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■DISCAS INTERVIEW■

緒川たまきが選ぶ「女性にお勧め」の10枚
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映画を観ながら音楽も楽しめるなんて。
 
――

デヴィッド・リンチ※7 の代表作『ブルー・ベルベット』もカルトな人気がありますね。
 
緒川

大定番ですね。
キャストといい音楽といい、非の打ちどころのない完成度の高すぎる作品で、選ぶのも照れくさいくらいに素晴らしいです(笑)。オカマの男の人が歌う「お菓子のピエロ」のシーンがとても好きで、あのミュージカル的なシーンがこの映画を金星にしていると思うんです。・・・まあ、口パクですけどね(笑)。あんなのいいなあ。
 
――

緒川さんにも、映画の中で歌ってみたいという思いはありますか?
 
緒川

いや、あれくらい面白いのでないとイヤかなあ(笑)。口ずさんでいるとかそういうのではなくて、派手にショーアップされているほうが楽しくていいなあと思います。
 
――

『シカゴ』みたいな感じですか?
 
緒川

『シカゴ』なんて『ブルー・ベルベット』の足元にも及ばないくらいです(笑)。
 
――

デヴィッド・リンチはお好きな映画監督ですか?
 
緒川

好きですね、コレ。(と、頭をトンガらせるジェスチャーをされる)
 
――

えーと、何でしょうか?(笑)
 
緒川

『イレイザーヘッド』※8 です。これもノイズのような音響が好きなんです。
 
――

次もアメリカを代表する監督ウディ・アレン※9 の映画ですね。
 
緒川

この『ギター弾きの恋』は、サントラ※10 を愛聴していたので選びました。あと、伝説のギタリストを演じた、主演のショーン・ペンを賛美する意味でも選びました。今回の10枚の中では一番相手を選ばず、だれにでも勧められる、いつ観ても楽しめる作品ですね。よくできた映画です。
 
――

お話を伺っていると、音楽から入っていかれる場合が多いですね。
 
緒川

印象的な曲であるとか、音楽が使われているシーンがあると、観た後で、心の中のかなりいい場所にしまわれるといいますか。(と、ハートの部分を指さす)
 
――

そして、サントラが発売されていたら買いに走ると。
 
緒川

そうですね。映画を観ながら音楽も楽しめるなんて、こんなにうれしいことはありませんよね。ウディ・アレン作品の中でも、サービス精神が旺盛なエンターテイメント作品ではないでしょうか。退屈している人にはぜひぜひ観てもらいたいなあと思います。ストーリー的にもキュンときますし。あんな音楽が聞けるバーがあるのならば、私も行ってみたいと思いますね。伝説的なギタリストにはなかなか巡り会えないかもしれませんが(笑)。

※7:デヴィッド・リンチ
1946年生まれ。驚異的な人気を誇ったTVシリーズ『ツイン・ピークス』を代表する、不条理で異様な世界を描き出すアメリカの鬼才。『スター・ウォーズ/ ジェダイの復讐』を断ってまで監督した、SF大作『砂の惑星』が大コケするなど、常に目が離せない人物。
※8:『イレイザーヘッド』
5年がかりで完成させたデヴィッド・リンチの長編デビュー作。イレイザーヘッド(鉛筆に付いている消しゴム)のような髪型の男ヘンリーが、恋人を妊娠させて産まれてきた赤ん坊は異形だった…。深夜の名画座で若い観客の熱狂的な支持を得た“ミッドナイト・カルト”の典型。
※9:ウディ・アレン
1935年生まれ。TVバラエティや舞台などで台本を手がけ、65年『何かいいことないか子猫チャン』の脚本兼出演者として映画デビュー。77年『アニーホール』でアカデミー監督・脚本賞を受賞するが授賞式には姿を現さず、マンハッタンのクラブで得意のクラリネット演奏をしていた伝説を持つ。
※10:サントラ
味わいたっぷりのジャズナンバーで構成された名盤。ショーン・ペン扮する、世界で2番目を自称する天才ギタリスト、エメット・レイのギターを実際に演奏しているのは、アメリカのスイング系実力派ギタリスト、ハワード・アルデン。


