑)。
でもね、自分では、こんなにうまく完成まで運べるとは思ってなかったんですよ。出演者やカメラマンたちが、自分の言った通りにうまく動いてくれるか、すごく心配だったんです。
そしたらね、もう監督っていう名前が付くと、その人がどんなチャラチャラした人であれ、みんな「監督!監督!」って、一応持ち上げてくれるんですよ。それには、ちょっと関心しましたね。あっ、これだったら出来るなと確信して(笑)。
 
――

この映画を撮るいきさつは何だったんですか?
 
蛭子

諌山実生さんっていう歌手を宣伝する意味も兼ねた映画だったんで、彼女の曲を使って20分くらいの短編を作って下さいと頼まれたんだよね。最初はサービスして、4曲ぐらい入れようと思ったんですよ(笑)。俺もスポンサーから言われると、ついついサービスしちゃうタチなんで(笑)。
結局、使ったのは2曲だけになっちゃったんですけど、俺は、「歌は1曲丸まる歌いきってナンボ」って思ってて、歌を使うなら、最初から最後まで流すって決めてたんです。
それで、エンディング曲聴いてみたら5分ぐらいあったんですよ(笑)。
ちょっと5分は長いと思ったけど、そのまま使いましたね。
 
――

こだわりですね。
 
蛭子

途中でハショるの好きじゃないんです。
映画の中で、チンチロリンのシーンがあって、そこは少し長いんですけど、とにかく清算までちゃんと見せたかったんです。
ギャンブルの好きな人が観ても、いい加減だなって思わないように。
だから、ひと勝負終わるまでノーカットで見せたんですよ。そしたら、案の定、みんな「長い!」って(笑)
 
――

クライマックスの殴り合いシーンの珍妙なこと!
 
蛭子

いや、俺としてはね、とにかく残酷にしたかったんですよ。ボコボコに殴り合って、顔中血だらけにしたかったんです。
それと同時に、カメラの位置を変えたくなかったんですよ。
実際にパンチが命中しているかのように見せるカメラ位置ってあるんですけど、それをしちゃうと全然おもしろくないと思ってたんで。
殴りあう2人を真横からしか見せたくなかったんです。
その方が、迫力もあって、芸術っぽくも見えると思って(笑)。 
 
――

結果、どう見ても命中していないのに、血だけがドクドク噴き出すという映画史に残るバイオレンスシーンになった訳ですね。
 
蛭子

効果音をつければ、殴り合いしてるのは理解してくれるだろうって(笑)。
でも、さっきの『てなもんやコネクション』の山本政志監督の話じゃないですけど、「細かいことにこだわるのはやめよう」って、撮影前に全スタッフに言ったんですよ。
俺、自分自身で映画観た時に、そんな“つながり”とか気にしたことないのね。映画っていうのは、ストーリー、演技、構図、セリフが良ければいいんですよ。
細かいいところにこだわって、時間を無駄に使うのはイヤなんですよ。それよりも気分良く、早く終わった方がいいじゃん(笑)。
 
――

芸能界での反応はいかがですか?
 
蛭子

佐野史郎さん(前回のDISCASインタビューに登場)は「面白い」って言ってくれました。他は聞いてないんですけど(笑)。
 
――

『虎の門』でご一緒の井筒和幸監督6 の反応は?
 
蛭子

井筒監督にも(DVDを)あげたんだけど、多分観てないと思う。何も言ってこないもん(笑)。
『虎の門』の出演者みんなにあげたんですよ。なのに誰も感想言わないんです。多分、観てないですよ。ショックです。
俺の方から、「観ましたか?」って聞くのも悪いしさ…。もしかしたら、面白くなかったから言わないのかもしれないし(笑)。
 
――

けれど「諌山へ行こう!」ってフレーズ7 はきっと流行りますよ。
 
蛭子

あっ!そのフレーズ!! 『ケイゾク』を撮った堤幸彦監督8 が、「諌山へ行こう!」って言ってたって、うちの息子から聞いたんですよ。嬉しいですよ。この映画のテーマは“取り残された人”なのに、監督の俺が取り残されちゃーね。
…いやあ、でも映画の話ってやっぱりおもしろいね。…って、あんまり覚えてなかったけど(笑)。






諫山節考
監督・脚本:蛭子能収
音楽:諫山実生
出演:ベンガル、伊佐山ひろ子、
     神戸浩 他
発売:東芝EMI TOBE-9503
1,800円(税込)
公式サイト:http://www.isayamabushiko.jp/

※DISCASでのお取り扱いはございません。



※6:井筒和幸
1981年に『ガキ帝国』で日本映画監督協会新人奨励賞を受賞。その他『岸和田少年愚連隊』『のど自慢』などを意欲的に発表。今ではそのパワフルなキャラクターと毒舌がお茶の間に受け、ワイドショー番組のご意見番までをも務める。
※7:「諌山へ行こう!」
家族や同僚、この世の中の自分以外の全ての人間が「諌山へ行く」という謎のフレーズをつぶやき、山へと向かいはじめる。そのとき、主人公の男は…!?という奇怪な物語。
※8:堤幸彦
テレビドラマ『金田一少年の事件簿』『池袋ウエストゲートパーク』『トリック』などの話題作を連発し、若者の間でカルト的な人気を誇る映像作家。映画監督作に『溺れる魚』『 Jam Filmes 』『恋愛寫眞』など。

照れ臭そうに(しかし、ギャンブルと殺戮の話では一気にボルテージを上げて)語ってくださった蛭子さん。好きな映画の内容を覚えてない(笑)忘れっぽい蛭子さんも、延滞期限を気にせず何度も観られるDISCASなら安心ですね!
監督としての次回作、期待してます。

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PROFILE
えびす・よしかず
1947年10月21日、長崎市出身。雑誌「ガロ」にて漫画家としてデビュー後、俳優の柄本明に声をかけられ、1986年の劇団東京乾電池公演「台所の灯」に出演する。その後も公演に参加し、徐々にテレビ・映画・バラエティと活動の場を広げて現在に至る。昨年は、奥様との思い出を綴ったエッセイ『ヘタウマな愛』(KKベストセラーズ)を出版し話題に。テレビ朝日w?ユの門w。での映画採点コーナー“ビデオでも見ましょうか?”でその映画通ぶりをお茶の間に知らしめたが、月に4、5回は映画館に通うという。生涯NO.1作品は『遊星からの物体X』(監督/ジョンw」カーペンター)。

2003年は映画監督にも初挑戦。『諌山節考』がDVD発売中(東芝EMI)。出演映画『地獄甲子園』が今夏公開予定。



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