女笑い、女泣き。
 
――

次の2本が意外や意外ですね。
 
緒川

そうですか? 私が10代の頃から好きな作品なんです。『死霊のはらわた』はですね、これ、『スパイダーマン』のサム・ライミ監督なんですけど、私はスプラッターホラーとしては見てなくて、コメディとして捉えているんです。監督が、というか映画自体が、主演の男性をいじめにいじめ抜いているんですね。そのしつこさたるや(笑)。蟻地獄的なそのいじめ方にとってもコメディセンスがあって、ホラーの形を借りたコメディの最高傑作ではないかと思っています。
 
――

すぐに死んでしまうならともかく、最後まで酷い目に遭わせますからね。
 
緒川

すごく面白い。なぜこの人だけがこんな目に、という巻き込まれ方のおかしさがありますね。声をあげて笑いながら観られますよ。タイトルやジャケット写真からすると、女の子は敬遠してしまうかもしれませんが、これだけはほかのホラーと分けて考えてほしいですね。抱腹絶倒のコメディ作品だと思って観てほしいです。
 
――

『マッドマックス/サンダードーム』はシリーズ中のパート3に当たるわけですが。
 
緒川

パート1も2もたいへん好きなんですね。なぜこの3を選んだかには理由がありまして、最近パート4が制作されるという話があったんですが、テロ事件や戦争の影響でロケが延期になってしまったんです。※11 私を含め、楽しみにしているファンがたくさんいると思うので、撮影が早く再開できることを祈って、このパート3を選びました。『マッドマックス』シリーズはどれも観ないと損するくらいに面白い作品なので、もし観ていない人がいれば3本とも観てですね、4を早く作ってほしいという熱気をオーストラリアまで送らないと(笑)。どうして今日までのこの18年の間に、早くパート4を作ってくれなかったんだという怒りも込めて(笑)。
 
――

こどもたちを従えて戦うという、ピーターパンのような作品ですね、『マッドマックス/サンダードーム』は。
 
緒川

シリーズ中では一番かわいげのある作品だと思いますね。パート1なんかは男泣きしますけど。
 
――

男泣きされたんですか!?
 
緒川

私は女泣きですけど(笑)。かわいそうでかわいそうで。ショックが1週間くらい抜けないと思うので、1週間経ったらパート2を観るという具合に楽しんでください。


※11:パート4が延期
シリーズ第4弾の『フューリー・ロード』はアフリカのナミビアで今年7月から撮影開始、2004年夏に全米で公開予定だった。

と、10代の頃に観られたものを中心に、女性でも楽しめる作品を選んでくださった緒川たまきさん。そのふんわりとした空気には春のような香りが含まれていて、お話を伺いながらウットリしてしまいました(笑)。出演映画作がもっとDVD化されて、DISCASでたまきさんをたくさん観られるようになることを願います。

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PROFILE
おがわ・たまき
1972年生まれ。95年『PU プ』で女優デビュー後、『ナチュラル・ウーマン』(監督/佐々木浩久)、『静かな生活』(監督/伊丹十三)、『SF サムライ・フィクション』(監督/中野裕之)などの映画作品に出演。TV・CF・舞台と活動の幅を広げ、近年は写真家・エッセイスト・パーソナリティとしても多才な面を披露している。
緒川さんを含む5人の映画エッセイを集めた『ビデオ・ショップ午前2時』が河出書房新社より発売中のほか、蕎麦を愛するアーティストたちとともに参加したコンピレーションCD『SOB-A-MBIENT; Music for your favorite soba shop』がビクターより6/18発売予定。また、朗読劇「恋のエチュード」が8月シアタートラムにて公演予定。



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